第26話 お迎え
海夜から傘が朝壊れてしまったから雨が夕方も降っていたら迎えに来てほしいという連絡が来てからしばらくして…。
「やむどころか…。大雨だし。むしろ昼間よりひどくなっているし」
俺は空を見つつそんなことをつぶやいた。
結局俺は高校、大学方面に向かっている。
雨はやむどころか大雨。
なんでこんな日に…。と思いつつ。久しぶりの大学へ向かっている。
まあ春休み中でもサークルで来ている人や。ゼミで来る人。図書館とかを利用する人がいるので大学に向かうときも何人か大学生ぽい人が電車に乗っていた。
まあ天気が悪いからか結構電車とかは車内ガラガラだったがな。
そして大学の最寄り駅に到着してからは…。まだ高校が終わるまで時間があったのでとりあえず大学の売店へと俺は向かっていた。
何故かって?理由は傘が1本しかない問題が解決していないからだ。
電車に乗る前にもコンビニに寄って来たが…。
何故か今日に限ってビニール傘売り切れだった。みんな…。傘壊れたのだろうか…。
っか俺も折りたたみ傘しか持ってないのでこれでは海夜と2人は…。かなり狭い。なので1本でいいからと売店に向かったのだが…。
「なんで1本もないんだよ」
大学が休みだからだろうか。売店は全体的に物が少なく。
俺が探していた傘に関しては…。売り場はあったのだがすっからかんだった。
「…。マジかぁ」
まあこれは海夜が濡れないように傘1本で家まで頑張るしかないか。と俺は思いだしていた。
このあたりは…。以前にも言ったと思うが何もない。びっくりするくらい何もない。ホント何もない。俺が大学に来てから数ヶ月。1年以上か。経っているが何も建物が建つ気配がない。平和な田園風景のまま。
まあ今は雨風で平和ではないと思うが…。
結局売店はへと行ったのは無駄足となり。
高校が終わるまで外に居るのは雨に濡れて冷たいので俺は図書館で待つことにした。
ちなみに図書館にはたまに来るが…。
春休み中は初めて来た。ってか館内は人が少なく。とっても静かであった。いや普段も静かなんだが。大学がある時はな。もっと人が居るし。なんか話声とかではないんだが。ちょっとなザワザワ感があるんだが…。今日は静かだった。歩けば足音が響くような感じだった。
っか俺が図書館に向かっている時に何人かの学生は見たが…。みんな天気が悪いからかもう駅に向かっている感じだった。ちなみに春休みなので図書館ももうすぐ閉まる。まあそれまでには海夜が言った高校が終わる時間になるので問題ないがな。
そして俺は図書館に来たがとくに何かをするでもなく。
ただ入り口近くのソファに座って待って居た。
それから15時を過ぎたあたりに海夜に…「図書館にいるから終わったら連絡しろよ」とメールを入れておいたのだが…。
それからしばらくしてもまだ海夜から返事はない。
待っている間にたまに外見るが…。土砂降りだった。
そして16時を過ぎたくらいにやっと…。
「すみません。先生に呼び出されてました。今から下駄箱向かいます。って先輩下駄箱。高校の入り口ってわかりますか?」
と海夜から返事があったが…。俺はここの高校の卒業生ではないので入り口とか全く知らない。
「わからん」
と返すと。すぐに海夜から返事が来て…。
「高校の方の道に入ったら建物のところで右です」
内容を確認してから「はいよ」 と返事をしてから俺は図書館を出た。
外はまだかなりの量の雨が降っていた。これやまないだろ…。とか思いつつ俺は歩き出した。
そして図書館からはじめて高校の方に俺は向かって歩いていく。
グラウンドがあるから普段も大学生が歩くことはあるだろうが。
今日は雨。駅の方に足早に向かう高校生数人しかすれ違わなかった。
多分下校のピークはとっくに過ぎているのだろう。海夜もはじめ15時くらいって言っていたし。っかなんか…。俺目立っている気がする。
数は少ないが周りを歩いているのはみんな高校の制服着てるし。私服の俺がそれも逆走。校舎の方に向かってるんだからな。目立つわな。である。
そんなことを思いつつ。とりあえず海夜に言われた通り右に曲がると普通に入り口が見えてきて…。下駄箱が見えた。って海夜どこだよ。絶対あいつなら目立つはずなのに…。数人しかいない入り口付近なのだが…。今のところ海夜の姿がない。
どこいるんだよ…。海夜は…。とか思いつつ進んで行くと…。見覚えのある制服姿の生徒が廊下?の方から小走りで出てきた。うん。居たわ。そして…。
「先輩!こっちです。こっち」
という声が…。って周りから見られるからやめろ。馬鹿。ってもう視線集まってるよ馬鹿。とか思いながら俺は海夜のところに歩いて行った。
「先輩ありがとうございます」
「ああ。でだ。あいにく傘は1つしかなく。コンビニ、売店見てきたが売り切れだった。以上」
「つまり先輩はいろいろ理由つけて私と相合傘がしたいと」
おかしいな。俺…。説明下手だったか?なんでそんな結論にこいつの頭の中ではなったのだろうか…。ってそもそもこいつは何故笑顔なのでしょうか…。
俺は全くわかりません。はい。
「…。言ってないからな。っか下駄箱で目立つことはやめろ。見捨てて帰るぞ」
「それはダメです。そして大丈夫ですよ。もう放課後ですし。今日は天気悪いからかみんな帰るの早いみたいですから」
「…。先生に呼び出しくらう優等生だからな」
「むっ…。悪いことではありませんから。むしろ授業で私の作った作品が学校代表になっただけです」
「はいはい。まあ帰ろう。長居は目立つ…。って海夜。おまえやっぱすごいな。いろいろと」
「でしょ?」
どうだ。見たか。みたいな感じの海夜を傘の中に入れて…。海夜がなるべく濡れないように傘を調整して俺たちは歩き出した。
「すごい雨ですね」
「ほんと。なんでこんな日に傘壊すんだよ」
「こんな日だから壊れるんです」
「…。まあそうか。朝もかなり風があったからな」
「そうです」
と話しながら駅に向かう。
そして電車に乗って帰り…。
いつものように俺のところに海夜が来てご飯食べ終えたくらいに「これお返しだ」とか言って午前中に買ったもの渡しましたとさ…。
みたいな感じになる俺の予定だったのだが…。
それから数分後。
俺の予定は崩れ去ったのだった。
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