第41話 再度
「…。っと」
…。ドサッ…。ゴソゴソ。
…。
…。
…。
「…。おい」
俺が寝てからどれくらい経ったかはわからないが…。ちょっとした衝撃と一瞬の浮遊感?は突然やってきた。
そして一応浮遊感の後俺は文句がてら声をかけたのだが…。まあ今のところ犯人からの返事はなしだな。
っか夢の中…。からいきなり現実へと戻された俺だった。
夢は…。なんかみていたかもだが…。忘れた。多分落ちた衝撃で忘れたな。っか。なんで俺はまた床に居るのかだよ。
と思いつつ俺は起き上がりベッドの方を見ると…。
ちょっと薄暗いから見にくいが。それでもわかるくらい、びっくりするくらい綺麗な姿勢で寝ているやつが居た。
まっすぐだな。頭から指先までピンとして…。というのか。まあとりあえずビシッとした感じだな。そして向きは壁側を向いて寝ている…。海夜がいた。
いや俺の夢の中かもしれないがな。俺が床に落ちる直前にちょっとなんか俺は感じたんだよな…。
背中あたりになんかな。強く押された感じがするんだが…。あとゴソゴソした音と。
とか思いつつスマホを探し時間を見てみると…。
「3時33分。うん。揃った…。じゃなくて」
何故こんな時間に俺は起きているのか。と思いつつ。
壁側にホントびっくりするくらい綺麗に寝ている海夜を再度見る。
まるで息も止めているみたいに静かというか。全く動いていない。
「…。海夜」
「…」
反応はない。まあ寝ている時の海夜なんてちゃんと見た事ないから本当に寝ているのかもしれないが…。まあ本当に寝ているなら悪い。って謝らないと何だが…。
「…。怪しい。っか怪しすぎるだろ」
うん。なんかかなり怪しいんだよな…。
こんなにビシッと寝てるやつって。まあそうやって寝るやつもいるかとは思うが…。どうやんだろうか。っかなんかな体勢的にも寝にくくないか?って感じで固まってるんだよな…。
っか、俺は完全に目が覚めた。
どーしてくれるんだよ。なんだが…。
いや、俺が勝手に落ちたは…。無いと思うんだよな。いやベッドのギリギリ隅っこで寝てはいたが…。うーん。断言は出来ないんだがな。でも…。
とか思いつつそっとベッドに戻る。
俺がベッドに乗った際にちょっとベッドが揺れたがそれでも海夜はピンとした姿勢のままだった。
あと壁をしっかり見ているというか…。ホント壁を向いてピンと寝てるんだよな…。海夜いつもこんな寝方なのか?
…。いやないだろ。と思いつつ。
「起きてるだろ」
「…」
反応はない。が、多分これは…。と思っている俺はそっと海夜の肩を触れた。
「!」
すると海夜の身体全身がちょっとだが。反応したというか。動いた。あれだな。急に触られてドキッとしたというか。驚いた反応をしたな。
「…。めっちゃ反応してるじゃん。寝てたら気が付かないレベルで触ったんだが…」
まあとりあえず肩を触れたら明らかに海夜は反応した。
が。まだ海夜は寝ているフリをするらしい。
俺は軽く海夜の肩に触りながら海夜仰向けにする。
薄暗い部屋の中だが俺は目が慣れてきているから海夜の顔はわかる。
見た感じは…。寝てはいるらしいが…。まあフリだな。ピクピクというか…。
笑いそうなのを我慢している感じ?なので…。今この瞬間もちょっとしたことで吹き出しそうというか。海夜の口元が限界をアピールしていた。
「落書きもありか」
「…」
うーん。ただ言うだけではまだ我慢するか。と俺は思いつつ。中指でそっと海夜のほっぺたを撫でる。すると…。
俺の指が海夜の肌にちょっと触れた時だった。
「…。ヒャ!か、書いた。ホントに書いた!」
「起きてるよ。やっぱり」
「…。あっ」
どうやらマジで顔に落書きをされたかと海夜は思ったのか。
海夜は自分のほっぺたを触りつつ起きあがった。っか…。ここからどうしようか。まあとりあえず…。確認をすればいいかな。と俺は思いつつ…。
「海夜。蹴飛ばしたよな?」
「…。せ、先輩は落書きしました」
「してないぞ?」
「今何か触れました。絶対なにか書きましたよね?もう。何で書いたんですか。まさか油性とかじゃないですよね?」
海夜から俺がちゃんと見えているかはわからないが…。とりあえず海夜はこちらを見つつ文句を言っている。ってまあ俺が居ることは暗闇でもわかるか。
