第14話 風邪

 海夜のところのエアコン騒動からしばらく。


 暑さはまだ続くがちょっとずつ秋に――いやー。まだまだか。普通に外はまだ暑い。っか日中はめっちゃ暑いわ。訂正秋はまだだ。


 そんな中結局というのか。学校の夏休み中はちょくちょく海夜が俺の家にご飯を食べにやってきた。まあタダで食べていくとかではなく。ちゃんとほぼ毎回何かしら食材を持ってきて『これ余ってたので使えませんか?』やらと言いながら上手に俺は海夜に使われていた気がする。


 そして月は変わり。海夜は学校再開。高校の方が2学期?3学期制とか言ってたから2学期だな。うん。とりあえず高校の方が大学よりすこし早く授業、学校が再開した。大学はもうすこ少し。数日だが夏休みが残っている。なので。


「ずるいー。わたしの避難場所がないじゃないですか。大学はなんでそんなに休みが長いんですかー。意味わかんないです」


 やら言われたが仕方ない。大学は休みなのだから。って確か大学の方が数日夏休み始まるのが遅かったと思うのですがね。だから休みの長さ的には大学の方が数日短かったような気もする。


 とまあ高校が再開したことによりしばらく。数日だけだが静かな日々になった。

大学にはまだ行かないので海夜と会う時間が減ったから静かになったのだが。

 いうほど静かではなかったか。静かなのは海夜が学校に行っている日中くらい。夕方居なると――。


 ピンポン。


「――今日はご入場の日か」

「先輩。ただいまです」

「家間違っている。間違っているから」


 なぜか週に何回か。海夜は俺ところに帰ってくるようになった。自分ところに寄ってからとかではなく。学校から帰ってきたらそのままうちにやって来ている。ホント家通過してるからな?海夜の部屋は2階だぞ?


 そしてうちに来てからはその日の学校での話を聞きながら過ごして、そのあとは夕食を一緒に食べるみたいな流れができていた。


 学校では前みたいな嫌がらせというか。いじめ?は今はなく。夏休み前からあるという噂のザワザワくらいらしい。って未だにイメチェンの理由の噂らしいが。どうやら噂は夏休みも越えたらしい。

 それだけ噂されるって絶対海夜はクラスでは人気者だろとか俺は思ったが。本人は違うの一点張りだった。


 とりあえず海夜はしばらく学校帰りはうちに来てのんびりして、そのあと一緒に夕食を食べまたちょっとゆっくりしてから自分の家に帰るという生活だった。


 そして数日後。大学は夏休みが続く――ことはなく終わった。延長とか言うことはまあありえないのでね。俺の大学も後期の授業が始まった。


 大学が再開後。俺は昼休みになると。まだちょっと外は暑いが一時期よりマシになったのでいつものベンチのあるところで昼ご飯を食べている。講義室の方が快適かもしれないが。

 ちょっとね。理由があってここに居ないと怒られるので。理由は当たり前のように晴れたら毎日海夜がやって来るから。

 講義室に俺が居ると昼休みに海夜がこっちに来ても俺を見つけれないから。とか言われましたよ。


 ちなみに大学で昼ご飯を一緒に食べる。ということが再開しても。海夜は晩ごはんもちゃんとうちに食べに来ている。毎日ではないが継続されている。回数減った気はする。いやあまり変わってない?むしろ週末はよく来るような――とりあえずそんな気がした。


 俺としては材料を分けてもらったりしてるし。海夜なら一緒に食べるとかは別に嫌ではなかったので別にいいんだが。

 ちなみにちょっと言うなら最近は料理のリクエストを言ってくるように海夜がなったか。

 なおうちに来るので基本俺が作っている。そして毎回海夜は料理をしている俺を見ている。である。見ているのが楽しいのかはわからないが。いつも見ている。その姿はなんか興味津々の子供みたいだった。


 ちなみに海夜曰く『私ももちろん作れますが、先輩のご飯が食べたくなるんです』とやら言われた。

 そういや――海夜の料理って俺見たことあったか?


 それからしばらくして猛暑になる日は減っていき。少しずつだが涼しく感じる日が出てきたある日のこと。


 今日は金曜日。当たり前だが平日は講義日なので大学来ている。

 そして昼休みはいつものところ。定位置のベンチで俺は食べている。

 やっと涼しくなっ理のベンチにも他の生徒が最近はちらほらやって来るようになった。ベンチにも他の生徒が最近はちらほらやって来るようになった。まあ人が集まって来るというのはいい気候になってきたということだな。

