第73話 勝負です4

ボウリング終了後。

俺達はすぐに建物を出た…。のではなく。ちょっと自販機などがいくつかあるところで飲み物を買って休憩してから外に出た。

いや思った以上にね。疲れたよ。うん。明日筋肉痛かなー。とか俺が思ったりしていた。


まあとりあえず今は帰り道の途中である。


「ボウリング楽しかったですね」

「まあ、いい運動にはなったな」

「ちなみになんでも言うこと聞く券。はそのうち使いますからね」

「期限は今日までだろ?っか券の実物がないから寝たら期限切れだな」

「ダメです。ゆっくり考えます。券は帰ったら作りますよ」

「…。嫌な予感しかない。っか。そろそろ帰るよな?」

「ですね、遅くなりますし。帰りましょうか」


それから俺たちは駅へと向かった。

駅に着くとちょうどいい時間の電車があったため俺たちは電車に乗り…。電車に揺られて…。

23時前にはアパートのある最寄駅に無事帰ってきていた。


後は家に帰るだけ…、だったのだが。駅に着いた俺は駅までコンビニの看板を見かけて…。ちょっと思い出した事があり。海夜に声をかけた。


「あっ、海夜」

「はい?」

「ちょっとコンビニ寄って行っていいか?」

「はい。いいですよ。何か買い物ですか?」

「いや、ネットで買ったやつの支払いをな。覚えているうちに。と。数日前からずっと忘れてたんだよ」


俺がそう言いながら駅からコンビニの方へと歩き出すと…。後ろから。


「…。先輩」

「うん?」

「なんかいやらしい物買った。とかじゃないですよね?」


振り返ると。何を思ったのか後ろから痛い視線があったが…。もちろんそんなものは買ってないので…。っかこれは…、って今はまだいいか。と。思いとどまり。


「違うからな?」

「まあ、先輩変態ですからね」

「外で変なことを言いだすなよ。周りからも変な視線とかになるだろうが」

「先輩は怪しいですから」

「海夜の行動について恥ずかしい事を世間にバラしたほうがいいか?」

「そんなことしたら…。死刑ですから」

「死刑になるのかよ」

「もちろんです」


とかなんか後輩と話しながらコンビニへと向かった。

コンビニに着くと俺はレジで支払いを…。

その間に海夜は店内をくるくると…。そしてスイーツコーナーで立ち止まり見ていた。


それから俺が支払いを終え海夜のところに行くと…。


「先輩。なんでこんな時間にコンビニ連れてくるんですか」

「はい?」


いきなり不機嫌?な海夜になっていた。なんでだよ。である。


「…。このケーキめっちゃ美味しそうです」


海夜がケーキとにらめっこをしていた。っか1カット?くらいの大きさなのでこれくらい食べてもいいと思うが…。とか俺は思いつつ。


「…。買えばいいのでは?」

「ダメです。こんな時間に…」


海夜的にはダメらしいが…。

こういう姿を見ているとね。ちょっといたずらというか…。


「買ってやろうか?」

「むー、先輩が太らそうと…」

「そうだな。今なら食べさせてやってもいい」

「…。食べさせて…。もらえる…。って、なんで今なんですか!」

「海夜。コンビニで騒ぐな」

「あっ、はい。ごめんなさい。って…。うー。美味しそう…」


ちょっとコンビニの店員さんに見られたような気もするが…。すみませんね。この後輩が叫びまして。はい。と心の中だけで謝っておいた。


っか、悩んでる悩んでる。ってことで俺は悩んでいる海夜の横から手を伸ばして…。1つケーキを持ってレジへと向かった。


「ちょ、先輩」


後ろでなんか言う声が聞こえたがそれは無視してな。

レジで支払いを済まして俺は外へ出る。ちなみに後ろからトコトコと海夜が付いてきて…。


「ちょ、本当に買いましたよ。この先輩ホント意地悪です」

「うん?」

「…。どうするんですか。そのケーキ」

「いや、食うんだが?」

「この時間に?」

「夜食だな。運動したし。ちょっと甘いもの補給もいいかと思ってな」

「むー、それは私に対するいじめですね」

「違うし。見てみたら確かに美味そうだったからな」

「うー、この先輩は…」


それからコンビニからアパートまで海夜になんやかんや言われながら帰ってきた。


ちなみに時間は23時を過ぎたくらいになっていた。


「じゃあな」

「…」


俺が海夜の部屋の階で海夜に声をかけると…、海夜は無言でこちらを見ていた。


「どした?」

「…。ケーキ」


うん。本当に海夜食いたいんだな。とか俺は思いつつ。


「…。来るか?」


と。声をかけてみた。っか俺から誘うのって…。珍しい事か。とか思っていると…。


「…。先輩。実は私を呼ぶために…」

「それはない」


うん。それはなく。ただ海夜がどんな反応するか…。というのと真面目にケーキ食いたくなったから。というだけだからな。だからなんか変な事になる前に俺は自分の部屋へと向かおうとしたら…。


「あっ、ちょっと、先輩!」

「海夜。夜だから静かに」


すぐに海夜が俺の腕を後ろからつかんできた。


「…。勝手に帰ろうとしないです。ってか先輩が誘うとか…。珍しいですね」

「いや、海夜がケーキの誘惑に勝てるか見たくてな」

「なっ、こ、この先輩は…。むー。い、行きません。今日は行きませんから。はい」

「わかったわかった。じゃ俺はケーキ食べてのんびりするわ。おやすみ」

「…」


うん。めっちゃ海夜に睨まれながら俺は部屋へと向かったのだった。

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