第28話 おでかけ

「先輩。行きますよ。早くー」

「朝から元気な後輩だ……」

「もう。早く電車行っちゃいます」

「はいはい。大丈夫だよ。って誰だよ。準備で時間かけていたの」

「……私じゃありません」

「お前だお前」


高校が春休みに入ってすぐの早朝。俺は海夜に背中を押されながら家を出た。


今日は海夜と出かける日だ。

ホワイトデーのお返しに……ということだったんだが。

ちょっとしたミスでなんか泊りがけのお出かけとなっている。


ちなみにホワイトデーの翌日には海夜はプランを考えてきていた。

こいつ……恐ろしく決めるのが早かった。

まあすぐに海夜が決めたから高校が春休みになるまでの時間で2人で移動方法やホテルを考えたりと……まあなんやかんやと決めるのはスムーズだったが……。


「とりあえず電車移動が3時間弱。長いぞこれ」

「海渡れば近そうなんですけどね」

「仕方ない。遠回りでしか行けないんだから」

「船があったらよかったのになー、半分の時間くらいで着きますよね?」

「めったに使われないような航路を作ってもすぐ廃止だろうがな」


現在俺たちは予定していた電車に無事乗り移動中。

この後は目的地に行くために今乗っている電車とは別の……他路線?他会社?の路線に乗り換えをする必要がある。


ちなみに今日の行先はまず遊園地。

海夜が行ったことない。と言っていたからな。

まあ俺もないのだが……でだ。遊園地に行くのは決まった。

そして遊園地のほかは遊園地近くに近くにあるホテルで温泉を満喫するというのが今回のお出かけ。

なんかお得な切符?海夜が選んだ遊園地が鉄道会社のグループの遊園地だったらしく。入場券やアトラクション乗り放題と往復乗車券とかが付いたものがあると。

俺が海夜に渡した本に載っていた。いややっぱガイド本ってすごいわ。いろいろ載ってるからな。

ちなみにホテルもおすすめで紹介されていたところでを選んでいる。というか海夜が「ここかここがいいです」とほぼ決めた状態での提案だったので……俺の意見はなしだな。ちなみに海夜曰く。美人になれる湯?やらがあるとか。


そして行先やらは決まるのが早かったのだが……。

ちょっとネックだったのは直線距離なら目的地までは近いのだが。交通機関で行くとぐるっと遠回りで行かないといけない場所だったので移動時間が長い。


まあ直線ルートだと途中に海があるから仕方ないのだが……そのため早朝からの移動となっている。


「じゃ、先輩乗り換えになったら起こしてくださいね」


なので先ほど海夜はそう言ってすでに俺にもたれながら寝ている。平和なことで。だな。


それから1時間ほど電車に乗り。乗り換えとなった。


「先輩。どれですか?」

「えっと……4番線に入ってくる電車だな」

「了解です」


乗り換えてからは海夜は初めて乗ったやらでずっと窓の外を見ていた。

まるで子供みたいだった。まあ楽しそうだし俺は平和だから何も言わない。


乗り換えてからまた1時間ほど過ぎて……。

やっとのことで俺たちは遊園地のある最寄り駅に到着した。

駅に到着してからはバスで少し移動すると目的地が見えてきた。


「おお。すごい」

「……子供みたいだな」

「先輩……何か言いましたか?」


言葉を間違えた様子。後輩から睨まれました。


「怖い怖い」

「今日は先輩が泣く日ですよ」

「意味がわからん」


そんなやりとりをしつつ。俺達はバスを降りてそのまま園内への入口へ向かい園内へと入った。

本で知るまで俺は知らなかったところなので、まあ超有名な遊園地とかではないみたいだが……それなりに園内には人がいた。

まあ春休みだからか。

でもぎゅうぎゅうとか人でいっぱいという感じは今のところないのでここを選んだのはあたりかもしれない。どこ見ても人人人。だとな。それだけで疲れそうだし。


そして遊園地というものに来たことが無い俺は見るものすべてが初めてだった。

こんな感じなのかー。と思いつつキョロキョロと周りを見つつ歩いていると……。


「先輩。なにぼさっとしているんですか。時間がもったいないから早く行きますよ!」

「……はいよ」


海夜に手を掴まれて引っ張られていく俺。

こいつ……めっちゃ楽しみだったんだな……ってかまわるルートも決めている感じだった。なのでその後は海夜に付いて行きどんどん園内をまわっていった。


ちなみに……。


いきなりジェットコースターからはじまり……ってジェットコースターって外を猛スピードで……と思っていたのだが……。

海夜が乗ると言ったのは。室内型?のジェットコースターだった。

真っ暗闇の中猛スピードとか。ナニコレ……次にどっちに曲がるとかがわからないからか。俺振り回される。

お隣の後輩はめっちゃ楽しそうにキャーキャー騒いでいた。


そして……。


「……死ぬ」

「先輩弱っ!」


ジェットコースター後は休憩必要だ。うん。必要だったが――。

海夜は次へと向かおうとするので……まあ付いていくが。これはなかなかのコースだった。


そのあとはなんか乗り物で物語?を見ていくものや。海夜が乗りたいと言っているアトラクションまでの道にある展示物とか。いろいろ園内を見ながら進んで行った俺達。途中公園みたいな感じのところでちょっとした写真ポイント?スポット?みたいなのがいくつかあり。海夜が撮りまくっていた。

そして……。


「先輩記念に一緒に撮りましょうよ」

「—―はい?」

「ほらほら。こっち来てください」


とか海夜がふざけたこと言ってきたが……いやいや写真とか苦手なんですよ。とか俺が言う前に……。

結局ほぼ強制的に撮影されるというね。いやね園内にはスタッフ?の人が回っているみたいで、スタッフの人に気が付いた海夜がスマホ渡して「写真お願いします」って言っているわけですよ。さすがにそこから逃げることはできず…。

なんか写真撮りつつ移動となった。


その後は……はい、なんか俺濡れました。

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