第79話 お昼集合

「こんにちは、先輩」

「うん……?あー、おつかれ。海夜」


いつもの大学の昼休み。

今日も海夜はわざわざ俺の居る大学の方までやって来ていた。


まあここで高校生を全く見ない。という事ではないんだがな。最近ではたまに数人のグループが歩いている。お昼を食べにくる。とかいうレベルで見るには見るのだが……まあ海夜に関してははほぼ晴れたら来るからな。うん。物好きなやつよ。まあそれに付き合っている俺もか。特に何も言わず晴れたらここに居るんだからな。約束していることではないのでね。別に来なくてもいいんだが……ね。まあ来ているんだよ。


俺がそんなことを思っている間に海夜は隣へとやって来た。


「いいお天気ですね」

「だな。あと大学内も新入生のざわざわも少なくなってきて、やっといつも通りになってきたしな」

「あっ、たしかに高校でも4月のはじめの頃はなんか……初々しいっていうんですかの?1年生の子見ると思いましたけど。今は慣れて来たって感じですね。ってかもう誰が新入生かあまりわからないですね。馴染んでいる子も居ますから」

「海夜は馴染めなかった側だもんな」

「なんですかー?」


うん。隣からちょっとお怒りの声が聞こえてきたが……まあ大丈夫だろう。


「だってよ。晴れたら毎日ここまで来る高校生って海夜くらいだろ?たまに散歩に来ている生徒は見なくもないが……毎日はな。居ないし。それもここ数か月ずっとだよな。うん。馴染めなかった子よ」

「ここに来るのは禁止ではないですが。遠いですからね。普通の生徒はあまり来ないと思いますよ?ってか。さっきから余計な言葉が多い気がするんですが?」

「はははっ。っか、俺は絶対変な目で見られてるわ。毎日高校生となんか話してるって」


俺はそう言いながら周りを見る。うん。声が届く範囲には……人は居ないが。ちらほら人影はある。多分俺と陽菜の会話は聞こえてはないのだろうが……。

なんか最近たまに視線は感じるんだよな。なんか見られているというか。うん。とか俺が思っていると……。


「いいじゃないですか。かわいいかわいい後輩が居るってことで」

「……」


うん。こいつは何も感じていないというか……。

周りを気にしてないと見た。


「なんで無言なんですか」

「……いや、確かにかわいいな。と」

「なっ!?な。なんでいきなり褒めるんですかー」


そのままの事を言ってやったんだが……。

バシバシと叩かれた俺だった。うん。謎である。


「はぁ……褒めたら怒られたよ。っか。なんかあいつ毎日高校生呼び出している。怪しいやつとかの噂が起こるとな。この平和なお昼が壊されるかもだからな。まあ俺の平和な時間はすでに海夜に壊されている気もするが……」

「まあ私が見ている限り。ここにお昼休みに来ている方は……いだい同じ方にしか見ませんけど……。そもそもそんなの誰も広めませんよ。先輩目立ちませんから」

「さらっとひどいことを言われたような……って覚えるだろ。海夜は制服だから目立つしな。最近はお昼になるとここばかり居るし」


女子高生となんか毎日ここで話してるやつが居る。的な事を言われてそう。とか俺が思っていると……。


「まあ先輩。もし聞かれたら彼女でいいですよ」

「……」


ホント気にしてないというか。

なんか海夜は楽しそうというか……うん。この状況楽しんでいるのだろうか?うん。あれか俺を困らせて楽しんでいるんだな。


「なんで黙るんですか。ちなみに来年はもっと隣にいますからね?」


俺がちょっといろいろ思っていると海夜がそんなことを言ったが……そうか。確かにこいつがこのままこの大学に来ると……なのか。と俺は思いつつ。


「……もし海夜がこの大学に上がってくると……1年間は同じか」

「先輩が浪人?留年?したらさらに1年ずつ増えま……」

「しないかな?俺順調に単位とってるからな?」

「えー」


なんか海夜が不吉なことを言ったので俺は海夜が離している途中に遮っておいた。


「っか海夜。自分のやりたいこと選んでるか?」

「はい。ちょうど興味のある学科ありますし。問題なしですね」

「……さいですか。あとから文句や後悔するなよ」

「あー、先輩は就職になったら……離れちゃうんですかね?」

「……さあな」

「むー……って、先輩の実家を私は知りませんね。どこにあるかも聞いてないような……」

「—―」


うん。言ってないな。と俺が思っていると……。


「そろそろ挨拶しにいきましょうか?」

「やめろ。揉める」

「そういえば、先輩って全然実家に帰ってないですよね?ずっとこっちに居ますよね?」

「……いろいろあるんだよ」

「うん?……触れない方がいいんですか?」

「……そのうち……だよ」

「わかりました。なら先輩。今後のためにもまた私の実家来てください。ってか行ましょう」

「おい。なんでそうなるんだよ」


と、海夜がいきなりそんなことを言いだしたのだ……その時俺は何かを感じ取った。うん。海夜とはそこそこ長く居るんでね。嫌なセンサーが反応したというか……。


「っかおまえ、また何か……いや、まて。この話は家に帰ったらしよう」

「えっ?なんでですか?」

「海夜を取り調べる場合周りの視線があると危険だ」


うん。変に取っ組み合いできないからな。うん。ここではやめておこうと決めた俺だった。


「いやいや、私が危険ですから外でしましょうよ」

「却下だ。まあ変なこと言ってないなら……ここでもいいんだが。海夜だからなー。どうせ……」


俺がそんなことを言いながら海夜を見ると……。


「ちょ、何ですか。私が何か変な……あっ」

「マジか……まさか……またなんか言ったのか?」


話しているとなんか海夜の表情に変化が……。

というかなんか思い当たることがあるんだな。と俺はここで確信して……。

とりあえず話の続きは夜に俺の部屋で。ということにこの場ではしたのだった。

っかちょうど昼休みが終わったというのもあるんだがな。

昼休みってあっという間なんだよな。俺はのんびりしたいんだが。どっかの誰かさんがいつも来て話していると……まあ、あっという間に昼休みは終わっちゃうんだよな。


うん。講義室に移動しよう。

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