第88話 GWはいろいろある7

暑い。と言いつつ。何故かくっついてくる甘えん坊の相手をしている優しい先輩。それは俺である。うん。俺いい子だろ。うん。頑張ってるよ。後輩のために。

なかなか頑張ってると思わない?とか俺は思いつつまだ海夜の相手をしている。


「いやいや。くっついたら暑いに決まってるだろうが」

「嫌です」


うん。何があっても暑くても、くっついてくる宣言を海夜はまだしているって既にくっついているという――。


「わがままだー。早速母に連絡か」


うん。困った時の海夜母……と俺が思いつつつぶやくと……。


「しないでください。ってか連絡先しらないでしょう先輩は」

「あー、でもまああの時は邪魔されたが、海夜のスマホからすればいいだろ?」


うん。俺は海夜の母の連絡先を知らなくとも、海夜が俺の前に居る時点で海夜のスマホから連絡できるだろう。とか俺が思っていると……。

なんかニヤニヤ?というか。ニコニコしだした海夜が……。


「……先輩。私のスマホのロック外せないくせに何言っているんですかねー」

「—―あっ」


海夜に言われて……うん。確かにだなと思った俺だった。


普段海夜は普通に……えっと。あれか。指紋認証みたいな感じでロックを外しているし。海夜が拒否したら海夜のスマホは使えないか……ってそもそもスマホなんて見せてくれないし。貸してもくれないか――とか俺が思っていると……。


「考えがダメダメな先輩ですね。ってことで、先輩パワー補給です」


そう言いながら一瞬の隙を付かれたというか。海夜が抱きついてきた。はい。暑くなるの確定。というやつですよ。


いやいやほんと……かわいいやつですがね。暑いよ――うん。


まあでも甘えてくる海夜……嫌いじゃないんだが……と俺は思いつつ。


「海夜」

「はい?なんですか?」


うん。ニコニコだな。こいつと俺は思いながら――ちょっと思ったことがあったのだが……。


「……あー、いや、なんでもない」


言わずに飲み込んだのだった。


「なんですかー、気になりますよ」


まあ俺が話しかけておいて……なので海夜は気になったらしく。こちらを見つつ言え。みたいなオーラを発しているが――。


うん。いやふとね。指紋認証なら海夜を拘束して……スマホ触らせればいけるか。と思ったんだが……まあ、しないことにした俺だった。

なんかね。やっちゃいけないような気がしてね。いろいろと問題になる気がしたので言うこともやめた俺だった。うん。正しい判断だろうである。


「なんでもないよ」

「あー。わかりました。私のことをガキー、とか思いましたね」

「……ガキだろ?」


――何を当たり前のことを言っているんだろう。っか自覚あったんだな。ってそもそも俺そんなこと考えていたんじゃないんだが……とか俺が思いつつ返事をすると――。


「なっ、なんでガキなんですかー。どこがガキですかー」


海夜が騒ぎ出したが……なんかわがまま言っている赤ちゃんのように見えてきたので……。


「かわいいかわいい赤ちゃん?にしてはでかすぎるよなぁー」


と、冗談を言ってみたら――。


「……先輩、キモい」


――――うん。突然海夜の声が低いトーンになった。である。

さっきまでくっついてくるから暑い暑いとか言っていたが……一気に部屋の温度が下がったというか……俺たちの周りだけ気温が下がったらしい。うん。何か寒い。


「……おい、ダメージでかいよ」

「キモいです。マジで今のはキモいです」

「2回も言うなよ」


ま、まあなんかちょっとアホな事言ったな……と俺は思っていたのだが――。うん。海夜はそんなことを言いつつも俺から離れてないし。まあ楽しんでいる?に入っているらしいので普通にやり取りを続けていると……。


