第25話 お返し……

バレンタインが終わってからもとくに変わることなく。

毎日当たり前のように海夜は俺のところに通っている。

バレンタインの時はなんか恥ずかしがっていたから…。数日くらいは何か理由つけてしばらく来ないかも。とかちょっと思ったりしたが…。

そんなことは全くなかった。


そして…。


「先輩。ホワイトデーは何返してくれますか?」


「わたしぬいぐるみもいいですが。やっぱ美味しいお菓子もほしいです」


「あっ、サプライズのお出かけとかも、嬉しいですよ」


「ちなみに…。もし忘れてたら…。わかってますよね?」


この後輩…。

バレンタインが終わってからしばらくは何も言っていなかったが…。

3月に入ると猛アピールというのか。なんというのか。

めっちゃくちゃホワイトデーのお返しを期待!!と、言わんばかりに毎日そんな話を1度はしてきた。


そして主に海夜の晩御飯作り。休日のお相手以外してないはずだったのだが…。

なぜか1日があっという間に過ぎていくこの頃。

気がついたらもう明後日がホワイトデーという…。果たしてどうするか。と、先程海夜が帰っていき。部屋に1人となったので寝る前にボーっとしながら俺は考えていたが…。

いやな最近ずっと考えていたんだが…。何も思いつかないんだよ。そして気が付いたら寝ていて朝が来るというサイクルだな。


「結局どうしたらいいんだ?やっぱなんか買ってきたらいいか…?」


俺がそんなことを津備焼いても1人の部屋なのでもちろん返事はない。


っか初めは気にしていなかったのだが。海夜のアピールとホワイトデーの話をニュースやらを聞いていると…なんかな気になるというか…。

これはお返ししないといけないとかいう気持ちに俺はなっていたんだよ。


でもな。ここ数日寝る前にこのように考えてはいたんだが…。

未だに「これだ」というのが浮かんでいなかった。

いやチョコとかもらったことなかったからな。お返しになにするとか全く知らなかったし。

とりあえずだがスマホをポチポチして検索して調べてみたりもしたが…。ピンとくるものがなかった。

っか…。俺海夜の誕生日の時も結局ケーキとプレゼント予定だったが。ケーキケーキで忘れてたままで…。あの時にプレゼントも1度経験していれば…。だったんだが。ってうん。あの時は海夜ケーキがプレゼントと思ってくれたのか…。何も行ってこなかったから。俺はなるべく触れないようにしていたんだが…。

うん。今回は…。ケーキじゃな…。まあ最悪。という最終手段で取っておくが…。


そんなこんなで結局悩んでも悩んでも浮かぶものはなく。

当日の朝になっても何も思いついていなかった俺だった。

そして朝から…。俺大丈夫だろうか。

ホント今日蹴られるか。叩かれるか。最悪刺されるかもしれない。とか思っていたのだった。


さて。

ホワイトデー当日。


あいにくというのか。ホワイトデーに天気が関係するかはわからないのだが。今日は朝から雨だった。

昨日あたりから3月なのに寒さがまた少し戻ってきたのか。または風があるからか。今日の雨は冷たい雨だった。

数日前にはいい天気があったんだがな。


多分だが…。海夜はもう学校に行っただろう。時間的にな。

そして俺はとくに予定もないのに今日に限って早く起きてしまっていた。

確か昨日も海夜は夜帰るまでずっと「お返しなにかなー。楽しみだなー」みたいに言っていたから…。

いやホントどうしましょうかね。の状態だ。

今どきの高校生って何欲しいの?全くわからないのですが…。

ここ最近海夜もなんか希望みたいなんを言っていた気がするが。お出かけやらだったしなぁ。今日は休みでもないし。そもそも雨だし。まあそれはそれで日を改めてどこ連れてけばいいかと決めていたのだが…。とりあえず今日を乗り越えないとなので…。


「どうしたことか…。お返しってこんなに悩むものだっけか」


俺は朝から1人でぶつぶつ言いつつ考えていたが…。

あまり部屋に籠って考えていてもなので…。雨が降る中だが。俺はショッピングセンターでも見てくるかと。いやホワイトデー当日だから何かいいものがまだ売っているんじゃないかと思ってな。それに早く起きていたし。


