第40話 過去の事
海夜の実家に行ってから少し後のとある夜のこと。
「先輩」
「なんだ?」
「今日は…。お泊まりいいですか?」
「やだ」
「な、何でですかー。明日もまだお休みですし」
「ゆっくりさせてくれよ。1人の時間も大切だぞ?この春休みはいろいろあったからな」
「…。まさか先輩」
「うん?」
すると海夜がなぜか少し顔を赤くして…。
「あ、いや…。先輩男の子ですから…。そりゃいろいろするかもですが…」
「いきなりこいつはなにを言い出すのか。マジで。思春期か?」
「ち、違います!なに言わせるんですか!変態!馬鹿!」
「いやいや…。海夜が言い出したんだが…」
「先輩の変態。私が居るのに…」
「おい、変態女子高生」
「なっ」
「アホな事言ってないでちゃんと帰って休め」
「先輩が帰れというなら帰りますが…。私は拗ねて1人で夜な夜なコンビニに行くかもしれません」
とか口をとがらせながら言う海夜。まあその場合俺が言う返事と言えば…。
「いってらっしゃい。補導されるなよ?高校生」
だよな。うん。間違っていないはずだ。すると…。どうやら返事にご不満だったらしく…。
「ちょ、心配とかしないんですか?」
まあそんな返事が来たが…。
「…。ノーコメントだな」
まあちょっとはな。心配だな。こいつマジで最近子供化…。いやガキ化してるからな。とか俺が思っていると…。
「ちょ…。もう。私は本当に行きますからね?私に何かあったら…。ですよ?心配しないんですか?」
「はいはい。うるさい奴だな。危ないから夜は出歩くな。アイスでも欲しいなら冷凍庫にあるから」
「あっ、アイスいいですね」
「目が輝いたよ」
「じゃ、アイス食べながらお話しましょう」
「…。子守はマジで大変だ」
結局今日は泊まるというか…。まあ海夜は甘えたかったらしく…。
アイス食べている時は俺の横に来て俺にもたれながらアイスを食べていた。そして…。
「アイス美味しいかったですね。ちょっと身体冷えちゃいましたけど」
「そして温めて欲しいからくっついてくる甘えん坊っと」
「違…。わなくないですけど…。先輩のとなりは落ち着きますよ」
「寝るならベッド」
「まだ眠くはないです」
「っか、夜にアイスは太るかもな」
「なっ、な、なんで先輩はそんなこというんですか…。もう。まあ太ったら先輩と運動しますから」
「巻き込まれたよ。っか前にもあったな。夜にアイス。っかコンビニに夜行って財布持って来なかったやつもいたな」
「だ。誰ですかね?そんな人いるんですかね?」
「海夜ってやつだな」
「…」
俺が言うと…。海夜がちょっと恥ずかしそうに隣でしていた。
「とりあえずまあ海夜は…。小さいから大きくならないとだよな」
「先輩…。怒りますよ?」
「怖い怖い」
「いじめてばかりくる先輩はまた夜蹴飛ばしますか…。。あっ」
「うん?」
「な、なんでもないです」
と、慌てて海夜は何でもないとか言ったが…。
そういや…。俺はあの日の夜…。ベッドから落ちたような…。
「海夜」
「な、なんですか」
「やっぱりあの時俺をベッドから蹴飛ばしたな?」
「…。な、なんのことですかね…」
「前に一度夜にベッドから落ちたんだよな」
「そ、それは先輩が勝手に…。落ちたんですよ…。はい。そうです。そうに決まってますよ」
「海夜」
「…。はい」
「正直に言ってみろ今なら許してやるかもしれないから」
「かもって…。っていえいえ私は何もして…」
「蹴り落としたな?」
「し、し…」
「…」
うん。隣でもじもじしている海夜を見ているのは…。面白い。
「先輩、見過ぎです」
「よし。嘘言ったらくすぐる。事実を言ったら頭くらい撫でてやる」
「やりました!ごめんなさい」
こいつ馬鹿なのかな…。あっさり認めた。ってか撫でられたいのね。
「…。こいつ…」
と、とりあえず俺は海夜の頭に手を当てて…。海夜の頭をわしゃわしゃしておいた。
