第22話 雪の日
翌朝。俺は寒さで目が覚めた。
ベッドから起きて外を見てみると外は一面真っ白。どうやら雪が夜の間に積もったらしい。
だからか室内もかなり今は気温が低く寒い。足元からどんどん身体が冷えてくる。
そして確か一緒に寝ていた海夜も…。まだ気持ちよさそうに布団にまるまっている。
「起こす必要は…。ないか」
俺は一度起きて外を見たが。まあこれは寝正月にしろと天気の神様が言っているのだろうと思い再度寝ることにした。
海夜が隣で寝ているのでそっと先程まで寝ていた自分のスペースに滑り込む。
すると俺が動いたからか隣の海夜がちょっと動いた気がした。
そして…。
「…。先輩?」
隣から声がした。
「悪い起こしたか」
「冷たい空気で起きました」
「そりゃ悪い」
「起きないんですか?」
と背中の方がもぞもぞと動いている気がする。海夜が体の向きでも変えているのだろうか。
「外真っ白だから。起きる必要ないと見た」
「…。そうですか。雪積もったんですね。寒いはずです。じゃ私ももう少しこのまま暖まります」
そう海夜が言うと…。なんか背中に暖かいものが…。
「ってなんで人の背中にくっつくんだよ」
「先輩の背中とても暖かいです」
「人をカイロにするな。そして二度寝の妨害禁止だ」
と俺は背中に居る海夜に言ったが…。なんか海夜にすりすり背中を触られてるので…。完全に睡眠妨害されている。なので…。
「なぁ、痴漢でこれ訴えれるか?」
「それより先輩が高校生を家に連れ込んだ。で、捕まりませんか?」
「…。なるほど」
「だから大人しくしててください。これはとっても暖かい…。ですから」
「ホントにカイロかよ…。俺は」
「はい」
「即答しやがったよ。この後輩」
とこんな状況では絶対寝れないので俺は枕元にあったスマホを手に取り。
うつ伏せになる。
するとチラッと海夜の顔が見えた。寝起きだからな髪の毛がなんかふんわりというか。跳ねているというか。ふわふわしている。気が抜けている?みたいな感じだが…。これはこれでなんか見てると落ち着く感じだった。
「先輩が動いた」
そしてクレームが来た。
「同じ姿勢は疲れるからな」
「…。もう。寒いじゃないですか」
「なら…。大人しく隣に居たらいいんじゃないか?」
って俺は何を言っているんだと。と思ったが…。
「…。そうします」
と海夜が隣にくっつき。肩と肩がくっついた。
それだけでも人の体温を感じるからか暖かいが…。これいいのかね?とか俺は思いながら。気を紛らわせるためにスマホでニュースでも見ると…。スマホを操作した。
さてさて新年からどんなニュースがトップに来ているか…。まあ初詣の客で各地の神社が人でいっぱい。とかまあそんなニュースだろうと思い画面を開いたのだが…。
「うん?大雪?」
「どうしました?先輩」
俺がつぶやくと海夜の顔が近づいてきた。
って、さっきからこいつ近いな…。にしても…。こいつちゃんと見るとホント整った顔してるな。目がきれいだし。今の寝起きの気が抜けた感じやっぱ…。かわいいし。
「先輩?なに人の顔見ているんですか?」
「あー悪い。いや大雪がニュースになっててな」
「大雪ですか。新年から大変な地域があるんですね。ちょっと私にも見せてくださいよ」
「自分でスマホ持って来て見ろよ」
「カバンの中ですから。寒いので出たくありません」
と俺のスマホの画面を海夜がのぞいてきた。なので俺はベッドにスマホを置いて2人で見れるようにした。
「うわー。この写真真っ白ですね」
「だろ。どこだ…。この写真」
と、俺が言いながら撮影地を調べようとしたら…。
「って、先輩」
「なんだよ」
「この近くですよ。ほら。撮影地書いてあるじゃないですか」
と、海夜が指さすと…。マジだ。このあたりの地名だった。
「…。マジじゃん。えっ?じゃ…。この辺りが大雪ってことか?」
俺が言うと海夜がムクッと起き上がり。
「寒っ」
と言いながら人の上を四つん這いで乗り越えていき。ってこいつわざと人の上乗らなかったか?めっちゃ軽かったが…。と俺が思っている間にトタトタと窓に。そして。
「って先輩。これ真っ白じゃなくて。埋まってる!って言うんですよ!三階からこの景色おかしいですよね!」
と窓際に行った海夜に言われた。
そうか。
外がえらく真っ白だな。と見て先ほどは思ったが…。
そうだうち3階だった。そして真っ白ってことはそれなりに積もっていたのか。
「近くの車も半分くらい埋まってるじゃないですか」
「…。ちゃんと見なかったわ。そりゃ寒いわけだ」
外を確認した海夜はまた小走りでこちらに向かってきて再度俺の上を四つん這いで乗り越えて…。布団に飛び込んできた。そして布団に潜りまた俺の横に来た。ってこいつなんでわざわざ俺の上を乗り越えていくのか…。
「…。なので、今日もお世話になります」
「意味がわかりません。っか、そろそろ帰れ。雪積もろうが海夜のところは行けるよな?同じ建物だから」
「なんでこんな寒い時に帰れとか言えるんですか。凍えますよ」
