第87話 GWはいろいろある6

海夜の実家からの帰り道。

なんやかんやと話しながらアパートに到着した俺たちは、一度はちゃんとそれぞれが家へと帰り……。

半時間ほどして海夜は普通に俺の部屋にやってきて――くつろいでいた。


なお、海夜の母からもらったお土産袋は結局俺の部屋に置かれている。


理由としては連休中こいつは自分の部屋に基本帰る。居るつもりがないらしく。

パッと袋の中を見たところ。お菓子が入っている感じだったからそのまま持ってきた。と先ほど言っていた。うん。住み着く気満々というやつらしい。


そして今は……。


「—―ほんと、お母さんには困ったものです」


俺の部屋へとやってきたお方は……俺の横でくつろぎながらなんかブツブツ言っていた。うん。結構親についてぶつぶつと言ってらっしゃる。


ちなみに海夜は服装だけ変わり。部屋着となっている。まあラフな服装に海夜はなっていた。歩いてきて暑かった。とか言ってたからな。涼しい服装に着替えて来たらしい。

っか、まだ猛暑とかじゃないのに暑かったのは……海夜が俺にくっついていたのが問題なんだと思うんだが……と俺は思いつつ。ぶつぶつ言っている海夜に声をかけた。


「……海夜がちゃんと伝えないのが悪いかと」

「違います!ちゃんと言っても……って、そもそも報告が恥ずかしいんですよ――電話ではお母さん終始ニヤニヤしてますし……メッセージだと……文章を書いてると恥ずかしくなりますし……そして結局全消し――」


そう言いながらもじもじしている海夜。まあ小動物みたいでかわいい様子とでも言っておこうか。


「まあ最近の海夜は甘えまくりだからな――それを言うのは恥ずかしいか」

「むー、だって……先輩なら……基本受け止めてくれるいいますか――」

「ならうけ流そうか?」

「先輩?何言ってるんですか?」


……うん。殴られるな。

海夜はこちらを見つつなんか――手に力をこめているみたいだ。

あれが飛んで来ると……まあそんなに痛くはないだろうが。

無駄な争いごとはごめんなのでね。うんうん。隣の海夜の姿が……怖い怖い。構えるなよ。ちょっと冗談を言っただけじゃん。ちゃんと捕まえてやりますから。とか俺は思いつつ。


「はいはい、ごめんなさい。ごめんなさい」


とりあえずすぐに謝っておいた。


「—―もう。この先輩は……ってか先輩」

「うん?なんだ?」

「暑くなってきたから……くっつくの暑いです」

「……」


……うん。だろうな。と俺は思いつつ。

ってか。ちらりと隣を見ると海夜がそう言いながら襟元をパタパタさせていた。

おいおい。余計なもの見せるなよ。地味に見えてるってか……まあ海夜なら……大丈夫か……うん。デカくないからそこまで攻撃力。破壊力は……とまあ、こんな余計なことを思っているとまた殴られかけそうだ――とか俺は思いつつ。


「なら離れろよ。距離を保てば暑くない。うん。まだ夏は来ていないからな。ってか暑いとか言いながらもたれてくるな。くっついたら暑いだろうが」


いや、なんかいつの間にか。こいつ人にもたれてきてたんだよな。っか暑いならホント離れろだよ。俺も暑いし。とか俺が思いつつ海夜を見ていると……。


「いやです」

「……じゃ、どうすりゃいいんだよ」

「えっと……水浴びでもしますか?」

「……」


こいつ……何かを期待している?いや……実は単なる超変態—―?とか俺は思いつつお隣のチビを見る……。


「—―あっ、また変な目で私を見てます」


何をこいつは言っているんだよ。である。

っかちょっと考えて出てきたことがそれかよ。とか俺は思いつつ。

ちょっと頭を抱えながら……。


「はぁ……しないし。この変態女子高生」

「なっ!?」

「っか、海夜」

「な、なんですか」

「ずぶ濡れにでもなりたいなら自分の部屋でしろ。先にそれは言っておく。人を巻き込むな。わかったか?」

「……先輩は意地悪です」

「なにがだよ」

「私は我慢していたのに」

「なにを?」

「先輩に甘えるのをですよ!連休になるまでどれだけ私が我慢したか!」


急に耳元で叫ぶなよ。である。うん。鼓膜が破れる。と俺は思いつつ。最近の出来事を思い出し……うん。思い出した。最近だからな。まだ忘れるわけがない……って。


「たった連休前の数日だけじゃん!?海夜が大人しかったの!?お前の記憶は大丈夫か?っか頭大丈夫か?」


うん。とりあえず言い返しておいた。俺は事実しか言ってない。うん。


「酷いですね。この先輩は……ぶつぶつ」


いやいやこれは本当の事。

なんか長期間我慢したかのようなことを海夜は言っているが……実際は数日だけである。そう。俺が平和だったのは数日だけである。ここ大切な事である。


「数日も!です。ってことで、くっつきます。だから暑くならないように先輩はいろいろ考えてください。早急に。早く!」

「—―やばい。四六時中ベタベタしてくる言ってた母あたりじゃん。事実じゃん」

「うるさいです!」


そう言いながら海夜がさらに近寄ってきたのだった。

っかマジで耳元で叫ぶな。である。なんでこいつこんなにグイグイくるんだよ――。


うん。しばらく暑くなるというか。夏が来る前に暑くなるのは確定らしい。

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