「なっ、うー、先輩。それは撫でてないです。髪の毛をわしゃわしゃしただけじゃないですかー。ボサボサになりました。もう」
「だな。じゃ次はくすぐりか」
「ちょ、なんで」
海夜が髪を直しながらちょっと俺から離れた。
「撫でてやる。そして最後にくすぐりっていう予定だったからな。海夜が先にフライングしたから」
「ずるいずるい。先輩ずるいです。絶対今付け足しました!私はちゃんと認めて謝りましたから」
「っかお前も先輩を蹴り落とすなよ。ベッド借りている身で」
「先輩が…。いじめたからです」
「いじめてはなかったような…。あの時は確か…」
「もう思い出さなくていいですから」
「でも、まあ蹴飛ばされたから…。ほらこっち来る」
俺は海夜にこちらに来るように手招きをするが…。
「い、嫌です。そ、そろそろ帰ります」
「泊まる言わなかったか?」
「き、気分が変わりました。やっぱり1人も大切…。先輩。ゆっくり近づかないでください。あわわ…」
うん。すでに後ろが壁で逃げ場の無い海夜だった。いやいやこの部屋狭いんだから逃げ場なんてないからな?
っか…。わたわたしていてめっちゃかわいいな。こいつ。
「海夜。笑い死ぬ準備したか?」
「し、してませんから。って…。し、死にたくたいですよ」
「大丈夫。笑って海夜が壊れるだけだからさ。予定では」
「意地悪!それはいじめです…。あ、ぅぅ…」
はい、確保、案外すんなり海夜は捕まり…。
俺に抱かれた。こいつ軽いからな。
そして簡単に胡座で座った俺の上に海夜は乗せれた。
「…」
「海夜。どうした?」
「…。身構えてます。あといつでも先輩を叩く準備。蹴る準備をしています」
「怖っ」
「や、やるなら、やるです。あとで先輩泣かせますから。もう土下座する先輩が…、イメージできてます。はい」
「さらに怖っ。ってか、海夜の弱点どこ?」
「言いませんから!」
「まあ全身くすぐればいいか」
「変態。先輩は変態でした。叫びますから」
「あー、そうか。笑わすと近所迷惑か」
「そ、そうですよ!先輩お巡りさん呼ばれますよ」
「じゃ…。海夜。布でも噛むか?あっタオルとかでいいか」
と、俺が探すふりをすると…。
「酷っ」
「まあしないがな」
と。座り直す俺。そして海夜を再度…、まあちゃんと抱える。っかこいつ…、普通にもたれてきてるんだよな…。謎だ。くすぐられるかもしれないのに…。
「もう。先輩…。意地悪です。変態。馬鹿」
「まあ夜蹴飛ばし返すくらいにするかな」
「えっ…。蹴飛ばされるんですか?私」
「蹴り落とされた側の気持ちも味わってもらう必要があるからな」
「…。できるんですか?先輩」
「する」
「即答しましたよ。この先輩」
「しつけは大切だからな」
「…。で、でも、私は壁側です」
「壁に激突か。それはそれで痛いかもな」
うん。話しながら思った。気が付いたが…。そうだ俺が蹴とばして海夜を落とすには…。海夜と場所を交代しないとだな…。とか思いつつ話していると…。
「蹴る気満々だ…」
と、海夜がちょっと…。悲しそうというか…。何だろう。そんな顔をしている気がしたので…。
「まあ蹴らないがな」
とか言ってみたら。
「…。先輩。めっちゃ私に甘く無いですか?甘いですよね?結局何もできないパターンですよ?これ」
うん。こいつも態度ころころ変わるよな…。とか思いつつ。
「くすぐって蹴飛ばすか。そして壁にドン。あっ、これは響くからダメか…。やっぱり場所を交代して…」
「酷っ、急にまた酷くなりました」
とまあ、結局しばらく海夜を抱きながらそんな話をして…。2人とも眠くなり寝たんだがな。いつものように…。
話していると時間があっという間でな。ホント時間が早いんだよ。って事で寝たのだった。
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