第68話 俺ダウン2

ピンポン。


とっとと寝たかったのにこのタイミングでの訪問者…。とか思いつつ俺が玄関へと戻ると…。


「…。はい」

「あ、先輩。って…。顔色めっちゃ悪いじゃないですか。大丈夫…。じゃないですよね?どうしたんですか?」


海夜がやってきた。もしかしたら…。昼休みの様子で何か気になったとかで俺が帰って来るのを待ち構えていたのかもしれない。とか俺は思いつつ。ここで変に海夜を頼ると…。なので。


「寝るから問題ない」


と、言いながら海夜に帰ってもらおうとしたのだが…。


「だめです。これは看病しないとですね」

「…。なんで楽しそうなんだよ」

「弱ってる先輩珍しいですから」

「…」


うん。この姿を見せたのがダメだったらしい。海夜が生き生きしているというか…。うん。面倒な感じに…。って頭痛い…。怠い。早くこいつを帰らそう。うん。風邪だとうつす可能性もあるからな。とかぼーっとする頭の中で考えていると…。思っていたより無言の時間が長かったらしく…。


「先輩?もしもーし。先輩?って…。実は…、めっちゃ体調悪くないですか?」


また海夜が俺の顔をのぞき込んできた。


「…。悪い。今は海夜の相手する元気ない」

「えっと…。先輩。ガチでやばくないですか?大丈夫ですか?私の顔見えてます?」


急に海夜が俺の横に立って俺の身体を支えてきた。そして俺の身体に触れた海夜が…。


「って、先輩。身体熱すぎですよ。これ熱やばいですから横になりましょう」


急に海夜が優しくなった。うん、マジで心配させてしまったのかもしれない。とっとと返さなかった俺のミスか…。


「海夜。大丈夫だから。うつすとだし。帰れ」

「ダメです。明らかに先輩やばいですもん。先輩帰ってきたばかりですよね?早く休みましょう」

「…。ストーカー」

「先輩馬鹿な事言ってないで。とりあえず大人しく寝てください」


そういいながら海夜が俺を支えつつというか…。引っ張りつつだな。室内へと入っていき。ベッドに座らされた。


俺はベッドに座ると…。あー、ダメだ。一気に怠くなった。なんかたどり着いたというか。一気に力が抜ける感じだった。


「先輩?」

「…。大丈夫だ」


俺が答えると同時くらいにおでこに何か当たった。って海夜の手か。と俺が理解した時には…。


「ちょ、先輩。横になりましょう。めっちゃ熱ありますよ。尋常じゃないくらい熱いですから。体温計体温計」


海夜がバタバタしだしていた。そんなに熱かったのだろうか…。とか俺は思いつつ。いや、まあ実際熱はあるんだろうな…。とは思っていたがな。海夜の顔がマジで心配している感じになったのでね。


「海夜」

「大丈夫です。任せてください。先輩とにかく大人しく寝てください」


うん。もう俺が何を言ってもダメらしい。海夜が勝手に俺の部屋をあさる…。ってか。場所を把握しているらしくすぐに体温計が出てきた。

そして体温計を見つけた海夜は思い出したように…。


「あっ、先輩。うちに冷感シート開いてるのがあったと思いますから持ってきます」

「…。悪い」

「あと、何か必要なら買ってきますよ?」

「海夜。もう夜だから変に出歩かなくていいから」

「…。先輩私の心配する前に身体の心配しましょうよ。すごい汗ですし。って着替えましょう」

「着替えくらいできる」

「なら、私が部屋に冷感シートとか取りに行っている間にしておいてくださいね。着替えたら熱測るんですよ。机の上に置いておきますから」

「…。はいよ」


それから海夜が部屋を出て行った音を聞いてから…。俺は着替えるが…。まさかのフラついた。いや、でも大丈夫。うん。ぶっ倒れてはない。ちょっと立ち上がった瞬間だけダメだったらしい。うん。大丈夫だ。


その後なんとか着替えだけはしてベッドに横になったら…。少しして海夜が戻ってきた。


「先輩、着替えれましたね。体温測りました?」

「…。あっ忘れて」

「はい、測ってください」


海夜が先程出してくれた体温計を再度手に持って俺に渡してきた。

そして測ってみると…。


「…」


うん。この体温計壊れているのだろうか。うん。ほとんど使わないから馬鹿になったのだろうか?とか俺が思いつつ体温計を見て固まっていると…。海夜が俺の手を掴み体温計を覗き込んできた。


「ちょ、先輩。39.3?やばいですよ。なんでムリしてたんですか」

「…。マジかー」

「マジかー。じゃなくて、先輩。ホントに大丈夫ですか?救急車とかいりますか?」

「いや、そこまでは。横になったら大丈夫だろう」

「…。素人判断は怖いですが…。と、とりあえず水分持ってきます。確か冷蔵庫に」

「…。海夜。水分ならうちにもある」

「あっ、なら持ってきます。って先輩薬飲めますか?」

「とりあえず水分のんだら…。休ませてくれ。寝る」

「わかりました。そばに居ますから何かあったら…」

「いやいや、海夜。大丈夫だから。海夜は帰れって」

「でも、高熱ですから、1人は…」

「わかったわかった。やばかったら電話鳴らすからさ。今は寝させてくれ」


うん。なんとなくだが…。寝れば何とかなるだろうと思っている俺。大丈夫だよな?と一割くらいの不安はあったが…。これ以上後輩に心配をかけるのもなのでね。


「…。わかりました。ちょくちょく様子見に来るので鍵借ります」


海夜はそういいながら机の上に飲み物などを出してくれたあと。

一度自分の部屋に戻っていった。


1人になると…。確かに何かの時は困るんだよな。とか急に不安になったが…。うん。とりあえず大人しくしようということで。っか、海夜が水分出してくれたから水分だけ飲んで…。俺は再度横になった。


ベッドのところに海夜が先ほど置いていってくれた冷感シートがあったので、それを貼り電気を消してとっとと寝た俺だった。


それから俺の記憶はなし。

いや、超怠いし。ボーっとしていたからな。でも横になったらかなり楽ではあった。なんか死んだように…。ではないと思うが。すーっと寝れた気がする。かなり疲れていたのかもしれない。

って…。主に海夜の相手じゃないか…?とか思ったような思わなかったような…。もうわからんな。うん。夢の中だ。おやすみである。

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