第12話 ゲーム
翌朝。
「――うーん……うん?今、何時だ」
すでに明るくなった部屋。寝る時に数時間で止まるようにエアコンのタイマーをかけていたので、現在はエアコンが切れているので室内は地味に暑さが戻りつつある。まだ全然生活できる温度だが。多分いつもと同じなら床は少しひんやりとした冷たさがまだ残っているはず。とか思いつつ。
そういや今は海夜が居たか。と昨日のことを俺は思い出し『起きるなら早くエアコンつけないとな。人が2人も居たらそれだけで室温が上がりそうだし』と思いつつ。ベットから起き上がったのだが。
ちょっと違和感『――あれ?』っと隣を見るとベッドはすでに空っぽだった。
すると予想していなかった方から声が聞こえてきた。
「あっ、おはようございます。先輩」
ベッドからではなく。洗面所側から海夜がやって来た。海夜はすでに起きていたらしい。
「早いな。海夜」
「さっき起きたばかりですよ?洗面所先にお借りました」
「それは自由に使ってくれ」
俺はそう言いながら立ち上がり。エアコン付けてから海夜と交代で洗面所に向かい顔を洗ってから部屋に戻る。
「あっ、先輩。先に部屋で着替えと洗濯してきます」
「わかった。朝は――パンでいいか?っか多分パンしかないわ」
「はい。大丈夫です。ありがとうございます」
そう言うと海夜は一度自分の部屋に戻っていった。
朝は簡単にパン派の俺。食パンやらなら冷凍保存できるから安い時に買って冷凍庫にストックしてある。そうすれば朝はパン焼いてジャムかなんか塗る。で食べられるかなら。
そして朝ごはんの準備して待っていると。
ガチャ。と、玄関のドアが開く音がした。そういや少しの間だからと鍵なんて気にもしてなかったわ。
「ただいまです。あっ、すみません。おまたせしました?」
「いや大丈夫だ。ジャムは好きなやつを自由にな。種類は少ないが文句なしで」
「はい。いただきます」
そういや朝ごはんを誰かと食べるのは久しぶりだな。とか思いながら食べる俺。少なくとも大学生になってからはずっと1人なのでね。だから、多分実家に居たころ。高校の頃ぶりかもしれない。
っか、海夜は結構普通にこの部屋に馴染んでる居るような。なんだろう居ることに対してなんかあまり違和感がないような感じだった。
朝食後海夜は『暑くなる前に、自分の部屋のこと終わらしてきます』とまた自分の部屋に戻っていった。
その間に俺も部屋の掃除やらをした。いや、そこそこ綺麗と思うんだが。女子が居るというか。他の人が居るからな。少しでもきれいにとな。思って掃除をした。
そしてやはりだが時間が経つと今日も暑い。昼前には猛暑。日差しが痛い。ぐんぐんと気温が上がる。洗濯はすぐ乾くからいいが。やっぱりちょっと暑すぎる。
俺がそんなことを思っているとちょうど暑さに負けたであろう海夜も自分の部屋から戻ってきた。
「暑いですー。本当干からびます。窓開けていてもだめですね。熱風です」
とか言いながら俺の部屋に帰ってきた。そういえばまた鍵なんて気にもしてなかった俺だった。
それからは海夜が帰ってきたがとくに何をするでもなく。今日は海夜のところのエアコンが直ることはないし。2人でどう過ごすか。と話していたが。外は暑いため昼間に外に出るという選択肢はもちろん2人にはなく。
「勝負です。先輩」
「まあこれが一番時間経つか」
「はい。わたしこのゲーム。気になってたのでやってみたかったんです。まさか先輩持っているとは。もう少し早く聞けばよかったです。昨日の夜もできたのに」
「それならよかった。暇つぶしにはなるだろう」
「はい!」
昼前から2人でゲーム三昧を選択した。
