第11話 部屋に2人
実家から帰って来た海夜。だったが。エアコン故障により俺の部屋へと避難中。そしてシャワーを浴びた後しばらく海夜は夢の中だった。
その間俺は静かに生活した。
意外と音を立てない生活は難しいというのか。静かにしないとと思うほどちょっとした音が気になるという。なんかちょっとの事でいろいろと音が出るな。とか。改めて思いつつ俺は生活した。
いや、足音とかさ。物を置く音。ドアの開け閉め。気にすると結構日常生活で普通にいろいろ音が出るんだよな。でもその程度のレベルの音では海夜は起きなかったがな。かなりお疲れだったらしい。
そして夕方過ぎになってからだったか海夜は起きてきた。結構慌てながらな。
「……す、すみません。いきなりくつろぎ過ぎました。あの……顔に落書きや写真撮ったりとかしてないですよね?ねえ?」
なんか。バタバタしている海夜だった。恥ずかしいのだろうか?とにかく寝起きのわりにはバタバタしている。
「何もしてないから安心しろ。そんなんしてたら海夜に刺されるか。って、警察呼ばれそうだからな」
「……ほんとですか?」
「マジで何もしてないから。大丈夫だ。疲れてるみたいなのに邪魔するかよ。で、夜何食べたい?」
「……え?」
こいつ何言ってるんだ?みたいな表情に海夜がなっているが。俺変な事言ったか?普通に晩御飯どうする?だったんだが。
「いらないか?晩御飯。もういい時間だぞ?」
そう言いながら時計を指さす。すると時間を確認した海夜はちょっと驚きつつ。
「あっ、いや……その、食べたいですが。先輩。料理何できるんですか?」
目が大丈夫ですか?と聞いて来ていた。
「なにその疑いの目」
「いや、イメージ的に、先輩料理はどうなのかと。大学でもお弁当のイメージより。コンビニ的な日を多く見た気がするので……」
「いや、これでもちゃんと自炊してるからな?」
そういや大学にいる時のお昼は弁当を作るのは面倒なので、ほぼコンビニやスーパー。大学内の売店で買っていたから海夜は俺が料理をしていることを知らないか。
ちなみにだが俺は朝晩はちゃんとご飯を作っている。この家の中、冷蔵庫の中もそこそこ物あるし。調味料もそれなりにある。
っかそんな説明しているより。見せた方が早いので、それから俺は海夜に見られつつ。ご飯を準備して。ご飯が炊けるまでの間に味噌汁の準備。あとキャベツが1玉あったから数枚めくり千切りにして。冷凍庫でカチカチになっていた豚肉を出してきて解凍。あっ玉ねぎ。玉ねぎなかったか?いや、残りが冷蔵庫の奥に転がっていた。セーフ。と玉ねぎを切る。
あとは。砂糖、酒、醤油、みりん。チューブタイプの生姜絞り出し。タレ作り。
次は材料やらを焼く。
そこにタレ投入。
そしてしばらく焼く。
するとみんな大好き?かは知らないが。生姜焼き定食?みたいなのが完成。それを海夜に見せると。
「……」
海夜がフリーズしていた。
作っている時やけに静かだなぁー。とは思っていたんだが。立ったまままた寝た?それはないか。
「なんだよ。黙って」
「いや。先輩。普通になんかちゃんと作って、普通に美味しそうなの出てきたなぁー。と、びっくりしました」
「まあちゃんと食べれるはずだが」
「とても美味しそうです。温かいうちに食べましょうよ」
「だな。食うか」
「はい。いただきます」
それから出来たものを机に運ぶ。とりあえずそのあとの結果。結末を言えば。
「……美味しい。普通に美味しいです」
「だろ。ちゃんと普段から作ってるから」
「なんか。意外です」
俺は無事料理できるということを後輩に証明できたらしい。
「しばらく楽しみですね。先輩が毎日生姜焼き定食作るの」
「待て待て。毎日同じ料理はないからな?ちゃんと他も作るから」
「わかってますよ。冗談です。冗談。次は何が出てくるか楽しみです」
「ちなみに海夜も普段は自分で作ってるんだろ?」
「作りますよ?まあ手間のかかるのは1人だからあまりしませんが。あっ休みの日は暇つぶしの感じで何かちゃんと作ったりはしますが」
「まあだよな。平日は簡単にしたいからな」
「はい。あっ。私もちゃんと作れるところ見せますから。先輩に負けることはありませんから」
「強気なことで」
