第18話 炬燵
それから数日後の休日。ほんと日に日に寒くなっていく。季節が進むのは早い。
「――マジか」
そして先ほどえらく寒いなぁ。と思いながら朝起きると外一面が白かった。真っ白。白銀の世界という奴だな。いやいやマジかよ。
「昨日の夜から寒かったが。一晩で積もったのか」
俺はそんなことをつぶやきつつ外を見渡す。今年は早い積雪な気がする。結構しっかり積もってる。
そういや昨晩風強かったし。あれが雪起こし?雪起こしの風?とやらだったのだろうか?なんか雪が降る前に吹いているあの強風。ちゃんとした名前は――わからん。あってるかも不明。まああの風の名前を知らないくらいで生活に支障はないか。
にしても。これだけ一気に冬がくると。そんなことをを思いつつ部屋の中を見回し。ふとこの前の海夜との会話を思い出した。
「――炬燵ね」
去年は1人だし。寒かったらベッド生活とか暖房で乗り越えたが。今年はうるさいのが居るのでね。そんなことを思いつつ。俺はスマホで炬燵で検索かけてみると。すぐにスマホの画面にはたくさんの炬燵が出てきた。
今はいろいろタイプ。大きさの炬燵があるんだなぁ。小さいのもあったし。この部屋にある折り畳みのテーブルは実家で使っていたものをちょうどいい大きさだからと抱いてきたものなので実は結構古いものでそのため1つ足にガタがきている。それなりに綺麗に使っていたのだが。やっぱり毎日使うものは新しいの買った方がいいかな。とか思ったりしていたのと。最近というかこの1年。よく現れる海夜も使ってるしで不安があるテーブルは――大丈夫だろうか。とも実際思っていた。
そして本来はこうやって寒くなる。雪が降る前に探しに行くべきだと思ったが。いや、逆に雪が積もったから人はあまり出てない?とか思った俺は寒いが着替えて外出の準備を開始したのだった。すると何かを感じ取ったのかインターホンが鳴った。いやいやマジか。
ピンポン。
「――?はい」
俺が返事をしつつ玄関に向かいドアを開けると。当たり前のようにご近所さんが居た。
「先輩寒いです」
「ならなぜ家から出てきた」
ほんとそれ、寒いなら家の中がまだましだと思うが?
「先輩のところにいたら暖かそうなので」
こいつ。もしかして俺のところに来て電気代節約してないか?と思うが。まあ残念ながら今からこの部屋は留守だ。
「あいにく、今から出かけるからな。暖房とか付いてないぞ?」
「えっ!?先輩雪積もってますよ?馬鹿ですか?」
「馬鹿って言われてもな……だから行くみたいな感じだ。じゃ」
「えっ。あっそんなーん。どこ行くんですか?」
「買い物」
「なら私も付いていっていいですか?」
「寒いんじゃなかったか?」
「お店の方が暖かいと判断しました」
「――まあそれも一理あるか」
「じゃ、ちょっと待っていてください」
「まあ、俺もまだ実際今さっき起きたところだから。今から準備するんだけど?」
「先輩。まだ寝てたんですね」
「まあ」
「なら普通に準備して大丈夫そうですね」
それから俺も着替えたりして、でもそれでも結局15分ほど海夜を待機することになった。暖房入れてなかったから寒い。
「お待たせしました」
そして後輩と買い物に行くことになった。家具?になるのかと思うのでまあ前に海夜と会ったショッピングセンターくらいに行けばなにかあるだろうと思っているのだが。どうだろうか。そんなことを俺が思いつつ電車に乗ると。
「あったかーい」
めっちゃ天国だった。電車の中めっちゃ暖かい。平和だった。ここ出たくないわ。一家に一台――いやいや違うか。でも暖かかった。
「ですね。暖かい。これ座ってると足元が暖かくて眠くなるんですよね」
「確かに。足元から温風?来てるな」
多分これも居心地をよくする一つだな。足を温めると気持ちいい。ほんと一家に――である。
「ところで先輩買い物って何買いに行くんですか?電車に乗ったので食糧ではないですよね?」
「ああ。炬燵っかテーブルだな」
「えっ。先輩――まさか私がこの前言ったから?」
すると海夜が少し驚いた表情になる。そりゃ言っていたがね。でも海夜が――というほどでもない。ちょっとは関係しているがな。
「いや、ガチで部屋で使っているテーブルの足が怪しくなってきたから買い替えをと。でもとりあえずは実物見ないとわからないかと思って出かけようとしたら海夜が来た」
「そうですか。って、炬燵買うんですか?」
隣で目を輝かせている海夜。
「なんでそんなに目をキラキラしてるんだ?」
「き、気のせいですよ」
とりあえずそんな話しを海夜としながら電車で移動した。それから少しして以前来たショッピングセンターに到着。っか朝ご飯を食べていなかった俺は、ショッピングセンターに着いてから先にカフェへと入った。
海夜はすでに食べたと言っていたので隣で飲み物だけ飲んでいた。そして腹ごしらえ終了のち。さて買い物となったのだが。
「で。炬燵かはどこだ?」
フロア案内を俺が見ていると。
「たぶんあっちです」
「――なぜわかる」
急遽ついてきたはずの海夜の方が場所を知っていたため俺が付いていくという形になった。なんで知ってるんだよ。調べたのか?