「海夜のところも暖房は付けれるだろ?」
「先輩がカイロです」
「会話がおかしい」
「…。先輩がいじめてきます」
「いじめてないだろ」
「極寒に女の子を追い出そうとしました。これはいじめです」
「…」
俺の横で顔だけ出している海夜。完全に居座られたという感じ。
まあ追い出すようなことはしないが…。いいのかね…。こんな平和なことしていて。
結局それからも俺たちはスマホを見たりしながらしばらく布団に丸まっていた。
そしてさすがに昼過ぎには部屋の暖房つけて起きたが…。
1つまた問題が起きていた。
「先輩。一緒に来てくださいよ」
「嫌だよ。外絶対寒いし。海夜が泊まるくせに着替え持ってこないからだろ」
「だって…」
「ほらほら。まあ着替えないで居ても俺は問題ないが」
「私が問題あります」
「なら、勝手に着替えて来いよ」
「…。先輩。ダメですか?」
「甘えても寒いからヤダ」
「…。わかりました。じゃ玄関出た瞬間に助けて。と叫びます」
「馬鹿か。新年から何する気だ」
「嫌ならついてきてくださいよ」
「…。はぁ…。わかったよ」
「さすが先輩」
とか言うやり取りがあって…。海夜の部屋に向かうことになった。
っか玄関開けたら超寒いし。
足元は昨日の夜より真っ白。そして雪が吹き込んだらしく。屋根のあるはずのアパートの通路もそこそこ雪が積もっていた。
そして寒いからか新年だからか。まだ誰も歩いた痕跡はなかった。
まあだよな。出ないよな。こんな寒くて雪降っている日に…。
「…。かなり積もりましたね」
「早く行って帰ってくるぞ」
「はい」
「って、なぜ俺の背中にくっついた」
「風よけです」
「海夜が前歩け」
「嫌ですよ」
「新年から何してるんだか…」
とか言いながら滑らないように足早に海夜の部屋に移動。
さすがに誰も部屋に居なかったから。昨日の夜に来た時よりも海夜の部屋は寒かった。
「先輩。待っててください」
「はいはい」
「覗いたら怒りますからね」
「覗かないから。早くしろ寒い」
「はーい」
それから数分後…。
「おまたせしました」
着替えた海夜が出てきた。
また暖かそうな服になっていた。今回ももふもふだ。ってさっきまで着ていたのと色が変わっただけじゃないか?いや…。ちょっと違う?まあいいや。でも…。
「…。抱き心地よさそうなもふもふだな」
「なっ、だ、ダメですからね。そんなこと言っても…。ダメです」
そう言いながら何故かちょっと距離をとった海夜だった。でも…。顔は何か考えているようにも見えたが…。気のせいか。
「何も言ってないし。ほら戻るんだろ?寒い」
「あっ、はい」
そして俺の部屋に戻った頃には…。完全に身体が冷えていた。
暖房が付いていてもまだそこまで部屋が暖かくなっていないので自分の部屋に戻るとまず温まるために炬燵の電源をつけた。
すると海夜もすぐに炬燵へと滑り込んできた。
電源をつけた炬燵は少しすると暖かくなり…。
「天国」
「っか海夜いつまで居着くんだ?ってさっきほってくればよかったのか」
「先輩。それはひどくないですか?」
「いや普通の対応だろ。なんで俺はほってこなかったんだろうか…。ってな」
「むっ…」
膨れている海夜見つつ。
さっきというか。昨日の夜もだから…。
2回も海夜をほってくるチャンスあったじゃんか。と今更思う俺だった。
とか思っていたら…。なんか忘れてるな…。って腹減った。
そういえば起きてからバタバタしているだけで何も食ってなかったので。
「っか昨日餅買ったからさ。オーブンで焼くか?」
「食べます。お正月ですね」
海夜も即答だったので2人で炬燵に入りつつ。餅をオーブンで焼いた。
時間はかかるがなんか餅を見ているのは楽しかったな。
何も変化がないと見ていると…。
突然膨らみだしたり真横から膨らんできたり。
ちょっと目を離すと上の部分が焦げていたりと…。まあ楽しく餅を焼きましたとさ。
「あつっ」
「慌てなくても餅はなくならないぞ?」
「わかってますよ。ちょっと思っていたより熱かっただけです」
「オーブンから出したばかりならわかりそうな気もするが…」
とまあ食べる時もにぎやかに時間は過ぎていき…。
餅を食べた後はまた2人でのんびり。海夜は食べてダラダラは太るやらとぶつぶつ言っていたが…。全く炬燵から出る気配はなかった。
それからさらに少しして…。海夜はやっと家に帰る決心をしたらしい。
「先輩に借りた服の洗濯とかもありますから。残念ですがそろそろ帰ります」
とか言いつつ。
海夜は帰宅。
するとやっと静かな部屋。いつも通りの部屋になった。
先程海夜を玄関まて見送った時に再度俺は外を見たのだが…。
まだ雪がかなり降っていた。そして積雪は…。増えてはいないと思うが。っかそもそも真っ白だったからな。まあ朝から変わらずという感じだった。
なので…。予定もない俺は再度炬燵でのんびりと新年1日目は過ごす予定にしたのだった。
が、その日の夜だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます