第9話 真夏のある日
季節が少し進むと。
外は暑い。煮えてる。ざっくり言えば地獄。現在の外はアホほどの暑さ。
いや、異常と言った方がいいか。今年の暑さホント異常だ。こんなに日差しって強かったか?と。
とにかく朝から晩まで空気がすべて暑い。大学が夏休みに入っていてホントよかったと思う。こんな中で大学に通っていたら毎日熱中症だとか思いながら。今は自分の部屋で1人涼しくくつろいでいる。エアコン最強ってやつだ。
たまたま去年エアコンが壊れたため大家さんに相談したらしばらくかけてすべての部屋のエアコンを新しくする予定があったとかやらやらですぐに新品にしてもらったのでその時は難を逃れた。
そしてそれがあったからこの暑さ。この地獄のような期間も無事乗り越えられそうだ。
にしてもこの暑さ。今日の外の気温は確か――40度に迫るやら言ってたか。アスファルトの上だと何度あるんだろうか。50度?もっとあるのか?
まあとにかく暑いので、最近は買い物も動くなら夜。夜も買い物に出れない暑さだと。暑いから外出は無理。と自分に言い。なら備蓄してあるそうめん祭り開催という感じだった。そうめん楽だし。美味いからな。茹でるのがちょっと暑いが。まあちょっとのことなのでそれくらいは我慢できる。
すでにそうめん祭りは数回開催したが。個人的にはそうめんとそこに千切りしたキュウリを一緒に食べる。というのが今のブーム。そうめんばかりではなく途中にキュウリの触感があるととてもいい。
そしてそうめんのつゆにきゅうりつけながら食べるのも美味しいとハマっている。
にしてもほんとに今年の夏は暑いというか。危険なレベルの時間帯が長い。
そんな中外に出る気は――なかった。
いや、昼間は動けたもんではない。エアコンの効いた室内でも日差しの当たる窓際に行くと日差しだけで暑いし。なのでちゃんとカーテンも半分している。カーテンをすべて閉めると昼間から部屋が暗くなってしまうので日差しの向きを見つつ調整している。
そういえば大学が休みになってからは、俺の周りは静かになった気がする。基本1人の生活なので静かなのは当たり前というのもあるが。2年になってからよく接点のあった海夜が高校の夏休み入るなりすぐに『一応顔を見せるように言われているので早めに行ってきます』と今は実家に帰省している。
だから夏休み中の訪問者は0。宅配便とか郵便もないのでホント0。なのでめっちゃ静かということだ。
海夜とは最近かなりの頻度で会っていたからだろうか。急に静かというのか海夜が居なかったら俺こんなに話す人いなかったんだ。と。再度思い出していた。1年の頃はこれが普通の1年だったのに。こうやって1人でいて大学行って。確か去年の夏も。ほとんど家にいたような気がする。大学の夏休みは高校生とかの時より短かったので、まあそんな感じになんか1人でも終わっていた。
とかそんなことを思い出しているとだった。
ピンポン。
久しぶりにアパートのインターホンが鳴る。何か郵便とかでも来たのだろうか?と、思いつつ俺は玄関に移動した。玄関は――なかなかいい暑さだった。ドアを開けたので少し部屋の冷気が今やっと玄関の方にも流れてきたという感じ。
「はい」
この猛暑の中、宅配便や郵便とかだとなんか悪いな。とか思いながら出ると。郵便屋さんでも宅配業者の人でもない人がドアの前に立っていた。
「あっ、よかった。お久しぶりです先輩。もしかしたら先輩も実家とかに帰っているのかと思いましたがお土産持ってきて正解でした」
「……海夜?」
「はい。そうですよ?」
帰省中だったはずの海夜がドア開けたら前に立っているということは全く予想していなかったのでちょっと俺は固まってしまった。というか驚いた。
そしてレアな私服バージョンの海夜。私服見ると毎回レア言っている気がするが。いろいろ服持ってるな女の子はとか思った。
「えっと……久しぶり。そして――おかえり?か」
「はい。今帰ってきました。にしても、こっちもめちゃ暑いですね。日差しで溶けそうです。あっ、ただいま……です先輩」
「ああ」
なんか、おかえり。ただいまのやりとりは違和感を感じたが。仕方ない。俺がなんか言っちゃったから。ミス。ミスである。海夜も付き合わせて悪い。心の中だけで言っておく。
簡単に現状を言えば、この暑い中海夜がキャリーケースを引きながら登場したということだ。
「えっと。で、帰って来てすぐ?どうした?なんか用事か?」
「あ、そうですそうです。お土産渡したくて。食べ物は早めの方が良いと思ったので」
「あっそういえば初めにお土産とか言ってたな。悪いなんかわざわざ」
「いえいえ」
海夜が手に持っていた紙袋受け取る。中身は――お菓子のようだ。箱が見えていた。
「わざわざよかったのになんか俺もらってばかりだな」
「大丈夫です。いつもお世話になっているので」
ってか、ちょっと玄関で海夜と話しているだけで――暑い。もう汗が出てきた。
ちょっとだけ後ろから少し冷気が来るが。玄関に届くまでには――部屋ほどの涼しさはなくなっていた。なので、まあ暑い。
「……っか。立ち話は暑いよな?」
「暑いです。とても背中がひりひりする感じです」
「うちで涼んでもいいが……帰ってきたばかりなら。荷物とかもあるだろうし自分ところの方がいいだろうから。まあ早く自分の部屋でエアコン付けて部屋冷やした方がよくないか?」
「はい、そうします。今日はこれで失礼します」
「ああ。お土産ありがとう」
正面にいる海夜は涼しげな上下の服装だが。それでも、首筋などには汗が見えている。いやほんとドア開けただけで、外は温風というのか。いや熱風というのか。空気が暑い。
「悪いな。わざわざこんな暑い中」
「いえ近くですし。早く渡したかったので」
「ちゃんと涼めよ。多分部屋はサウナだろうから」
「ですよね。早くエアコン付けて涼みます。外はクラクラする暑さですからね」
海夜はお土産を渡してすぐ帰っていった。
いや、うん。ホント早く涼め。これは危険レベルだ。うん。俺も海夜を見送るとすぐに室内へ戻る。部屋に戻るとやっぱり快適。涼しい。
そこからまた快適な部屋でゆっくりのあはずだったのだが――。
それは数分後だったか。海夜からもらったお土産とやらを早速確認するか。と箱を袋から出して中身を見ようと思っていた時だった。
ピンポンピンポン。
インターホンが連続で鳴ったのだった。
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