ってか、時期だからか。海夜に付いていくと通路のところに冬の準備?冬物商品。という感じでまとめて置いてあった。
「結構種類あるな」
「ですね。あー暖かそう」
「おい。展示品に入るなよ」
「そ、そんなことしませんから!」
いや、今入りそうだったぞ?こいつ。
「まあ、それなりの値段はするだろうと思っていたが。とりあえず。大きいと部屋が狭くなるからなるべく小さいのを――」
「ですね。2人入れたらいいですもんね」
「なんで海夜の数が入っているんだ?」
「あっ。かわいい。めっちゃ小さい炬燵もありますね」
「普通にスルーされたよ」
それから2人でなんやかんや商品を見ていた。そしてとりあえず大きさは決まったが。
「っか。これ配達になるのか?」
「どうですかね?あっ。この商品はお取り寄せって書いてありますね」
海夜は商品に付いていた紙を見せてくれた。
「ここに取りに来ても運べないだろうからな。家までだと――送料どれくらいかかるんだろうか?」
俺が1人でぶつぶつ言いつつ考えていると。隣でスマホをいじっていた海夜がスマホの画面を見せつつ話しかけてきた。
「あの。先輩?」
「なんだ?」
「ここで買うのもありかと思いますが。ネットで似たようなの探すのもありじゃないですか?」
「なるほどネットか。って俺はじめ見てたわ」
「私よくネットショッピングしますが。送料込みとかであるので――ほら。今炬燵調べてみましたけど。結構出てきますよ」
海夜がスマホの画面を見せてきた。確かに結構いろいろと炬燵が売っていた。というか送料込み。送料無料で表示されている値段。ネットの方が安いじゃん。ちゃんと見ないとわからないが。
「ホントだな。そっかそれの方が家まで届くし楽か」
「はい。そして意外とネット安いかもですよ。ちょうど今セールとかしてますし」
「でも俺会員登録とかしてないから。登録しないとだよな」
「先輩」
「うん?」
隣でニコニコしている海夜。なんだ?なんかこいつ企んでるか?とか思っていると。
「ここに会員登録している人居ますよ」
「うん?」
そんなことを言いながら自分を指さす海夜。
「だから。私が買って発送先を先輩の部屋にしたらいいんですよね?」
「あー、なるほど」
「私は手間代として、ポイントいただければOKです」
「ちゃっかりしてることで。まあ海夜がいいなら俺は助かるが。登録とか面倒だから」
「おまかせください。じゃこのあたりにある炬燵の注文票って言うんですかね?いいな。と先輩が思ったもの取っておきましょう。そうすればサイズとか比べやすいですから」
「なるほど。海夜慣れてるな」
結局買い物の後半は海夜の指示で俺動くという感じだった。
っか俺の部屋の炬燵。テーブルを探していたのだが。まあいいか。なんか家まで運んでもらえそうだから楽だし。おまけが住み着くかもしれないが大きな問題ではないだろう。
「じゃ、ある程度決まりましたから。ここのショッピングセンターにあるカフェで探してみましょうか」
「家に帰るという選択肢は?」
「せっかく出てきましたし。家は寒いですから」
そのあとは再度カフェに移動して、あっ先ほどの店とはまた違うお店に俺たちは入った。そして今度は2人とも物を食べつつ。海夜に炬燵を探してもらった。
そしてしばらく2人でスマホを見ていると良いサイズのものが見つかり。さらに2、3日で発送してくれるというのと値段も安かったのでそれを購入することになった。まあ安いというのは大丈夫だろうか?とか俺は思ったが。
海夜曰く『購入者の人のコメントを信じましょう。結構評判のいいお店みたいですし。商品も結構いい評価ですから大丈夫と思いますよ?』ということで購入することにした。
支払いはなんか海夜が普段はギフトカード?を購入する金額分を先に買い。それを登録して支払うとか言うのでショッピングセンター内でギフトカードを俺が買い。海夜のアカウントに登録し。支払ってもらった。今は――いろいろあるな。俺付いていけてない気がしたよ。
にしても、なんか知らなかったが。今のネット便利だな。はじめクレジットカードとかしか使えないんじゃないか?とか思っていた俺。やっぱり社会に置いて行かれているような感じがしましたとさ。っかそのうち海夜に教えてもらうか。俺もネット通販できるようにした方がなんかいろいろと楽そうだったし。
そして帰りの電車の中では、どうやら先ほどの俺の考えが駄々洩れ?ではなかったと思うのだが『そのうち先輩の会員登録手伝ってあげますよ?いろいろ売っていて便利ですし。お得に買う方法とかもありますから』とか言われた。
いやー。今の高校生すごいわ。俺ついていけない。っかなんで俺が思っていたことをこいつわかったというか。たまたま何だろうが。よくわかったな。俺がしようとしていたことを。まあこれだけ一緒に居ることが多いと。わかって来るのか。って俺あまり海夜の事わかってない気がするんだが。大丈夫か。
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