「私はレディーですから」

「—―はい?」


何かまた言い出した海夜だった。


「なんで、なに言ってるんだ?みたいな顔なんですか!」

「まだ高校生じゃん」

「レディーですよ!」


俺に抱きつきつつ胸を張っている海夜を俺は見つつ……。


「……チビ、まな板、チビ」


うん。全体を見てと……一部を見て、そして再度全体を見ての感想でした。

って、俺は全く気にしないんだがな。とか思っていると……。


「……先輩。喧嘩売ってますよね?今言っちゃいけないこと言いましたからね?わかってますか?戦争ですよ?ボロボロに先輩をしますからね?」


結構お怒りマークの付いている海夜の顔が近くにあった。


「怖い顔するなって」

「……適当な事ばかり言っていると本当に怒りますよ?暴れますよ?」

「ほらほら悪かった悪かった」

「なっ、ちょ」


まあとりあえずお怒りの雰囲気が現れたら……うん。いろいろ言っても海夜は抱きかかえたらOKである。

ということで俺は海夜抱きついていた海夜をさらに自分に引き寄せ抱きかかえた。

すると海夜はすぐに大人しくなり――。


「せ、先輩。なんですか、急に」


恥ずかしそうにした海夜が小さな声で言ってきた。

ちなみに手は海夜も俺の背中に回してきた。


「チョロいな」

「むー」

「っか、ほんといい抱き心地だな。ちょうどいいよ」


俺は再度軽く海夜の身体を抱きしめてみる。うん。最高だな。ちょうどいいサイズなんだよな。頼むからでかくならないでほしい。


「……ぬいぐるみじゃないですから」

「じゃあ……なんだ……えっと……」

「ぬいぐるみと思ってたんですか?」

「いや……えっと……着せ替え人形?」

「なっ、なにするつもりですか!変態」


――パチン。


うん。叩かれた……地味に痛かった。


「……痛いな――っか。悪い。ガチでパッと浮かんだのがぬいぐるみ以外が着せ替え人形しか浮かばなかった」

「ほんとこの先輩は……なに考えてるんですか――」

「ってことで抱きしめタイム終わりでいいか?暑いわ。うん。限界。抱き心地はいいが暑い」

「早すぎますからね!?ダメですよ」


俺がそろそろ海夜を解放……と思ったのだが――海夜は全く離れる気配がなかった。


「いや暑いだろ?」

「暑いですけど……先輩が引き寄せたんですよ。最後まで面倒見るべきです」

「じゃ、面倒見たくないから引き剥がすから後ろにまわしている手を離せ」

「拒否します」

「……甘えん坊うざい。うん」

「でも……なんやかんや言って先輩優しく抱きしめてくれるから――好きですよ?」


俺の耳元でそんなことを海夜が言ってきたが……うん。ここで俺が仕方ない。とかになってしまうと四六時中ベタベタされてしまいそうな気がするので……。


「……きつくしようか?」


と言いながらちょっと海夜を抱く腕に力を入れてみると――。


「ちょ、ちょっと何するんですかー。苦しいです……ギブ」


パンパン。


すぐに海夜が俺の背中を叩いてきた。


「っか、海夜。マジで俺そろそろ風呂入りたいんだけど、ちょっと汗かいたし」


うん。本当は……汗臭いとか言われそうとか俺は思いつつだったんだよ。

まあ海夜は気にしてないみたいで良かったが……でもね。そろそろ風呂入りたい。だった。


「も、もしかしてお風呂に誘ってます?ごめんなさい。まだ心の準備が出来ていません。入るなら水着持ってきます」

「何言ってるんだよこいつ。っか、はいはい邪魔邪魔。この変態女子高生」

「……むー。いやです。まだ馬鹿にされた分。甘やかされてません」


そう言いながら今度は海夜がきつく抱きついてきた。

っかこいつくっついてくるが……マジで俺汗臭くないのだろうか?って、そうか、俺が引き寄せたんだったか。でもまあ気にしてない?らしいから……そんなになのか。と俺は思いつつ。


「……離れないならこのまま風呂連れてくぞ?」


と冗談で言ってみると。


「だからまだ無理です」

「……まだっていずれ来る気かよ」

「なっ。なにを言わせるんですか!さっきから変態なことばかりしますね。この先輩は!お巡りさん呼びますよ?」

「1人で騒ぐな。っか、風呂入って早くベッド寝転びたいから離れろって。海夜の母の精神攻撃で疲れてるんだし」

「私も寝転びたいですよ」

「ならとっとと帰れよ。そして寝ろよ」

「……寝るのは一緒がいいです」

「一緒じゃ暑いじゃん」

「……確かに暑いですけどー。くっつき足りません」

「っか。今のところは海夜が離れないから暑いんだよな。昼間より気温は下がったんだから」


俺が言うと。海夜は何か考えて……。


「……先輩。お風呂のあとにまたくっつきますからね」


うん。ダメだこりゃであった。

この後輩。何が何でも暑くてもくっつくを選ぶらしい。


「やだよ。それもっと暑くなるじゃん」

「先輩が悪いんです。いろいろいじめてくるからです。ちゃんと優しく抱いてくれて。私が癒されていたら今頃ちゃんと大人しくしてました」

「絶対大人しくはならないだろ」


うん。海夜が大人しくなるとかありえないだろうと俺が思いつつ言うと――。


「まあそりゃずっと甘える予定ですから」

「……こいつ……っか海夜が説明下手だからだよな?それで疲れたとか。俺関係ないし。自分が下手だから疲れるんだよ」

「……」

「黙ったよ。あと手も緩んだから。じゃ風呂行くわ」


どうやら自分が悪い。と認識は出来たのか。ちょっと海夜の手が緩んだすきに俺は海夜を身体から引きはがした。


「あー、先輩。私が先に入ります」

「自分ところで入れよ」

「だから。連休中は一緒に居ます。着替えも持ってきたじゃないですか」


そういいながら海夜はお泊りセットとか言っていたか。部屋の隅っ子に置かれているカバンを指差した。

ってか、マジでこいつここで休みの間生活するのだろうか……と俺は思いつつ。


「俺……連休終わったら過労で倒れるな」


と、つぶやくと――。


「倒れたら看病しますから」


なんか笑顔で海夜がそんなことを言ったのだった。


「倒す気かよ!?」

「—―さあ?」


と、いたずらっ子ぽく海夜が言い。

なんかいろいろアホなやりとりの後……。

結局は海夜が先に俺の部屋にある風呂を使い――そのあと俺が使ったのだった。


ってかホント海夜が風呂に入っている時に突撃してやろうか?そしたら甘えん坊が治るか?とか俺は思ったが……そんなことをするとなんでね。

あとが怖いというか。マジでお巡りさん呼ばれるだろうからね……うん。もちろん俺は大人しく部屋でスマホいじってましたよ。はい。


っか。風呂までが長かったな。

マジで俺たちはなにを言い合っていたんだか。だよ。


でも海夜が風呂に入っている時は平和だったな。1人でのんびりできたし。

さらに俺が風呂に入っている時もまあ平和だったね。

海夜もね。さすがに風呂に乱入はしてこなかったんでね。まああったらあったで……やばかったか。


向こうから風呂場に来るとか――だしな。うん。よかったよ乱入がなくて。

海夜母が喜びそうなことにはならないからな。うん。

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