第13話 夜の散歩

 ご想像におまかせします。とか思っていたが。ちょっと昨日とは違った。風呂に交代で入る。まではまあ昨日と同じ感じだったのだが。

風呂から出てからが少し違った。それは風呂を出てからしばらくしてだった。


「先輩。アイス食べたくないですか?」


 突然海夜がそんなことを言い出したからだ。が、残念ながら俺の家の冷凍庫内のアイスは品切れ中。暑いとね。アイスの減り早いんだよ。でも暑いから買い物に行く回数は減る。でも物は食べたら減っていくので、物がどんどんなくなる。その1つとしてアイスも冷蔵庫内での品切れ回数が増える。の悪循環だ。


「今はないぞ。アイスは品切れ中」


 俺がそう言うと。海夜は少し考えてから。


「――じゃ、買いに行きませんか?」


 と提案してきた。本当に食べたいらしい。


「夜にわざわざね」

「昼間よりは暑くありませんし。なんか、悪いことしてるみたいですからちょっと行きたいです」

「後輩が悪い子になりました」

「ダメですか?」

「――いや、まあ別に俺はいいが。っか俺も聞いたら食いたくなったし」

「やった。じゃ行きましょう」


 となんか海夜に言われ夜だが外出することになった。出かけることが決まると海夜は早々と玄関に向かっていた。なんか子供みたいにテンション高めな海夜だったな。海夜は――アイス好きなのかね?っか俺は久しぶりに外に出ました。海夜は自分の部屋に行くために外に出ていたが。そういえば俺洗濯干す時くらいしか外に出てないわ。って洗濯干す時のを外に出たに数えていいものか。


「夜でも暑いが。昼間よりはマシだな」

「はい。でわ、コンビニにレッツゴーです」

「海夜。めっちゃテンション高いな」

「身体がアイスを求めてですから」

「腹壊すなよ」

「大丈夫です」


 それから2人でコンビニへ歩いて行く。


 先ほど海夜が言っていたが。まあなんかこのちょっと静かというか。夜の時間に外出して、は悪いことというか。なんかな。高校生とか中学生の頃は出来なかったことというか。ちょっとした特別感というのか。まあそれぞれの家で違うと思うが。俺のところはあまり夜に出かけるってなかったからな。どうやら海夜の方もだし。だから2人とも似たような感覚だったらしい。


 そんなこんなでコンビニに着くとアイスだけを買いに来たのだがこの時間だと小腹がすくからいろいろ見ちゃうんだよなぁ。お菓子とか。なお海夜はコンビニ入ってすぐアイスのコーナーに歩いて行った。なので俺も海夜の方に行く。


「先輩。何か他にも買いますか?」

「いや、まあ今日はアイスだけでいいか」

「私これにします」


 そう言いながら海夜はリッチなアイス持っていた。普通のアイス2つ3つ分くらいの値段しているがめっちゃ美味しいやつだ。


「これここから持ち帰るとちょうどいい感じになるんですよ」

「あー。なるほどな。じゃ今日はアイスだけで我慢するから俺もリッチなアイスにするかな。味は――まあ普通にバニラかな」

「お揃いですね」

「シンプルが1番だ」

「ですね。って、あっ」


 俺は自分のアイスを決めると海夜が手に持っていたアイスを横から取る。そして自分のと一緒にレジへと持っていく。


「先輩。払いますよ?自分のアイスくらい」

「……手ぶらで来てか?」


 俺が言うと海夜はハッとした顔になり。今の自分を確認しだした。ポケットやらを手でパンパンとしているが――まあ無い物はないだろう。


「……私、何も持って来てない」

「だな」


 そんな海夜の声がして隣に居た海夜の顔がちょっと赤くなった気がした。いやどんどん赤くなっていく。


 俺は一応部屋から海夜を見ていた。

 テンション高いなぁー。というのと。海夜とっとと玄関行ったなぁー。かなり楽しそうに――なにも持たず。とね。

 海夜が俺の部屋に来るときに持って来ていたカバンは部屋の隅に置かれたまま。よっぽど早くアイスが食いたかったのか。夜出かけるのが楽しかったかは知らんが。海夜が手ぶらということは知っていた。見た感じ服のポケットもなにか入っている感じもなかったからな。


 本当は家で声をかけてやってもよかったのだが。ちょっとどんな反応するか見て見たかったというのもあり。何も言わなかったが。ちょっとかわいそうな事したかな?とか今は思ったりしている俺だった。