俺もゲームは少し持ってはいるが。誰かとするとかはなく。基本1人。ソロプレイだったが。暇なときにやっていたのでそれなりにはできた。ちなみに1人だとコントローラー1つしかないだろうと思われるかもしれないが。これは偶然なのだが。はじめから使っていたコントローラーが使いすぎたのかボタンの反応が鈍くなってきたので1つ新しく買っていたためコントローラーは今2つあった。まあ海夜には言ってないが。俺の使っている方はボタン押してからのずれがあるのでちょっとやりにくいが。まあ海夜が使っているのは新しいので大丈夫だろう。
そして海夜はたまたま俺が持っているゲームが知っているやつだったらしいが。実際にプレイするのは初めてということで、まあはじめは操作やらやらを教えながらスタートした。
俺の勝手なイメージとしては海夜がゲームをしているイメージが全くなかったのだが。本人が言うには夜とかにネットの動画を見ていたら。ゲームの実況?とかをしている動画をたまたま見つけて見ていたとか。だからこのゲームも知っていたらしい。今どきのネットはいろいろと使い道あるな。とか思いつつ俺は海夜の話を聞いていた。
それから基本操作を海夜がある程度理解してからは、このゲームは対戦とかがあったので海夜とバトル開始となった。
今俺達がしているのは車のレースゲーム。キャラクターや車がいろいろと選べるので男女問わず人気らしい。
そしてコースが豊富なので飽きない。あといろいろなギミック?というんだっけか。隠し道?かな。そういうのもいろいろあり。ただ普通に走るだけではなく。コースの特性やらショートカットとかを探して走れるので多分何回かしている俺でもまだ知らない道があるはずだ。
そして対戦は今みたいにコントローラーがあれば何人かでできる。
俺のところは繋いでないが。ネット環境があれば世界中のプレイヤーとも遊べるらしい。
ちなみに開始してしばらくは俺が独走みたいな感じだった。
「あー。もう。曲がれないー。って壁!」
海夜はまあ苦戦しつつ走っていたが。楽しそうなのでいいだろう。っか初めてなので上手くいかないのは当たり前かと。でもまあ少しずつコツを掴んでいっていた。
そして途中からはコンピューターのキャラも含めてのレースをしてみたら。
「もう。何?今の車。誰?ぶつかっていった。当て逃げー」
俺のお隣さんコンピューターのキャラに怒っています。
でも何回かすると。普通に海夜も走れるようになり。そのうち余裕が出来てきたのか。
「あっ、先輩こことかも走れますよ」
なんか俺の知らないショートカットコースを早速発見していた。
それからしばらくゲームに夢中の2人だった。途中一度昼休憩を入れて、簡単に準備できる物ということでストックのある素麺を準備して食べた。やっぱり夏に素麺は簡単だし美味い。
昼食後は海夜が『感覚を忘れる前に再開しましょう。先輩。早く』やらやらということですぐにゲームを再開。っか海夜。結構ハマった?という感じだった。
そしてそれから1時間もすれば――。
「なっ!また抜かれた」
「勝ったー!先輩。弱いですねー」
「めっちゃボロ負けなんだが――海夜どんな道走ってるんだよ」
「吊り橋ですかね?」
「そこ走れたことに俺びっくりなんだが」
「テクニックですよ」
「数時間前に始めた後輩に教えられている俺」
とまあ結構2人で盛り上がっていた。
そして経験者だったはずの俺がなぜか後半はボロ負けが続いた。
はじめは普通に勝ってたんだが。海夜が覚えるの早いというか。コツを掴むのが早いのか。ショートカットとかを見つけるのがうまいのか。途中から海夜の背中はほぼ見えなくなっているような感じだった。
とりあえずゲームで盛り上がっている間はエアコンさんに頑張ってもらい。快適な空間で俺たちは生活した。なので一番暑いであろう時間帯は乗り切った。
っか海夜が居る間毎日こんなんになりそうなんだが。まあ外に出て熱中症なるよりはいいか。それに楽しいが一番いいよな。
そしてそれからも完全にゲームにハマった海夜の相手という形になった。
気が付くとあっという間に時間は夕方?夜かな。にもうなっていた。そんな時海夜のスマホが鳴った。
♪~
「あっ、先輩すみません。電話みたいなので中断します」