でもまあこの文句言っているやつ。寝ぼけたりしてないから…。
かなり前からこいつも起きてたとみた。
と俺は思いつつ。
「夜中にこいつはマジで何してくるんだか。人の睡眠妨害しやがって」
「…。先輩は変態です。寝ている時に身体に触ってきました」
「言い方が悪いよ。っか蹴飛ばした方も触れてるよな?」
「け、蹴って…。ないです」
「認めないなら」
「…。なら?」
と。なんか海夜が期待?ではないが。気になります?的な感じでこちらを見てきた。
「なんで海夜はワクワクしてるんだよ」
「し、してませんよ!」
「何か期待してる顔だな」
「し、してませんから、てか暗いから見えないはずです」
「俺目が慣れたから見えてる」
「…」
「黙った」
「…」
「とりあえず…。寝るか」
「な、なんでですか!そこまで言ってなんで寝るになるんですか。言いましょう。気になるじゃないですか」
「…。寝ろよ。まだ夜中だよ。明日もってか今日も休みだが。寝ろ。日中怠くなるだろうが」
「…。認めないならなんですか。気になって寝れませんよ」
「気になってるのか」
「そりゃ…。内容によっては急いで逃げないとですから」
「ちなみにさっきはマジで油性ペンで書いたんだがな」
「…。えっ?」
いや俺が言ったことは嘘なんだが…。なんか絶望?したような顔をしながら海夜が四つん這いでベッドから降りようと俺の横を通過しかけた時に。
「…。どした?」
「か、書いたんですか?ホントに…。か、鏡。鏡」
「海夜。今の嘘だなら」
「ほ、ホントですよね?書いてないんですよね?」
「マジだ。こうやって…」
と言いながら俺は隣に来ていた海夜の顔をさっきみたいになぞる。
「ひゃっ」
「って、しただけだが?」
「…。先輩。それくすぐったいです。って急に触れないでください」
「再度実演しただけなんだが…。って、寝るぞ」
「目が覚めました…。びっくりして起きちゃいました。責任取ってください」
「うざい後輩だった…」
「先輩が寝るなら…。また蹴っちゃうかもです」
「よし、さっき蹴ったの認めたな」
「なっ、えっ?あっ」
「海夜。場所交代。落としてやるから」
「いやですよ。ってか、先輩私が寝ていた温もりを感じたいだけですよね?変態ですか?」
「こいつは次から次へといろいろ言ってくるな」
「変態、バカ」
「海夜」
「…。なんですか」
「今なら海夜がおとなしく謝ったら…。やっぱやめた」
「な、なんですか。さっきから途中で言うの止めて…。気になるじゃないですか。言ってくださいよ。先輩」
「いやー、やっぱ海夜喜ばせてもだから」
「むー。先輩がいじめてきます。あれですね。また撫でてやる…。からのくすぐりですね。わかってます。先輩が言いそうなことは予想できます」
「実は海夜くすぐられたい?」
「そんなわけないですから!」
「なんだ。ちなみにさっきはハグしてやるから大人しく寝ろだったんだがな」
「…。…。…。せ、先輩がハグとか言うとは…。ちょっとキモい」
うん。なんか言葉の刃物で刺されたというか…。言ってから自分で自分を刺した感じがしていたのだが…。さらに刺されてノックアウト。というか。慣れないことはするでないな。うん。精神的ダメージがデカかった。
「…。二度としないからな」
「あー、ごめんなさい。実はうれしいです。してください」
「…。素直すぎて怖い」
「…。じゃ、寝ますから…。その…。ハグしてください」
「おやすみー。大人しく寝ろよ」
そう言いながら俺は横になった。
「ちょ、先輩!なんでですか!」
とまあ俺はそのまま海夜をスルーしたかったが…。
「もう!馬鹿…。えぃっ」
「…。うん!?」
…。ドテッ。
なんか急に横から力が加わり…。急に視界が回転?というか。再度のちょっとした浮遊感。のちまた落下した俺だった。
「…」
「あっ…。先輩ごめんなさい。つい足が…」
うん。寝転んだら横からまた蹴られた俺。床好きすぎるだろ俺…。である。
なんか後輩の声がベッドの上から聞こえているが…。寝るか。相手すると大変そうだし。
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