第23話 雪の日続
やっと海夜が帰ったな…。とか思いつつ。
俺がのんびりしていると…。
ピンポンピンポン
インターホンが連続で鳴る。
この時間に荷物が何か来るなどは絶対ないので…。海夜の可能性がかなり高い。
俺は瞬時にそんな予想をしたので…。寒いし無視も一瞬考えたが…。
出ないと何かあいつは起こすかもしれないので…。一応ドアを開けることにした。
「…はい。どちら様…?」
「あっ、。先輩。早く開けてくださいよ。このままだと凍死します」
「…。だから。寒いならなぜまた来た」
ドアを開けるとやっぱり海夜が立っていた。
風が吹いているので少し雪が海夜の服にすでに付いている。っか外めっちゃ寒い。
「で…。どうした」
「先輩。またお泊りしに来ました」
よく見れば今日はちゃんとカバンを持っていた。
「おやすみ」
「ちょっと、ちょっと。なんでドア閉めようとするんですか。って寒いです。早く中に入れてくださいよ」
「なんでこうなる…」
さすがにこのまま玄関で話すとめちゃんこ寒いので…。
俺は海夜を部屋の中に入れた。
そして部屋に入った海夜は直線に炬燵へと滑り込んでいった…。
「で、何しに来た」
「だからお泊りに来たって言いましたよね?まだ休みですからね」
「自分の家の方が落ち着く思うが?」
「…。まあ先輩と話したくなったので…」
「雪の中わざわざ来るか?」
「ダメですか?」
うん。今の聞き方はかわいいが…。
「かわいく言っても待遇はかわらないぞ?」
「なっ。そ、そんな狙いありませんから」
「っか寒いし。とっとと俺は寝る予定だったんだが…」
「先輩。もう寝るんですか?」
「布団にいる方がエコだろ。電気使わないんだから」
「先輩が地球環境を気にしてるとは知りませんでした」
「っかさ、今何時と思ってる?もう23時過ぎてるからな。夜中に侵入してきたお方よ」
「そ、そうですが…。お風呂入って準備していたらちょっと遅くなりました」
「…そこまでしてなぜ来た」
もちろんのことというか。海夜がそれから帰ることはなく。
また昨日と同じように…いや日付変わるまで起きてたから…。まだ今日のことか。
まあ細かいことはいいとして、今はまた一緒に布団に入っている。というか俺が布団に入ったら海夜も即忍び込んできた。そしてゴソゴソとして…。俺の背中にまたくっつかれているから…。まあ暖かくなるのは早いが。今日は気になって寝れなかった。
「なあ」
「なんですか?」
「海夜は俺の事好きなわけ?」
「は、はい!?」
海夜が勢いよく起き上がったので、せっかく暖かくなってきていた布団の中の暖かい空気が一気に逃げて冷たい空気が布団の中に入ってきた。寒い寒い。マジで寒いから。布団返せである。
「…。夜に騒ぐなよ」
「さ、騒ぐなって先輩…。今何言いました?」
「だから。わざわざ用もなく泊まり来る海夜は俺のことが好きなのか。と」
「な、何を言い出すかと思えば…」
海夜は一息吐いて?また布団にまるまると…。そして先程よりすっぽりと布団の中に入った。俺がチラリと見ると…。ちょっと頭だけが見えていた。
なんだろう…。もぐらたたきみたいに頭が出たら叩いたらいいのだろうか。と、思っていると。頭が出てきた。
まあ叩かないがな。怒られそうだし。
「…」
そしてなんかジーっと見られたので…。
「近いからだけで、泊まりに来て一緒に寝てるとか。普通ないだろ」
「…」
「とくに最近距離感近いし。今も」
と、しばらくジーっと見られているだけだったがやっと海夜が話した。
「…。先輩がいじめてきます」
「確認してるだけだが?」
「か、確認って…。べ、別に先輩のことは普通に…。先輩ですから…。はい」
「なら単に甘えてるだけか」
「あ、甘えて…。むっ。じ、じゃ先輩」
「なんだ?」
「普通に私のわがままいつも聞いてくれる先輩は私の事好きなんですか?」
「自分でわがままって認めたな」
「それじゃなくて!」
うん。耳の近くで大きな声はやめようかとか思いつつ。
「まあ気にはしてるな」
「…。そう、ですか」
「危なっかしいからな」
「…。はい?」
うん?なんか海夜の表情が変わった?今までは照れている感じだったが…。なんか変わった気がしたが…。まあ思っていることを言ってみた。
「しっかりしてそうで抜けていて。無防備。そのうちちゃんと言ってやらないとな。とはちょっと思っていたからな」
「先輩を叩いても今なら許してくれますよね?」
「なんでそうなる?」
「布団ください」
すると海夜が布団を全て自分の方に引き寄せた。
「馬鹿寒いだろが。引っ張るな」
「嫌です。罰です」
「なんのだよ」
そして無駄に強い力で布団を海夜が引っ張っていったので…。
何故か布団を取られて寒い思いした俺だった。
そして、数分後。俺はベッド上で…。
「すみませんでした。海夜様」
「…。大人しくしててください」
「はい」
意味がわからないまま俺が土下座して謝ったら。
まあ何とか収まりました。布団も戻ってきた。っかマジで寒かった。ほんと寒かった…。
そして俺は布団を返してもらうとまた布団に丸まり暖まり直しをした。すると…。
「…。先輩」
「なんだ。また追い出されるのか?」