「了解」
電話だったらしく一時ゲームを中断する。海夜は部屋の外へと移動して誰かと話している。そして少ししてバタバタと戻ってきた。
「先輩、先輩!エアコンの工事。空きができたから明日エアコン交換に業者の人来るみたいです。今大家さんから連絡来ました」
「早くてよかったんじゃん」
「はい」
どうやらキャンセル?とかがあったらしく。っか大家さんの知り合いの人とか言っていたから上手に間に工事を入れてくれたのかもしれない。
ということで、明日海夜の部屋のエアコン交換をしてくれることになり。長くなりそうだった海夜との生活、すぐに終わりが見えた。よかったよかった。この時期にエアコン無しはきついからな。とか俺が思っていたら。
「じゃ、先輩。今日は美味しい晩ご飯期待です!エアコン交換決まりのお祝いですね」
突然後輩がなんか言い出した。
「なんだそりゃ?っか、なかなかこの部屋に馴染んで過ごしてる後輩――」
「ご飯楽しみです」
そんなことを笑顔で言われたが。今の俺の家にある材料で出来るものは――。
「……オムライスだな」
「ふわふわですか?」
「あいにくふわふわは無理だな硬い方?ってか巻いた?方で」
「あっ、わたしもそっちの方が好きです!」
「なら問題ないな」
「はい」
それからゲームを片付けて。晩ご飯の準備開始。ご飯は冷凍になっていたのを使う。玉ねぎを切り。鶏肉は――ない。だと?いや、確か冷凍庫に――前に使った残りが少しあったはずなんだが。どこ行った?どこに?。あっ。あったあった。セーフ。
あとバターはなかったのでフライパンに油をひき、肉、玉ねぎ入れてしばらく炒める。途中、塩コショウ。のち解凍したご飯を投入。
なぜか今回も隣で海夜が楽しそうに作るところ見ているが。なんだろう。海夜はお腹空いてるのか?とか思いながら俺はオムライスを作る。
炒めたらケチャップを投入。
混ざったら皿に一度出して――卵の準備をする。
フライパンに卵を流して、そして広げる。その卵の上に先ほど皿に入れたご飯を。ケチャップライス?チキンライス?とでもいうのか。それを全体ではなく下半分に戻す。それから卵の上の方。焼けてくると周りがパリパリになり掴めるようになるのでその部分をつまみ下側にあるご飯にかけて、いい感じに形を整えて皿にひっくり返す。
はい。オムライスの完成である。
「おー、美味しそうです」
「ケチャップはお好みで」
「はーい」
海夜は楽しそうになんか文字?をケチャップで書いていた。好きだよね。女の子はこういう事。俺なら普通に真ん中あたりに適量かけるだけだが。
「はい、先輩。急に泊めてもらったのでありがとうにしました」
気が付くとケチャップで『ありがとう』の文字と。ハートマークが書かれていた。いやいや海夜がケチャップで何かしていたのは俺の方だったのか。と思いつつもう1つ作ると。もう1つのオムライスには星マークを海夜は書いていた。
なんだろうこういう時どういう顔したらいいのか。なんかむず痒い。変な感じがしましたとさ。
「ま、まあ、冷める前にどうぞ?」
「先輩。もしかして照れてます?」
「――気のせいだな」
「ふーん。ふーん。ちょっとレアな先輩ですね」
めっちゃ楽しそう。笑顔の海夜に見られているんだが。
「――なんだ?」
「なんでもないです。じゃ、いただきます」
机に移動してからも正面ではなんか海夜がニヤケていたが…。まあそれは置いておいて俺もオムライスを食べる。味は――美味しかった。いつも通りの味。ちゃんと海夜からも『美味しい。さすが先輩です』をいただきました。
オムライスを食べ終えたあとは片付けのち。明日工事が決まっただけで海夜の部屋のエアコンはまだ直ってないので昨日と同じ繰り返し。なので省略。ご想像におまかせします。というやつだ。
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