第89話 GWはいろいろある8

俺が風呂から出てしばらく――。


「暑いですね」

「風呂上がりは仕方ない」


微妙な温度というか。

エアコンはまだ早いし。でも風呂上がりはちょっと暑いというなんか微妙な温度の中。

俺と海夜はベッドにもたれながら休憩をしていた。


さすがに風呂上がりは暑いからか海夜はくっついてきていない。

大人しく俺の隣に気持ち間を空けていた。まあ0.5人分くらいだがな。っかまあそんなの間を空けた。とかではないか。


っか俺の方があとから風呂だったのに、隣に居る海夜の身体からの熱がわかるということは……うん。暑いということだよ。身体が冷めてないというか――ってまあ俺がパパっと入りすぎたのだろうか?それと海夜がなんか俺が居ない間に……ストレッチ?でもしていた?ってそんなことは俺は知らないが――まあいいか。


とりあえずなんで暑い暑いと言いながら俺たちは隣同士に居るのか。

狭い部屋とはいえ。別に離れることはできるのにな。

でも何故か……出来ないんだよな。アホなんだな。俺達である。


「半袖でよかったくらいですね」


自分が着ているパジャマを見つつ海夜が言った。海夜が今来ている寝間着は薄着のものだが――長袖長ズボンの物を着ている。確かに今の感じなら寒くはならないだろうから……


「だな。そろそろ薄着でもいいかもな」

「先輩にくっつくために着替えてきた方がいいですかね?」

「くっつくな。マジで暑いんだからさ」


何ですぐにくっつくための事を考えるかね。と俺が思いながら言うと……。


「—―先輩は私とくっつくの嫌ですか?」


隣から小さな声が聞こえてきた。あれ?もしかして……ちょっとくっつくな言い過ぎた?と俺は思いつつ海夜を見て……。


うん。特に泣きそうとか。落ち込んでいる。という雰囲気は感じなかったので……。


「えっ?泣くの?泣いちゃうの?」

「なんでいきなり私が泣き虫設定なんですか!」


残念泣いてなかったわ。っか。いつも通りの海夜であった。でもちょっとだけ。ほんのちょっとだけ……泣きそうな可能性もあったので――。


「いや、泣きそうだし」

「泣かないですよ。何を勝手に言ってるんですか」


うん。もう少しいじめようかと思ったが……叩かれそうなのでこのくらいにしておくこととした。動いたら暑くなるしな。うん。


「っか、最近の海夜ベタベタだよな。ひっつき虫みたいに」

「ベタベタって、虫!?」

「だって常にくっついてくるし」

「……」

「襲ってくるし」

「お、襲ってません!」

「……」


いやいや何をいっておる。と俺は思いつつ。

ジーッと隣に座っている海夜を見てみる。


「な、なんですか」

「いや、また身の危険をな」

「なんで先輩が。なんですか。普通私ですよね?先輩がなんかしちゃいそうで身の危険とか……」

「いやいや、なにをいうか。寝ている人を襲うくせに。俺はそんなことしていないからな」

「そ、そんなこと……」


うんうん。海夜はちゃんと心当たりがあるらしく。

どんどん小さくなっていく海夜だった。

まあ、心当たりなんてない。とか言ったら言ったで思い出させないとだったからな。

少し前の事忘れるって……だからな。うん。とか俺が思っていると……。


「意地悪ー……意地悪な先輩だー」


と海夜がつぶやき静かになった。


ってか静かになったら静かになったで……なんか部屋の空気というか。雰囲気がということで俺は立ち上がり。


「っか喉かわいたな。海夜もなんか飲むか?」


座ったままの海夜に声をかけると――。


何故かパッと海夜が笑顔に……ってもしかしてこいつ。俺が話しかけてくるな。と遠回しに言ってる。とか余計な事を考えたりしていて静かになっていたのだろうか――?と一瞬だけ思ったが……。


「あっ、はい。飲みます!」


うん。笑顔で立ち上がったし。変に気にしてもなので気にしないこととした。

っか。暑いってか風呂上がりだしな喉も乾くよ。ってことで飲み物を準備して俺は海夜にコップを渡した。


「—―はぁー。冷たいのが美味しく感じるようになってきましたね」


俺からコップを受け取るとまず海夜は一口飲んだ。


「ほんとだわ。また猛暑が来るな。来なくていいのに」

「でも、今はまだ少し冷たいもの飲んだら暑さは引きますね」


飲み物を飲みながら海夜が言ったのだが……うん。俺はなんか今海夜が考えていそうなことがわかったので――。


「身体が冷えたからくっつくってのはなしな」

「予想されたー」

「できるわ。簡単だよ。ってか本当に思っていたのかよ!?」


うん。まさかのあたりだった。とか俺が思っていると……。


「ってか先輩」

「なんだ?」

「今気がついたんですが……」

「うん?」

「私たち晩御飯食べてなくないですか?」


と、海夜が俺に言ってきたのだった。


うん。ちょっとシンキングタイムかな?である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る