海夜と話しつつ晩御飯を食べて、食後の洗い物は海夜がしてくれた「部屋まで使わせてもらって。さらにはご飯まで作ってもらったので洗いものくらいさせてください」と言うのでしてもらった。
そのあとは2人でテレビ見たりと部屋でくつろいだ後。
「海夜。先に風呂入るか?」
そこそこいい時間になってきたので俺が海夜に聞いた。
「あっ、はい。って先にいいんですか?」
「ああ。問題ない」
「じゃ、もう2回目ですが。お風呂借ります」
「まあゆっくりどうぞ。さっきは忙しそうだったからな」
「ありがとうございます。あっ。さっきは早く汗を流したくて言い忘れましたが。先輩お風呂借りますがのぞきはお巡りさん呼びますからね」
「ないから大丈夫だ」
そして再度着替えを部屋に取りに行った海夜はまたすぐに戻ってきた。
「あつーい。夜なのに全く涼しくないです。さっきよりは多少はマシでしたが。でも地獄です」
「だろな。夜も気温下がらないからな」
「ですね。ということさっぱりしてきます」
「はいよ。ごゆっくり」
それから、後輩が2回目のシャワー使っている。
気にしない。気にしない。
っか昼より夜は静かだからか。先ほどよりかなり部屋に音が響く。テレビとか見ていてもなんか違和感というか。普段はこうやって誰かが使っているということがないので変な感じがしばらく続いた。
それからしばらくしてパジャマ?っか、なんだろうラフな部屋着?まあさっきも普通に部屋着っぽかったが。それよりラフな感じになった海夜が戻ってきた。
普通にかわいい。部屋着?だからか。普段外で会うときのようなお嬢様?的な感じではなく。なんていうのだろうか。普通。普通の子って感じでそれが良いというか。俺説明下手だな。まあいいか。
「ふー。あー、涼しいー。やっぱ冷房は必須ですよ。シャワー浴びた後に汗かきたくないですからね」
するとそんなことを海夜は言っていた。っか。なんか2回目だが。今の海夜を見ているといろいろとドキッとする。さっきは汗を流しただけだったみたいだが。今回は髪も濡れているので、深呼吸。深呼吸。よし。大丈夫。普通だ。
「……あっ、ドライヤーはそこにあるから」
「ありがとうございます。お借りします」
海夜がドライヤーを部屋で使っている間に入れ替わりで俺はさっとシャワーを浴びに行く。
っか。この部屋の風呂場で誰かの後。というのは初めてだ。なんか変な感じ。普段は俺が入る時は床も壁も乾いている空間のはずが。今日は濡れてるし。モワッとしている。というか、いつのまにか見覚えない物。シャンプーなどが置かれていた。
海夜の物と思われるが。いつ持ってきたかは知らないが俺の物ではないシャンプーやらが隅に置いてあった。
なるほどだから風呂場入った時になんかいつもと違う?いい香りがするわけだ。って、こんなこと思っていたら先に進まないよな。
それから俺はさっとシャワー浴びて部屋に戻る。
「入るぞ」
「はい、大丈夫です」
一応部屋戻るときに一声。ハプニングは身の危険があるからな。物が飛んでくるとか。最悪お巡りさんタイムとかマジでいらないから。不要かもしれないがこういう確認大切だな。
ちなみに、海夜は普通に座ってスマホをいじっていただけだったがな。
「……えっと、なんか飲むか?缶ジュース冷えたはずだし」
「あっ、はい。もらいます」
「ほい」
「ありがとうございます」
冷蔵庫から缶ジュース取り海夜に渡す。2人で使うと物が倍のスピードで減るから、買い物行かないとな。とか思いつつ。俺は冷蔵庫を閉める。
「まさか、先輩ところにお泊りは予想してなかったです」
缶ジュース開けながら海夜がいう。
「まあ普通そんなことないからな」
「でも、先輩いなかったらあんな暑い部屋で、って確実に熱中症になっていました」
「最近の暑さ異常だよな。昼間はどこかの砂漠に居るみたいだし」
「昼間帰ってくるもんじゃなかったです」
「海夜一番暑い時間くらいに帰ってきてたな?っか、海夜がくれたお菓子食うか?海夜が寝てる間に少し食べたけど」
「開いてるなら。もらっちゃいましょうかね。ちょっと遅くにお菓子は、ですがたまにはいいですよね」
「はいよ」
やらやらとしばらく話していたら時間が過ぎるのは、あっという間だった。
それからだ。ここにきて結構重要な話しがあった。
