第80話 お昼集合2

海夜がまた厄介なことを親に言った可能性が浮上したお昼休みから数時間後のこと。


まあその日の夜だな。

現在俺の部屋にて海夜の取り調べが開始されたところだ。

ちなみに俺は優しいからな。

まだ海夜を正座させたりということはしていない。


いやまあ逃走することはないだろうが。今日中に聞いておかないとなんかまた当日というか。近くなってからなんか言われてもなんでね。

ご飯を与える。というので海夜を呼び出し。

食後に俺は片付けを終えてからベッドに腰けている海夜の隣に座り話しかけた。


「で。海夜。何を今度は言った?正直にとっとと話せ」

「え……えっとですね。まず、ゴールデンウイークに帰ってくるように言われましたので……」

「言われて?」

「その先輩も予定が空いていれば連れてきなさい……と言っていたので。独断でOKしました」

「……全くその情報聞いてないぞ?」

「先輩。暇そうですから…。大丈夫かなー。と。あと……」

「……まあはい。次」


うん。この時点でいろいろ言いたいことはあったのだが……まだ海夜が話すことがありそうだったのでとりあえず話を全て聞くこととした。


「で……お母さんが次は多分お父さんもちゃんと居るはずだから……と。先輩に伝えとくようにと……言ってまして……」

「それ絶対俺も行かないとダメなやつじゃん。なんで俺に相談なしなんだよ」

「その……私はちゃんと先輩に話を聞いたときは聞こうと思っていたのですが……その時の話の中でお母さんが……結婚……報告なんでしょ?みたいなこと…。をですね。言い出してしまいまして……ちょっと私もワタワタと言いますか。勢いでというか。早く終わらしたくなって……ですね……その……ババっと答えて――今に至ります」

「……なんで話がまた膨らんでいるか。ってか原因は間違いなく海夜だろ?」


何を話したんだよこいつ。と俺は思いつつ海夜に聞くと……。


「ち、違います。そりゃ、最近も先輩にお世話に……や、夜も先輩と過ごしてる……とか。ちょくちょくお母さんとのメッセージとかの連絡ではしてまして……」

「待て、夜の話。言う必要あったか?」

「……そのお母さんが楽しそうに……聞いてくるというか……急に電話とかでいじってきたもので……恥ずかしかったから適当に頷いていたら話が進んでまして……」

「アホか」


と。海夜の頭にチョップを入れておいた。


「痛っ……だ、だって、お母さん先輩の話になると……おかしいというか。テンション高くて……気がついたら。その……け、結婚とかの話でして……」

「……海夜。このややこしい関係を1回リセットするか?」

「なっ、えっ…?」


俺が言うと海夜の顔から血の気が引いた……。

って、ちょちょ。泣きそうな顔じゃん。ってめっちゃうるうるの瞳になったんだが……えっ!?ちょちょマジで号泣直前みたいな表情に…。


「待て、海夜。関係をなかったこととかのリセットじゃなくてだな。ちゃんとそのな。付き合っているが……うん。海夜の母らが思ってるようなことは……というか。正しい情報をな。伝えるために。ややこしくなっているというか。なんかいろいろ勝手に話が進んで行っているのを止めるためにというかな。悪かった俺の言葉選びが悪かった」

「……ふふっ。先輩……慌て過ぎですよ。ちょっと一瞬ドキッとしましたが……」

「めっちゃ泣きそうだったし。って今も涙あふれてますがね?」


俺が言うとあふれていた涙をさっと手で海夜がぬぐって……。


「だ、だって、いきなり別れ話かと……」

「違う違う。撫でてやるから。今のはマジで俺の言い方が悪かったな」


俺は海夜をこちらに引き寄せてとりあえず頭を優しく撫でた。


「……よろしいです」


するとすぐに海夜は安心したのか……。

って俺の服で涙を拭いていて気がするが……まあ余計なことは今言わないでおこう。うん。とか俺が思っていると…。


「へへっ……」


急になんかにやけ声が聞こえてこたので、海夜の頭を撫でるのをやめて顔を見てみると……うん。ニヤニヤというか。目はちょっと赤いがめっちゃ嬉しそうな?うん。なんて言うんだろうか……とりあえず、うん。ニヤニヤしている海夜の顔を見た。