「違います…。その…。やっぱり言います」
「何を?」
「先輩とは一緒に居ると落ち着きます」
「ふむ」
そのあとしばらく沈黙があったと思ったら。隣のお方がもぞもぞして…。
「…。恥ずかしい」
「知らん」
「な、なんで。先輩は普通なんですか。慌てるとかないんですか?」
「いやなんか。後輩がワタワタやってるなー。って」
「蹴飛ばしますよ?こっちは壁がありますから勢いよく蹴ったら先輩くらい落とせますよ?」
「やめろ。また冷えるだろうが」
「先輩に馬鹿にされてるのはわかりました」
「まあ、見てるとかわいいがな」
「かわ…。ってもう。先輩なんなんですか。わけわかんなくなってきました」
「まあ暇だったから」
「もう…。このぼっち!」
「ぼっちにぼっち言われてもな」
「あー、もう。馬鹿ー」
結局俺がはじめてしまった…?のかはもう忘れたが。っかなんでこんな話になっていたんだっけ?まあいいか。
とりあえずこの意味のわからない言い合いはしばらく続き…。
翌朝。夜に話しすぎたからか俺たちが起きたのは遅めで昼前だった。
って…。
「…。海夜、邪魔」
「…」
なんか近くでいい香りがするな。とか思っていたら…。
海夜にくっつかれていて、俺が抱き枕みたいにされていた。
なんなんだこいつ。そんなに寒かったのか…。って今俺が寒いわ。なんか海夜が布団まで巻き込んでいるから背中の方がなんか冷たい空気が入ってきていた。
「海夜。起きろー」
「…。ぅーん。あっ。先輩…?うん?あれ?私どういう状況?」
なんかちょっと確認中の海夜が俺の身体を触っている。
「俺が動けない。起きれない。以上」
そして海夜も現状確認が出来たらしく…。
「なっ。なにをさせて」
「いやいや。見ての通り海夜が抱きついてる」
「だ、抱きつ…。いてましが。これは事故です」
「なら離れろ。起きれないっか背中が寒い」
「わ、わかってますよ!」
そして海夜に解放されて俺は起きて窓側へ…。
雪はやんだみたいだが。まだ外は真っ白。そして部屋も寒い。
今年の正月は本当に寝正月が当たりだろうと再度俺が思っていると。
「寒い…。うわー。昨日より真っ白。でも雪はやみましたね」
隣に海夜がやって来た。
「寝正月決定」
「初詣とか行かないんですか?」
「雪の中歩く気にはならんな」
「まあ…。ですね。にしても…。寒い。先輩。とりあえず着替えますから。洗面所に移動してください」
「普通海夜が洗面所で着替える。ってことにならないか?ここ俺の家」
「洗面所はさらに寒そうですからね」
「最近この後輩なんか強い」
「早く移動をお願いします。寒いから着替えたいです」
「再度言うがここ俺の家。わかってる?」
「叫びますよ?」
「意味わからないホント…。まあ。はぁ…。わかったわかった移動すればいいんだろ」
「です」
結局俺が洗面所へ移動したのだが…。ホント洗面所はさらに寒かった。
それからは部屋暖めて軽く朝ごはんってもう昼か。ブランチ?言うんだっけか。まあとりあえず食べて…。そのあとは2人はまたこたつむり。もうこのまま動かなくなるんじゃないか。というレベルで炬燵に居るダメ人間2人だな。とか思いつつ暖まっていると…。
「先輩」
「なんだ」
「先輩高校3年の時は何してました?」
「突然どうした?」
「私もうすぐ3年生だなぁー。と思いまして」
「とくに何も変わらないがな」
「そうなんですか?進学や就職とかありますよね?」
「なるようになるだろ。俺はたまたま推薦。指定校何とかだっけ?を取ったし。って海夜は賢いし。態度もよさそうだからな。学校では。だからそれ維持してれば進学なら推薦とれるだろ?」
「なんか今。引っかかる事言われた気がしますが…。まあいいでしょう。で、推薦…。ですか」
「でもまあ、気にしない方がいい」
「そんなもんですか?」
「そうだ。気にしすぎると疲れる」
そう。なんか推薦のライン?基準みたいなんがあってな。まあ試験とかで成績維持。学校生活でも問題起こさなければOK。とかまあ普通の事をしていればいいんだが…。何かな。気にしだすと…。ってやつがあったんだよ。うん。
っかなんか懐かしい事思い出したな。とか思っていると…。
「先輩の経験談ですね」
何故か俺の前で楽しそうな顔をしているやつがいた。
「…。ちょっとだけな」
「なるほど先輩の経験と」
「なんか…。こいつも引っかかる言い方するな」
「なんでもないです。でも先輩は同じ3年でもまだ次の4年生が大学生はありますもんね。いいなー」
「っか。先の事考えるのはいいことだとも思うがな。まあ俺的には…。考えると暗くなるからやめよう」
「そうですか?今の状態から解放とか」
「まあ高校の時なら同じように思うかもだが。今は先のこと考えずのんびりがいいわ」
「おじいちゃん?」
「誰がだ」
「先輩ですよ」
そんな話しをしていたら時間はあっという間に過ぎていった。そして今日はさすがに大人しく海夜は夜には帰った。まあ晩ごはんまではちゃんと食っていったがな。
とりあえずやっと今度こそ静かな正月。1人でのんびりとなった俺だった。
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