っか。もっと早くに相談していても良かった気がするが。のんびりしていたというか。なんかいつも通りみたいな感じがありすっかり俺も忘れていた。
「でだ。完全に忘れてた。問題はまだあった。どう寝るかだ。まあ海夜がベッド使うだろ?」
「えっ、私床で大丈夫ですよ?」
「いやいや、流石にだめだろ」
ちなみにこの部屋には折りたたみのテーブルと普段俺がくつろいでいる1人用のソファとベッドがあるだけなので、テーブルを畳めば部屋はそれなりに広くはなるのだが。そもそも誰か来るという設定がこの部屋にはないため。来客用布団やらはない。なので寝るところをどうするかを今更検討していた。
ほんと完全に今まで忘れてた。俺がソファで寝ればいいか。とすぐに俺は思っていたが。
いやそれなりにここにあるソファーはいいやつなので座り心地良し。リクライニングもあるから好みの角度にもできてかなり気持ちいいので数日くらいなら寝るのは問題ないだろうとは考えていた。
「俺はソファでいいから。海夜がベッド使えばいいよ。まあ普段俺が使っているやつだから。なんか悪いが。ってすでにさっき寝てたか」
「ま、まあ……ちょっとフライングですでにお借りしましたが。でも……なんか悪いような……」
「いいって。この家に来客用やらなんもないから」
とまあ話したらすんなり。俺がソファーで寝ることに決まると思っていたのだが。
「なら先輩。ベッドは壁に付いてますし。わたしは壁際のすみっこで寝ますから。一緒寝れますよ?」
何故かそんな提案が出てきた。それも海夜から。
「えっと、それはなんか。お巡りさん呼ばれないか?」
「先輩は大丈夫と思ってますから」
「まあ……うん?」
「ここは先輩の部屋ですから。先輩はちゃんとベットで休んでください。私はすみっこに居ますから先輩は普通に寝てください」
「っか、暑くないか?2人近くにいたら」
「多分大丈夫ですよ。エアコンで冷えてますから。寝ちゃえば勝ちです」
「勝ちって……」
なんでこうなったか。
まあ大きくないベッドだから、隅と隅で寝ても2人の距離は自然と近くなるって。壁側はいいが。俺寝てる時に落ちる未来が一瞬見えた。
ちなみに枕だけは2つあった。理由は俺が高さやら変えたい気分がよくあるから。1年の時に1つ追加して買ってあった。なので結構その日の気分で使い分けていた。
かたい枕とやわらかい枕の2つを持っていたから。これは何気に役立った。とまあ、とりあえずベッドで寝ることになったのだが。
「じゃ、先輩。おやすみなさい」
「ああ。おやすみ」
2人で1つのベッド。俺結構ベットのギリギリを攻めている。落ちたら笑ってくれ。多分落ちる。もう半分落ちそうだし。これ夜中落ちる。間違いなく。とか思いつつ。エアコンのタイマーをセット。そして部屋の電気を消した。
◆
今はエアコンの動く音とたまに外の音が聞こえる。
静かだが。まあお隣さんとの距離が近いから海夜がちょっと動くとすぐわかる。多分海夜も俺が少しでも動くとわかると思うが。すると。少しして。
「……先輩……起きてますか?」
背中の方から小さな声が聞こえてきた。
「さすがにまだ起きてる。俺は一日中家にいたし。疲れるようなことしてないからな。で、なんだ?」
「1つ言い忘れました。その寝ている時に先輩を……蹴飛ばしたらごめんなさい」
「おい、マジかよ。睡眠妨害あるのかよ」
「多分……大丈夫です。多分。でも……もしかしたらがあるので先に謝っておきます。ごめんなさい」
「こわー」
結局その後しばらく海夜と話していた。
なんかどうでもいいようなことを話していた。得意料理は何だとか。趣味は何だとか。そんなことを話していた。
そしてそんな話をしつつ。しばらく時間が経つと海夜の返事が次第に曖昧というか。まあ適当な返事になって来たとか思っていたら。返事が返ってこなくなった。暗いから隣はちゃんとは見えないが海夜は寝た様子。
横になった時は隣に後輩がいる状態で、これは寝れないだろうと俺は思っていたが部屋は涼しくて快適だし。お隣からの蹴りも今のところないしでその後俺もいつの間にか寝ていた。
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