第30話 おでかけ3
ホテルに着くと――ちょっと予想外。うん。良い意味で予想外の光景だった。
「いやー。なかなか……良いところで……っかめっちゃ綺麗な。豪華なホテルだな」
俺がホテル内に入ってから周りを見渡しつつ言う。
「入り口もおしゃれですね。これは部屋もワクワクですね。先輩早くチェックインしてきてください。早く!」
「はいはい」
俺は海夜に背中を叩かれつつ受付へと向かう。
ホテルは一応ネットとかで見たから雰囲気は知っていたのだが……実際見ると……リゾート地というのかそういうイメージ。雰囲気で作られたらしく。すごくいいところだった。
俺が受付でチェックインをしてから2人で部屋の方へと行ってみると――。
ガチャ……。
「……おー。部屋も広いですね。明日の朝には海が見えるみたいですね」
「だな。まあこれであの値段なら……お得か。夕食朝食のビュッフェ?付きだし。って海夜。先に夜ご飯食べに行かないと終わるぞ。来るの遅かったから。誰かが閉園時間までマジで遊んだり買い物したりしたからな」
「あっ、そうでした。荷物置いて会場行きましょう先輩」
ホテル着いてからは俺たちはまずビュッフェを楽しみ……いや時間的には乗り遅れた……だったのだが。料理はたくさんあったし。そもそも人もまだ多くいたので俺たちも普通に食事を楽しんだ。
そして満腹になってから。俺達は部屋へと戻り……即ベッドやソファでくつろいでいた。
「食べました……」
「大食い後輩」
「なっ……そ、そんなことないです。ちょっと美味しかったので多めに食べただけです。それに今日はたくさん動きましたからね。お腹が空いたんですよ」
「……誰だよ。食べ放題だからって最後にプリン3つも食っていたの」
俺が先ほどの事を言うと……海夜は俺から視線をそらして……。
「……し、知りません。先輩もお寿司ー。とか言ってバクバク食べてました」
「そりゃ海の近くだから海の物食べたくなるだろ」
「あっ、そうそう。もう少ししたら温泉も入ってこないとですね。温泉も楽しみだったんですから」
「話を無理矢理変えたよ。この後輩」
「何のことでしょうか?」
まあそんな話をしながら休憩のち。俺達は温泉へと向かった。
っか温泉とか久しぶりだったが……めっちゃ気持ちよかった。海夜に1日振り回されたからか。超リラックスというか。しばらく俺はお湯の中でくつろいだ。あと露天風呂最高だった。うん。最高。
俺が風呂を満喫して部屋へと戻ると……。
「あっ、先輩。おかえりなさい。長風呂でしたね。のぼせますよ?」
「せっかくだからゆっくり楽しむだろ普通。あんな露天風呂とかあったら」
「まあ私は朝も行きますから」
「……誰かさんも十分温泉にハマってるじゃん」
それからはホテルの売店で買ってきた飲み物を俺たちは飲みながら部屋でくつろぐ……ってそこで俺は思い出した。かなり重要なことを思い出した。
「おい海夜。思い出した思い出した。お前のところの親とのこと。どうなってるんだよ」
「あー。忘れてました」
「いやいや、結構重要な気がするのだが……」
「大丈夫ですよ。先輩が刺されたりとかはないはずですから。多分」
「はず……ってのが怖いんだが……ってかなんでこんなことになってるんだよ。あと海夜の親ってめっちゃ厳しそうなイメージを勝手に持っていたんだが……」
「まあ父は厳しいですが……高校生になったらすぐ私を1人暮らしさせてくるくらいですから。でも裏では甘々なのを母からいつも聞いてますし。実際見たことはありませんが――」
まあさっきの母親からのメールの一部にもそんな光景がわかるところがあったが……と俺は思いつつ。
「……なんというか。面白い家庭で」
「大変なんですよ?高校への入学が決まったらいきなり追い出されますし。一応通えなくもない距離なんですが。ほぼ勝手に決められましたからね。まあはじめは1人が大変でしたが慣れたら……楽というか自由ですから。なので1人暮らしをさせてもらっていることには感謝してます。いろいろ経験できますし。家事とか料理も」
「前もそんなこと言ってたな」
「そして年末?だったかな?に母親に連絡した時に…………そろそろ――彼氏くらいできたの?と聞かれたので勢いで先輩の事言っちゃいまして。で、そしたら母が嬉しそうにして――」
うん?ちょっと待て。今なんかおかしいことあったような……と俺は思いつつ。
「ちょちょ、海夜。お前今なんて言った?」
「—―大丈夫です。紳士的な先輩と言いましたから」
……なんでこいつこんなに普通に飲み物飲みながらこの話してるんだ?と俺は思いつつ。
「それもだが………彼氏?誰が?」
「……それは――――――――はい」
さすがに海夜の表情が変わったというか……なんだろうか。急にもじもじしだしたんだが……まあとりあえず嘘を言っている後輩の横に移動して後ろからほっぺを掴んでみる。