「レジで恥ずかしい思いよりいいだろ?」

「――はい。すみません」


 海夜はシュンと小さくなっていた。ちょっと普段見れない感じの海夜だった。それから会計を終えてコンビニを出る。


「すみません。ちょっと嬉しくて。なかなか夜にコンビニとか来ること無くて」

「普段は来ないのか?」

「夜は――1人だと来ないですね。ちょっと夜出歩くのは怖いと言いますか」

「まあそれが普通か」

「でも今日は先輩が居たので」

「なんかレアな海夜見れたわ」

「恥ずかしい。あっ、あとでお金払います」

「いいよ。これくらい」

「でも――」

「ほら、袋持つ。帰ってちょうどいい硬さになったアイス食うんだろ?」

「はい。ありがとうございます」


 それから海夜に気が付いていたことを話したら『気が付いていたなら言ってくれたらいいのに――』とかぶつぶつ言われつつ帰宅した。

 ちなみに不機嫌とかにはならず。楽しい感じ?だったのでまあいいだろう。それからはちょうど柔らかくなったアイスを2人で食べた。

 ちょっと歩いてきたからかかなり美味い。そしてリッチなアイスなので、やっぱり美味いだな。それしか言うことなかった。味。濃さ?というのか。それがほかのアイスとは全く違う。だから、美味い。である。あと冷たいのが良い。


「冷たくて美味しいー」


 海夜も先ほどまで『先輩が意地悪してきたー』とか言っていたが。今は笑顔でアイスを食べている。

 たまにはこういのもありか。とか俺は思いつつ。俺もまた一口アイスを食べる。うん。何度でも言おう。美味い。


 それからは昨日と同じ。寝るだけ。それだけだ。

 寝て――今日は1回夜中に蹴飛ばされただけ。それだけだ。

 俺が床とお友達になっただけ。それしかなかった。多分落とされてから確認したが。海夜はぐっすり寝ていたみたいだから知らないだろう。いやアイスを買いに行く時にちょっといたずらしたから。仕返しで蹴られた?そして俺が確認したあの時は――寝たふりをしていた。はないか。


 ◆


 翌朝はまたまた朝から快晴。

 すでに気温高め。そしてちょっと昨日とは違いバタバタしていた。

 今日は海夜の部屋のエアコン交換工事だから。工事が朝からだったので早く起きてぱっと朝食を食べてすでに活動を開始した。


 ちなみに、やっぱりだが。海夜は俺を蹴飛ばしたことは覚えてないらしく。朝起きても普通だったし。なにも言ってなかった。まあ俺も言わないからこのことはこれで終わり。


 そして現在は海夜の部屋の中に俺はいる。なんでかって?まあそれは。


「――部屋汚いですからあまり見ないでくださいよ?」

「いやいや、この部屋見てどこが汚いと言える?めっちゃ綺麗だろ。まあ問題は…。この部屋が暑いという事だけだろ」

「散らかってますよ。いろいろと。あと暑いのは、もうちょっと我慢してください」


 工事の人とだけになるのがちょっと不安だったのか朝起きてから『工事の立ち合いに先輩も居てほしいです。ダメですか?』と海夜に言われたから俺は付いて来た。


 ちなみに先ほどから本人は部屋が汚いや散らかってるいうが。めっちゃ綺麗にまとめられた部屋で高校生1人暮らしにしてはかなりしっかりしている気がした。


 っかどこが汚いのか説明がマジでほしいくらい綺麗なんだが。掃除も行き届いているみたいだし。この前買いに行った収納棚?ボックス?もちゃんと部屋の雰囲気になじんでいた。

 とりあえず1つ言うなら。今さっきも言ったがこの部屋暑い。めっちゃ暑い。窓は開いているが。今は無風。だから暑い。


 それから暑い中海夜と部屋で待っていると。少しして工事の人がやって来て手際よく準備をしてそれから古いエアコンを外し。外に運んで行き。次は新しくエアコンが運ばれてきてまた手際よく交換。室外機の交換なども終わり。設置完了のち周りの片付けをしてからさっそく試運転。


「おっ、おー、冷風だー。気持ちいいー。一気に快適になりましたね」

「新しいのはやっぱりすぐ冷える気がするな」

「これで残りの夏。この部屋で生活しても乗り越えれます」

「だな。じゃ工事も終わったし。業者の人も帰ったし。俺も帰るかな。近くだが」

「あっ、すみません。朝からありがとうございました。あとお世話になりました」

「いや気にするな。困った時は何とやらだ」


 海夜もなんやかんやでこういう時はちゃんとお礼を言ういい子。と、俺が思っていたら。


「あっ。ご飯。また食べに行きます。作ってくれますか?先輩」


 とか言い出した後輩だった。


「今、いい感じでまとまってなかった?」

「美味しかったので。ダメですか?」

「いや――まあ……そのうちなら」

「ありがとうございます!必ず行きますね」


 海夜――めっちゃ笑顔だった。そんなことを笑顔で言われたら。そのうち海夜の分も作ることにまたなるのだろうか。まあ多分作るか。と思った俺だった。

 俺は別に作るのは嫌いじゃないからいいのだが。1人分も2人分も作るのは大差ないし。


 あともう触れないつもりだったが。寝てる時に蹴飛ばされたことを――次こそ忘れてあげることにした。今の海夜の笑顔見れたからな。なかなかいい表情していた。キラキラしたいい表情だったから。本当はちょっと聞いてやろうとか思っていたが。ここでなんかな。変な事を言ってもなので聞くことをやめた俺だった。

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