第72話 勝負です3

ラーメンを食べた後。俺達は少し移動してボウリング場へとやって来たのだが…。


「先輩。勝負です」


借りた靴を履いた海夜がなんか言い出したのだった。

俺は借りた靴を履きつつ…。


「久しぶりじゃなかったのか?」

「大丈夫です。先輩になら勝てるかと」

「まあ勝負とか言っているが。久しぶりなんだし。2ゲームあるんだから1ゲーム目は練習で良くないか?」


うん。借りた靴のサイズはよしだな。とか思いつつ俺は海夜の方を見た。


「あー、確かに。じゃ、私からですね。っでボール重いですね。こんなに重かったかな?」

「海夜。海夜が飛ぶなよ?あとお隣に迷惑かけるなよ」

「だ。大丈夫ですから!どんな心配してるんですか」

「ハプニング映像とかいらないぞ?天井壊すとか」

「先輩」

「はいはい。どうぞ」


とかいう感じでボウリングが始まった。


海夜の第1投。うん。よかった。海夜がズッコケるとかいうことはなく。周りに迷惑をかけることもなく。設備を壊すこともなく。ちゃんとピンの方へと転がっていった。


「先輩。当たりました!」


うん。久しぶりにしてはヘッドピンにも当たったし。8本とそこそこいいスタートの海夜だった。


そして練習だった1ゲーム目は…。


「ちょっとぼっち先輩がなんで130も取っているんですか」


気が付いたら俺が海夜を逆転してそこそこの差をつけていた。


「点数が高いのかわからんが。まあなんか倒した感じだな」

「先輩ガーターなくなかったですか?私数回落ちたんですけど」

「でも海夜も100超えてるだろ」

「予想では200くらいを…」

「…。久しぶりの素人がそんな高得点?っていうのか知らんが無理だろ。っか、海夜。2ゲーム目いくか?」

「はい。勝負です」

「勝負するんだ」

「当たり前です。もちろん勝者には先輩になんでもいうことを聞いてもらえる券が進呈されます」

「ちょっと待て。先輩に…。は、おかしくないか?なんでもいう事聞いてもらえる券。じゃないか?」

「おかしくありません。もし、もし私が負けても大丈夫なようにです」

「…。まあつまり俺に景品はないと。でもとにかく勝てと」

「負けてくださいよー」

「やだよ」


ってことで、そんなやりとりのち2ゲーム目がスタートした。

まあ俺の予想では…、普通にやれば…。とか思っていたのだが…。


「マジかー」


2ゲーム目始まってすぐ。俺が先に悲鳴をあげていた。


「先輩、マジで負けてくれるんですか?優しいですね」


隣では海夜が楽しそうにプレイ中。


「違う。1ゲーム目で真面目にやりすぎた。腕が…」

「5回投げて40、42いい勝負じゃないですか」


画面に出てる表示は…、うん。レベルは…。低い戦いなのかもしれないが。俺と海夜にとってはいい勝負と…。なってしまっていた。うん。俺の予想はこうではなかったのだが…。


「…。これはやばい」

「先輩、ホント優しいですね。大好きです」

「違う。マジで、腕が…」


うん。普段運動なんてしない子。すぐにスタミナが切れていた。なんか思ったところにボールが行かん。うん。溝掃除ばかりだよ。なんかボールの重さに負けているというか。頭の中で描いたコースに全くボールが行かなくなっていた。


ちなみに海夜も絶好調!ではないため…。今のところ1ゲーム目より点数はよくない。

でもまあやっている2人はぎゃーぎゃー楽しくやっていて…。


そこから少しゲームは進み。海夜が2ゲーム目全て投げ終え…。ここで俺が9本倒せば…。俺の勝ち。と、いう最終回。


「先輩。可愛い後輩が見てます」

「なんだよそれ」

「ストライクとかいりません。ってことです」

「狙うし。最後の力振り絞って投げるし」

「むー。酷いです。今まで私に勝たせてくれる感じだったじゃないですか」

「違う勝たせようとか全く思ってなかったよ」

「それはそれでむー。なんですけどー」


まあなんやかんや言っているが…、楽しんでいる状況である。


ちなみに地味にストライクが今までに1回しか出ていない俺。

ちなみに海夜は3回。2ゲームでね。

俺は1ゲーム目がピークだったらしく。2ゲーム目は明らかに点数が下がっている。って、うん。腕がヤバイ。限界ー。だが、最後。うん。最後だから力を振り絞って…、海夜に勝つため…。俺は投げた。


俺の最後の力を振り絞っての1投は…。真っすぐ勢いよく進んでいる。


「あー、ど真ん中いったー、曲がれー」


最後の最後で思い通りにいったので…。隣で騒いでいる海夜がいたが…。これは勝ったかと。と俺は思いつつボールの行方を見ている。


そして見事に俺のボールは真ん中を通過。


通過だ。ど真ん中を通過だったのだが…。


パカーン。というか。まあピンが吹き飛ぶいい音はした。

したのだが…。


「うん?」

「あっ、左右にわれた」


うん。海夜がつぶやいたように…。左右にだけピンが残り真ん中の6本だけが倒れた…。って、まてよ。


「あと3本倒さないとなのに…。2本2本で残ったし」

「先輩。諦めも肝心ですよ」

「いやいや、あと1回で3本、まあ2本でも引き分け」

「あっ、引き分けは…。どうしよう?」

「知らん。まあ3本は倒す」

「いやいや、先輩数字に丸?が付いたからあれですよ。難しい?ってか倒しにくい?とかですよね?」

「じゃあ…。とりあえず2本は倒して引き分けに」

「ダメです」

「なんでだよ」

「引き分けは面白くないですよ」

「いやいや、引き分けは引き分けでいいんだよ」


とか言いつつボールが戻ってきたら…。俺は再度集中からの…。


2投目を投げた。


が。


「あー、溝。それは溝ー。曲がれー」


と。俺が投げてすぐ言ったのだが…。俺の投げるボールは綺麗な真っすぐなため…。


「落ちろー」


ガタン。


うん。海夜が言ったと同時くらいにピンを倒さず勢いよく溝にボールが落ちた。


つまり…。


「私の勝ち!」

「…。2ゲーム合計なら勝ったんだがな」

「先輩。負け惜しみですか?」

「…。まあっか。終わったし。靴返してくるぞ」

「あっ、はい、何お願いしようかなー」

「あー、やだやだ」


結局海夜を喜ばす展開となったのだった…。うん。マジで勝ちに言ったんだが…。俺の腕というか。体力が無さ過ぎるな。うん。何か運動しようかな。とか思いつつ片付けを開始した俺達だった。


まあそんなこんなでボウリングは終了した。 

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