「ふがっ――!?ひゃにお――!!」
「面白い顔するな」
とそこで手を離すと海夜はこちらを向いた。
顔を真っ赤にして…。
あっ俺がほっぺたを引っ張ったから……ではないと思う。
そんなに強くしてないはずだから。っか……なんか勢いで触ってしまったが……これ怒られる?とか思っていたら。
「変態!」
普通に怒られました。
「いやいや、勝手に人の事紹介するからだ。どうやって訂正するんだよ!」
「……知りませんよ」
「おい」
「でも……あながち間違いでもないので……」
「間違いしかなかった気がするんだが……」
「と、とにかく。大丈夫です。とりあえず先輩の姿は母親に送ったので……」
「送ったので……?って何を送……あっ、あれかさっき遊園地の中で撮った写真」
「はい。そしたら早速母が……」
と海夜は自分のスマホの画面をこちらに見せてきた。
そこには「あらー。いい人。帰って来るときは必ず3日前には言うのよ。美容院とか行かないとだから…………」とかいろいろ書かれたまた長い長い文章が送られてきていた。
とりあえず俺はそっと海夜の前に移動。
「……先輩?」
そして再度そのまま両手で海夜のほっぺたを摘まんだ。っか……こいつ逃げないんだよな。
「ふげッ……ふがぁ……ふにゃにゃ……」
「うん。いい顔」
ちょっとさっきより長めに引っ張っておいた。
「痛い……ってもう!先輩。何するんですか!」
海夜は自分のほっぺたをさすりながら……って、俺何してるんだ?海夜で遊んでる……うん。そうだ遊んでいるだけだ。なかなかいい反応してくれるからちょっと楽しいんだよな。
「……やわらかいな」
「変態!」
そして再度怒られた俺だった。さらに今回はしばらく結構な力でバシバシと背中を叩かれた。まあ途中から海夜は笑い声に変わっていた気がするが。
「でだ。お前どうするんだ?ホント。俺は行くべきなのか?いや連れて行かれる?」
「はい。なのでよろしくお願いします」
「お願いしますって言われても……」
「もう決まりました。なんか親も先輩なら大丈夫みたいですから。本当はもっと何か言われるかと思ったんですが。こんな感じですからこれはチャンスです」
「お前は何がしたいんだか……」
とホテルでの夜はそんな感じに話していたりしたら過ぎていった。
何度か海夜がアホなことを言うたびに頬っぺたやら引っ張ってみたが……懲りないのか。何度もアホなことを言う後輩だったな。
まあ……なかなか楽しい時間でもあった。
そして翌朝はゆっくり起床。
さすがに遊び疲れたのか海夜はベットでまだ寝ている。ちなみにベッドはツインだったため。俺が蹴られるとかそういうことはなく。安心して寝ることが出来た。
「……なかなかかわいい寝顔で」
そういえば海夜の寝顔とかはあまりちゃんとは見たことはなかったな。とか思いつつ。いいことを思いついたので。そっとスマホを取り出した俺だった。
……。
……。
……。
それからしばらくしてから海夜が起きて……。
着替えやらで俺が洗面所に追い出されまして……何故か海夜が洗面所に行くっていう選択肢が無いんだよな……謎。
そして着替えなど。準備が出来た後は俺たちは朝ご飯を堪能してから。
本日の予定はこのあたりの観光をして帰ることになっていた。
ホテルからシャトルバスで駅方面まで移動して駅周辺のお店などを見たりして昼過ぎまでこのあたりで過ごした。
っかなんか昨日の夜に。海夜の親がどうとかこうとか話していたが……。
寝たらいつも通りというか、まあ多分行くことは間違いないんだろうし。何とかなるかという感じで俺はいたが……どうなるのだろうか。ということが少しあったが……。
まあそんな俺を気にすることなくというか。
海夜は終始楽しそうにお店見たり。食べたりと。お出かけを満喫していた。
そして帰りもまた行きと同じく3時間ほど移動にかかるので早めに俺たちは帰りの電車に乗った。
そしてその電車の車内で……。
「—―あっという間でしたね」
「俺の財布が軽くなったな」
「先輩がお返しで提案してきたんじゃないですか」
「あれは本屋のミスだ。俺が欲しかったのじゃない」
「なら買うときに気が付きますよね?」
「……マジでちゃんと見てなかったんだよな……」
「まあ先輩のミスですね」
とはじめは話しながら帰りの電車に乗っていたが……。
しばらくすると2人とも夢の中。途中の乗り換え駅までは爆睡だった。
その後乗り換えた後もまた夢の中だったりする。
こんな感じで海夜とのお出かけの2日間は過ぎていった。
いや1日目の遊園地が一番大変だったな。うん。まあ2日目の時間は短かったが。のんびりと市内観光。俺はああいう方が好きかなー。とか思いつつもまあこの後輩と動くのは楽というか。まあいろいろあったが楽しいものだった。
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