なので俺はほぼお店の開店と同時くらいから店内をぶらぶら見ていた。


「やっぱお菓子か。あとは毎日使えそうなものか…。にしてもいろいろあるが。逆にいろいろあって悩むという…」


1人ぶつぶつ。って怪しい人じゃないからな。

まあとりあえず1人でぶらぶらと店内で見ながら俺はお返しの検討をしていた。


そしてしばらく歩き回った結果

とりあえずお菓子を買っておいた。ショッピングセンターの一部で山のようにあったお菓子ではなく。ちゃんとあれから帰り道にケーキ屋に行って焼き菓子?でいいのか。うん。焼き菓子だな。その詰め合わせを買った。

っか結局最悪の場合に…。で残していたケーキ屋に助けられたな。いやお店に来るまではな。ケーキの考えだったんだよ。でもお店に来てみたら…。焼き菓子もあるじゃん。となったわけ。そしてどれもちゃんとお返し用になっていたとくれば…。そっちを買った方がとりあえずいいだろうということで焼き菓子になった。


とりあえずはこれで叩かれたり刺されそうになるは回避できるだろうが…。


海夜が満足するかがわからない。

でもなんか…。お出かけ行きたいアピールが強かったからなぁ。と思いつつ。

雨の降る中だが。俺は先ほど買った焼き菓子を家に一度置いてからまた出かけていた。


そして俺は本屋へと向かった。


「…。まあ、こういうのもありだろ」


俺は本屋で近場の観光地やら女子に人気やらと書かれている散策マップみたいな本を見ていた。行き先はお楽しみで連れていく…。とか言うレベルの高いことは俺の経験値からするとなかなか難しいので…。

っか。海夜がどこ行きたいとかがわからないから。なら一緒に考えて決める。

そして交通費を俺が出して連れて行くでいいか。とか考えていた。

なので近場の観光地とかが載っている本を買って海夜に検討してもらうことにしたのだ。


そして目的の物を買って本屋を出ると…。


雨はかなり強く降っていた。風も朝より強くなってきた気がする。

ホント最近の天気は極端だな。新年1月はしばらく雪の中での生活だったし。雪がなくなってきたと思ったら。急に暖かい日…。と思わせてからのこの冷たい雨。なんだよこれ。とか思いつつ俺は家へと向かった。


そして家へと帰って来ると…。朝っぱらから動いていたのだが。なんやかんやといろいろなところに行っていたのですでに昼過ぎだった。


時間が経つのが早いな…。とか思いつつ荷物を置いて休憩と俺が思った時にスマホにメールが来ていたことに気がついた。

相手は…。海夜だ。


そうやっと、やっとだよ。

数日前に海夜と連絡先を交換した。

たまたまというか。海夜が「先輩と連絡がとれないと何かあった時困りますよね。今更ですけど…」とホント今更だが海夜が言い出してやっとだが俺たちは連絡先の交換をした。


まあ使うのは「高校終わりました。今から帰ります」やら。海夜からの一方通行みたいな感じで俺は海夜からメールが来たら返事だけ送り。晩御飯の準備みたいなかんじだった。

って…。今思うと…。俺なんか海夜の親みたいなことしてないか?


まあとりあえず海夜の帰ってくる時間がわかると晩御飯も作り出す時間が決めやすいというか。いつ帰って来るかわからない海夜を待つより楽。っていうか。

海夜とは毎日会うから連絡先は知らなくていいだろう。みたいな感じだったが。あれだ毎日会うからこそ連絡先知ってた方が楽だった。と今更知ったな。うん。交換するまでに何か月かかったんだか…。もっと早く交換しておけばよかったよ。


ってそうそう。そんな過去のことより…。

こんな早い時間に海夜は帰って来るはずないのでどうしたのか。と思いつつ俺はメールの画面を開くと…。


「先輩ヘルプです。夕方になってもまだ雨が降っていたら傘を持って高校まで迎えに来て欲しいです。朝学校行くときに風にあおられて折り畳み傘が壊れてしまったので…。助けてくださーい。無視は怒りますよ」


という文章が来ていた。

っか俺の家には傘…。1本しかないんだが。それも折り畳み傘が。とか思いつつ。

まあとりあえず「了解了解。何時に終わるかだけ連絡しろよ」とだけ返事をしたらしばらくしてから…。


「ありがとうございます!今日は15時くらいには終わります!雨降っていたらお願いしまーす」と返事があったのでもし雨が夕方も降っているようなら春休み中だが大学方面に行くことに俺はなった。

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