こういう時はぼーっとしているのが一番――なのだが。

 今日はちょっと気になることがあった。


 晴れてるのに珍しく。というか多分はじめて海夜が昼休みにやって来なかった。

いや来ないこともあったか?いや――俺の記憶の中では今まで無かったんじゃないか?と思う。晴れたら絶対に海夜は来ていたのに今日は来なかった。


 そしてその日は静かなまま帰宅。海夜にも会わなかった。

 さらにここのところ週末はほぼ毎週海夜が放課後。学校終わりにうちに来ていたが今日はこちらも来る気配が全くなかった。


 なんか違和感。というのか。気になる。変な感じがした。

 そして少しして、そんなに気になるなら連絡すればいいか。と思い。ふとスマホ見てとあることに俺は気がついた。


「――あっ、海夜と連絡先交換してないわ」


 大変。ほんと大変今更のことなのだが。あんなによく会って話して。泊まることもあった後輩の連絡先を俺は知らなかった。


 連絡先を知らないということは確認するためには本人のところ。海夜の部屋に行くしかない。

 一応――毎週の決まりみたいだったので。ご飯作る都合上という理由。とかまあ自分なりに海夜のところに行く理由を考えてから。俺は海夜の部屋に行ってみた。

 心配とかは言ってない。いつもの――だからだ。

 普段普通にあったことがなくなると気になるからな。確認のために行くだけである。


 ピンポン。


 インターホンを押しながらそういえば初めて海夜の家のインターホン押したなと思いつつドアの前で待つが。


――――。


 部屋からのは反応なし。シーンとしている。


「――留守か?実家にでも急用とかで帰ったか?」


 1回目では反応なし。まあ聞こえなかったのかもしれないと再度確認のため。念のためもう1回ボタンを押してみた。


 ピンポン。


 すると2回押した後。少ししてからドアの向こうで音がしたと思ったら。ガチャ。とカギの開く音がした音がした。どうやら海夜は部屋に居るらしい。


 少しドアが開く。まだチェーンがかけられている。まあ防犯上は正しいか。


「――はい。どちら様で――って、ふぇ!?」


 海夜の顔が見えるとちょっと安心した俺。そして目の前では、というかドアの隙間から見える海夜は慌てている?様子だった。


「海夜ちゃんと居たか。悪い何度も押して」

「あっ、えっ?先輩!?なんで?」


 bパジャマ姿?部屋着?の姿の海夜が今目の前にいる。チェーンがまだかかっているから。半分くらいしか見えないが。

 やっぱり何故かは知らないが海夜は俺を見るなりかなり慌てていた。っか、こいつ――なんか顔赤い?


「あ――えっと。先輩。ちょっと――ちょっと待っててください」


 ――バタン!


 すると勢いよくドア閉められた。あれ?これ不審者扱いされた?警察呼ばれてる?とかちょっと俺が考えていたら。しばらくしてからちゃんとドアを開けてもらえた。


 なお、数分ほど時間があったのは――なんだろうか?まあいいが。ちょっと本気で警察呼ばれてる?と思いかけていたらドアが開いた。


「ど、どうしたんですか?先輩」


 服装は変わってなかったがどうやら髪をちゃんとした?いや――うーん。わからんが。さっきはチラッとしか見えてなかったからな。でも見た感じ。ちゃんとしたような。寝てて顔でも洗って来たのだろうか?っか、まず確認すべきことは。