「……にやけてるなぁ」

「う、うるさいですよ。撫でればいいんです」

「はいはい。でだ。ちゃんと話そう。ってことは。OK?」

「だ、大丈夫です。はい。先輩とは夜イチャイチャしましたが。大事にされていますとちゃんと説明します。そして結婚とか言う話は早すぎます。ですね」

「……正しい気がするが……はじめに言った方は削除しないか?うん。それはやめよう。普通に…。そうだな。付き合っていて、そして大事にしている。うん……だから……なんて言っておくのが今のところいいんだ?ぼっちにこんなスキル無いんだが…」


とかとか俺はつぶやきつつ。なんて説明するのがいいのだろうか……と俺が思っていると……。


「先輩。隠し事。嘘はダメだと思います」

「どの口が言うんだよ。海夜もいろいろ隠しまくりだよな?」


うん。隣に居たやつが急にケロッと。でも言うのか。先ほどのうるうるはどこいったんだよ。って感じになっていたので……とりあえず頭を掴んで……。


「ふぇ?って……ぎゃあー。先輩。何するんですかー」


うん。海夜の髪をボサボサにしておいた。っか継続中。まだ手を動かしてボサボサにしてやっている。


「ばかーばかー。ボサボサじゃないですかー」

「うるさい。ってかまあ、でも。おかしなことはしてない。だけは伝えないとな。勝手にいろいろ想像というか。思われていてもややこしくなるというか。うん」

「……私は……いつでも……」

「海夜?」

「な、なんですか?」

「変態」

「なっ。な、なんのことですか。いきなりなんですか!?先輩いやらしいこと想像してたとか。最低です」

「どっちがだよ。っかなんでもたれてきてるんだ?」

「な、なんでですか。付き合ってますから……普通ですよ。ってか先輩が私の頭を触っていますから。こうするしかなかったんです」

「あー、まだ頭撫でてたか。悪い悪いボサボサ頭ちゃん」


と、ここで俺はそういえばなんかずっと海夜の頭ボサボサしていたな……と思い出した俺は海夜の頭から手をどけた。


「あっ……終わっちゃった。ってこれ先輩がしたんですよ!もうほんとボサボサです」


海夜はそういいながら手櫛でちょっと髪の毛を整えていた。


「っか、まあ……海夜の父ね。どうなるかだよな。母から変な事聞いていたら……俺大丈夫かな……」

「先輩が刺されないようには見てますから。安心してください」

「……行くの怖すぎるわ」


うん。刺される可能性があるとか……どんなんだよ。と俺が思っていると。


「ほんとは甘々らしいんですがね。私の知らないところでは……」

「海夜のところはホント謎だよ。うん。ほんといろいろ」

「……先輩」

「うん?なんだ?」

「……刺されちゃう前に……いろいろしておきますか?」


とかなんかちょっと顔を赤くしながら海夜がささやいてきた……うん。こういう時にはこう言い返せばいいよな。


「ど変態」


と。言ってから海夜のおでこにデコピンをしておいた。


ぺチン。


「痛っ……もう痛いじゃないですか。さっきから暴力が多いです」

「マジでこいつは……暴走娘」

「暴力です。暴力反対です。って、私はいろいろしかいってないのに変なこと想像した先輩がど変態なんです。ド変態先輩」


ぺちぺち。


今度は俺が海夜に腕を何度か叩かれたのだった……って俺たちマジでなにしてるんだろうな。

よくよく考えたら抱きついて?海夜を撫でて?その後は密着?そしたら叩き合い。うん。馬鹿なことしてたわ。と俺は思いつつ……。


「海夜。とりあえず連休は……行ってやるから。そろそろ帰れ。明日も学校あるだろ」


うん。このままなんか話していても疲れる未来が見えていたので俺は解散を選んだのだった。


「えっ、お泊……」

「今日泊まるなら連休中は一切部屋に入れないからな?OK?」

「なっ、ずるい。むー……わかりました。今日は帰ります。そのかわり連休はずっときますからね?いいですね」

「ずっとは来るなよ」

「いやです。今日は我慢するんですから」


とか言いながら今日のところは海夜は帰っていった。って俺に再度何も言わせない為か。帰るとなったらかなりのスピードで準備をして海夜は帰って行った。


うん。つまり……連休中は海夜がここに住みつく可能性があるらしい。うん。


えー。だよ。

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