第48話  エイプリルフール

「先輩。今日はなんの日ですか?」


突然俺は海夜にそんなことを聞かれたが…。

確か今日は…。ってかどうでもいい事と思うが…。海夜の靴下のデザインが左右でバラバラなのは…。触れなくていいか。と思いつつ。


「大学の入学式」

「あっ、そうなんですか?」

「そう。多分…。昼からじゃないか?午前中ではなかった気がするな」

「なるほど…。って、じゃなくて」

「…。朝から来てうるさいなこの後輩」

「今日は何の日ですか?」

「なんだよホント…。ってえっと…。新年度?とかいうのか?4月になったし」


と、俺が言うと…。どうやら海夜は俺の解答にお気に召さなかったらしく…。


「だ、か、ら。4月1日といえば?」


と強く言ってきた。だからをめっちゃ強調してきたな。

うん。まあこの様子は…。全く俺の解答には納得していないらしい。って、まあはじめから俺も海夜が何を聞いてきていたか。何を言って欲しかったかは、わかってたんだがな。


「エイプリルフールだな」

「それですよ!その答えをさらっとくださいよ」

「で?」

「今から嘘つきまくります」

「…。それは…。別にいいが。なんかウザいな」

「テンション低い先輩ですね。今はフェイクニュース?でしたっけ?ネットでもいろいろあるんですから」

「まあなんか聞いたことはあるが…。大真面目に嘘をやってる国もあるんだっけ?ってか、海夜ら朝から来てそれを言いたかったのか?」


現在の事を説明しておくと時間は…。朝の9時過ぎいや10時前か。


そして先ほどから言っているが今日は4月1日である。

大学はまだ春休み。っか、春休み言いつつ。数日前に登校日みたいなものはあったがな。でもまあまだ1週間ほど大学は休みである。

ちなみに海夜もあと数日は春休みらしい。


そしてそんな中。

今何がこの部屋で起きているかって?


まあ海夜が…。いつだ?えっと…。数十分?前にやってきて…。

まあ先ほどの話だな。

俺は休みだし。ゆっくりしたい気分だったんだが…。うるさい後輩にぶっ壊されたよ。ってところである。

そんなことを思いつつ。俺がベッドに腰掛けると海夜が横にやってきた。


「先輩」

「なんだよ」

「実は私…」


と海夜が何かを言い出しそうな感じになったので…。


「なに?彼氏できたか?それともぶっ飛んで結婚か?または男でした?とか…。あとは…。宝くじでも当たった?とかいうのか?」


と。とりあえずパッとエイプリルフールと言えば…。で思いついたことを言ってみると…。


「…。先輩。エスパー?私が考えていたやつの八割くらい一瞬で言いましたよ」

「なんとなく浮かんだのを言っただけだが?」


うん。ちょっとだけ驚いているやつが隣に居た。っか八割か。どうせならパーフェクトが良かったな。と俺が思っていると…。


「むー、なんか予想と違う…。って先輩ホントに私が彼氏できました!とか言ったらどうしますか?」

「前にもそんな話してたよな?」

「い、今はちょっと関係変わったといいますか。って、なんかホント私が思ってたエイプリルフールと違う」

「そんなこと言われても知らんがな…」

「…。あっ。先輩、実は今日」

「なに?海夜の親が乗り込んでくる?」

「…。じゃ…。じゃあ…。えっと…」


また図星というかまたあたりだったらしい。

うん。予想するのはするで…。楽しいなこれ。っか俺すごいんじゃないか?とか俺が思いつつ。


「じゃあ?」


次はどんな話をしてくるだろうかと思いつつ。海夜が考えそうなことを俺は考えて…。


「そ、その実は私明日から…」

「海外にでも行くことになったとか?」

「…。先輩」

「うん?」


うん。またまた俺の予想は当たったらしい。ってかそろそろ俺も…。何か言わないとだろうか?とか思っていると…。


「なんで、ズバズバ当てちゃうんですか!どんだけ私のこと好きなんですか?」


なんか怒られた?ので…。まあ俺もお返し?を開始してみた。


「え?嫌いだけど?」

「…。えっ…」

「そりゃ、朝から乗り込んで来るわ。うるさいわ。だからな。迷惑だな」

「…。ですか」

「ああ。どんだけ人の家来るんだよ。ってな。マジ迷惑」

「…」


…。おっと?海夜がガチで落ち込んでいる?って、いやいや、誰だよ。エイプリルフール!とか言っていたやつ。とか俺は思いつつ…。


「海夜?」

「…。ぐすっ」


あっ、これやばいやつ?マジで隣のやつ涙目じゃん。とか俺は海夜を見つつ。


「…。えー。海夜泣いた?」

「な…。泣きますよ!そ、そんな風に…。か、帰ります!」


と海夜が立ち上がったが…。えっ?こいつマジ?と、俺は思いつつ…。


「エイプリルフールどこいったんだよ。嘘言いますじゃなかったのか?」


と俺が言うと…。


「…。あっ!」

「えー」


動き出していた海夜がピタッと止まり…。こっちを見て…。戻ってきた。

その途中目元を必死に拭いていた。そんなにゴシゴシすると赤くなるぞ。とか俺は思いつつ見ていると…。


「…。わ、わかってましたから。そうです。これは嘘泣き。先輩は嘘に騙されて慌てましたね」


うん。何だろう。こいつ…。やっぱり馬鹿というか。面白いやつだった。


「全く」

「…。そ、それが嘘ですよね」

「まあ、ウザいはホント」

「なっ…。あっ、これもエイプリルフール」

「海夜が言い出した割に一番パニックというな」

「ち、違います」

「っか海夜」

「な、なんですか」

「マジな話していいか?」

「ど、どーせ嘘ですよね。どうぞどうぞ」

「いやいや、これはガチでなんだがな。俺大学ちょっと休学して実家帰ることにしたから」

「…。はい?」


急に部屋の空気が変わった気がした。なんでだろう…。と思いつつも俺は話を続けた。


「いや、だから、まあ休学して実家帰りるから。まあ海夜とは…。さようならか。ほんとはちゃんと決まったら呼んで話すつもりだったんだがな。海夜が朝から来たからな。先に言っておいた方がいいかと思ってな」

「えっ?えっ!?」

「まあ、ウザい親がな。ちょっと緊急で帰ってこいやらでな。仕方なくな」

「えっ?嘘ですよね?先輩」

「いやいや、ガチって言ったじゃん」

「い、嫌です。なんでいきなり居なくなるんですか!」


今日の海夜はいろいろな表情をする。だった。これ…。面白いな。笑っちゃダメなんだろうが…。海夜と話していると…。楽しかった。うん。こいつと話しているとめっちゃ楽しいわ。である。


「…」

「先輩。大事な話ですよ!無言はやめてください!どういうことかちゃんと私にわかるように説明してください!」

「海夜」

「な、なんですか!」

「だから、エイプリルフールどこいった?」


なんか同じようなことを少し前にも言ったような気がするが…。まあ楽しいから良しだろう。と俺が思いつつ海夜が次はどんな表情をするだろうか…。と見ていると…。


「…」


次の瞬間には顔が真っ赤の海夜だった。いやー、こいつ…。こんなにかわいいというか。いろいろお馬鹿なんだな。と。このキャラ学校でしていたら人気者のなるんじゃないか?知らんが。とか俺が思っていると…。


まあその後も海夜とギャーギャー言い合ったりして。


あっという間に時間は過ぎ俺がふと時間を見ると11時を過ぎていたのだった。

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