「海夜。風邪か?」

「――はい。そうです」


 顔赤いし。なんか変な感じがしたから。なんとなくだがわかった。海夜もすんなり認めたしな。


「だから昼来ないし。放課後も来なかったのか」

「あっ、今日は――えっと金曜……日?週末。あっ。すみません。連絡すれば――って、あれ?先輩の連絡先って私知っていたっけ?」


 どうやら海夜も連絡先交換してないことに今気が付いた様子だった。


「俺も海夜の連絡先は知らない。だから来てみた。それだけだ。っかそもそも大丈夫か?チャイム何回も鳴らして起こさせておきながらだが」

「あっ、はい。大丈夫です。今日は1日寝てましたので」

「ちゃんと食べてるか?いつも来るストーカーいないと違和感あるからな」

「な、誰がストーカー」

「おまえだ。おまえ。で大丈夫か?」

「――大丈夫です。多分」

「多分って今日はなんか食べたか?薬は?」


 俺は言いながらこれ――ちょっとお節介?やら思ったが。よく一緒にいるやつが調子悪そうなら。聞いてもいいだろう。


「――今日は、そのまだボーっと、午前中はしてたので。あと薬は昨日で切らしてまして――」

「ダメだろそれ。なら昨日まで使っていた薬の箱はあるか?」

「えっ?箱?ですか?ありますけど」

「普段使ってるのがいいだろう?」

「えっ?えっ?」

「えっ。しか言わない奴だな。だから薬買ってきてやるから。普段使ってるやつの方がいいだろ?」

「あっ、なるほど。そういう。あっ、ちょっと待ってください。確か机に置きっぱなしなので持ってきます」


 理解してくれたらしく部屋に入ってくる海夜。足取りは――大丈夫そうな感じ。普通に歩いている。

 そして少しして。なんか途中バタバタ音がした気がしたが。気のせいだろう。なにかが崩れたような気がするが。


「お、おまたせしました。えっと昨日はこれ飲みました。と、いうか、常備している薬がこれです」


 とりあえず薬の空箱を持ってきた海夜。


「これ有名なやつだな。これならドラッグストアでも見つけれるわ。あとでお粥セットでまた来てやるから今は寝とけ」

「あ、はい。ってお粥?」

「今日何も食べてないんだろ?」

「――はい」 


 ちょっと恥ずかしそうに返事をする海夜。


「ちょっとでいいからなんか食わないとだろ。薬飲むにしても」

「すみません。ありがとうございます」

「とりあえず、すぐは無理だから休んでろ」

「はい」


 そして俺は一度海夜の部屋から自分部屋へと帰る。


 それからはまず薬を探しに行くことにした。ドラッグストアは少し離れているが小走りで行けばまあすぐに着くだろうと思いつつ。俺は海夜から預かった空箱を持ってまずドラッグストアへ向かった。


 お店に着いてからはすぐに海夜の使っているという薬は見つかった。それからついでに飲み物やゼリー系の物。ひんやりシート?だっけ?名前忘れたが。あれあると気持ちいので。ってそれは俺のことだがな。まあとりあえず必要そうと思ったものを買って家に戻る。


 それからおかゆは海夜のところで作らせてもらうかと思い。いや作って運ぶは――なんか大変そうだったので。材料だけ持って再度海夜のところへ。

 そして再度で悪いがインターホン鳴らし。海夜にドアを開けてもらう。


「はい」

「俺だ。台所だけ貸してくれ。あっあとこれ一応飲み物とかな。薬も中に入っているから」

「すみません。いろいろと助かります」


 再度病人を動かしたからか。先程より顔が赤くなった気がするが大丈夫だろうか。と俺は思いつつ。部屋の中に入れてもらう。


 その後は海夜はだいぶ楽になったとか言いつつベットに座っている。俺は台所を借りておかゆを作る。あまりおかゆとか作らないのでちょっとネットをカンニングしつつ作ったら。まあ普通におかゆはできた。よかったよかった。


「ほら、熱いから気を付けろよ」

「ありがとうございます」

「じゃ、俺帰るから。居たところでゆっくりできないだろ?ちょっとでいいから食べてまあ寝てろよ」


 それだけ言い海夜の部屋から帰るつもりだったのだが。


「あっ。あの……先輩――少しでいいので、話し相手してくれませんか?なんか話し相手がほしいので。少しいてくれませんか?」


 帰ろうとした俺に対して海夜がそんなことを言って来た。

なんか。海夜甘えてる?いや――風邪で弱ってるから?とりあえずそんなことを海夜は言ってきた。


 そして俺も別に時間はあるしで少しくらいはいいかと適当に座らせてもらうことにした。晩御飯がまだだからちょっとおかゆ見てると腹減るが。


「じゃすこし居てやるけど、風邪うつすなよ」

「それは約束できませんね」


 海夜が少し笑いつつ言った。


「うつして治す。つもりかよ」

「あっ。なるほどその手があった」

「おい」

「嘘です。でもうつしたらごめんなさい」


 やらやら話した。ってこいつ実はもう結構元気じゃね?とか思うような会話から始まり。しばらくの間海夜と話した。っか海夜はおかゆを食べながらなので。美味しいと言われたから安心というのもあるが。腹減ったである。


 ちなみに海夜曰く。

 昨日から少しぼーっとしたりと体調がおかしかったので薬を飲んで寝たが。よくなることはなくむしろ今日の朝起きたらさらに悪化していて熱も上がったと。

 そしてしばらく寝てたら少しは良くなってきたらしいが。そんな時に俺が来たと聞いた。


 結局そんな話をしながらゆっくりと海夜はお粥を完食。

 それから薬を飲み『眠くなったので。そろそろ寝ます』と海夜が言うまで話の相手をしてから俺は帰宅した。


 ◆


 そして翌週。海夜はあれからしっかり休んで寝て。土日で体力完全回復とでもいうのか。風邪菌をどこかにぶっ飛ばしたらしい。月曜日にはめっちゃ元気になり戻って来た。


「先輩なんで、風邪うつってないんですか!」


 そして、休み明けに大学のいつもの場所で元気になった海夜が来ていきなりそんなことを言われた。いや。こいつうつしたかったのか?


「――普通に元気だが?っか元気になったな。海夜」

「先輩を看病する計画が」

「どんな計画してたんだよ」

「でも、助かりました。ホント1人だったらもっと悪化させてたかもしれないです。ありがとうございます」


 とりあえず元気にはなったようでよかった。


 そしてもちろんだがまた後輩がお昼休みになるとやってくる。という日々が戻って来たのだった。

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