第3話 雨のホーム

 その日は朝から雨だった。

 そして季節外れ?というのか少し肌寒い日になっていた。昨日あたりまでの数日は結構暖かい日が続き暑い気がしだしていたら急に冷えた。最近の天気はわからない。そして朝は普通の雨だったが時間が経つにつれて、雨はどんどん強くなった。


 そういえば、最近の日本は、極端な天気が増えた気がするのは、気のせいだろうか。晴れたら猛暑。雨降ったら災害級の土砂降り。ゲリラ豪雨とか言うんだっけか?これも温暖化?なのだろうか――とか。1人なのでいろいろ考えたり。思うことは日常の中で多い方だと思う。ボーっとしているときは、無駄にこういうことを考えたり思ったりしている。


 だからか科目の課題やらで自分の考えとかを書け。などは文章力には自信がないが。まあ何も書けないということはなかった。むしろ書きすぎるレベル。妄想いうのか。考えたり思ったりするとこうかもしれないやら。そういえば前にこんなこと思ったな。などといろいろと勝手に頭の中に浮かんでくるのだ。

今のようにね。


 まだまだ言いたいことはあるが。今はこれ以上言わない。終わらなくなるからな。天気の事語ってた思ったら。それが広がって行き、何故そうなってきたのかやら――と、話がどんどん続いてしまう可能性——って、危ない危ない。1人で勝手に語り出すところだった。


 とまあそんな感じで俺がいろいろ思っている間にも時間は進み。今は昼過ぎ。

 外の天気は――大雨。超大雨。

 ちょっと調べてみると警報やらも出たらしいって――台風並みの悪天候となっていた。


 ほら。やっぱ極端な天気だよ。雷鳴ってないだけマシ……な気もするが。

 少し先が霞むほどの雨が降り出し風も強くなってきていた。

 この雨が続けば……窓ガラスは綺麗になるかもしれないが。外を歩けば人はずぶ濡れになりそうな天気だ。


 そして俺の通ってる大学はというと。

 雨などで警報が出ると。大学への交通機関の電車が止まるかもしれないということですぐに休校となる。

 田舎なので公共交通機関。主に電車が運休するかもとなると。この大学は孤立となるので休校の判断はかなり早い方だとと思う。1年の時も台風シーズン中心に結構休校はあったからな。

 ちなみにバスは余程のことがないと運休しないが。そりゃ道路が冠水とかになれば運休になるだろうが。あと土砂崩れとか。でも電車とは全く違う方にしか行かないので基本電車基準だ。電車が走ってない方面に行くのがバスなので、『迂回できるかも……』とか思って利用すると行きたいところとは真反対に連れて行かれて結局は帰れない。電車の再開待っていた方が早かった。と、なるだろう。

 俺はそのような経験はないが少し前に講義室で周りにいた学生がそんな会話をしていた気がする。バスで帰ってみたらめっちゃ遠回りした。みたいな話をね。聞いたんだよ。俺は基本1人なので周りの会話はよく耳に入ってきます。はい。盗み聞きというのかもしれないが……いや自然と入って来るんだから仕方ないだろう。


 そして今の現状を説明すると――。


 学校が休校になり。

 電車組が一斉に帰宅。

 もちろん付属高校もあるので大学生だけではなく。同じく休校になった高校生らも駅に殺到という流れで駅はパンク状態が予想できる。

 すでに講義室の出口で詰まっているし。出入口地味に狭いんだよな。

 そして今は多分だが。出てすぐに屋根が無いから入り口で傘を出したりする人がいて……いつも以上に詰まっているのだろう。

 ちなみにまだ少しの生徒は俺みたいに席に座って待っているがこの人たちの多くはバス組かと思われる。バスはこういう休校になった時は少ししてから臨時のバズが出るみたいでよく知っている人は慌てずに少しこうやってゆっくりしている。

 臨時バスがあっても、多分バスも今はかなり溢れているだろが。ほんとすごい人数の生徒がいる学校だからな。


 ちなみに俺はというと電車組なのでその人の波にのまれている。ということはなく。っか、さっきからめっちゃ他人事のように座って話しているからな。動く気なし。というやつだ。どうせ電車はまだ大丈夫だろと思い。少しでも電車が空くのをのんびりと大学内で待っている。

 大雨だし濡れながら駅に行き。さらにそこから満員電車は――無理だ。ということで、少なくなってきたバス組に混ざるように講義室に残っている。


 それから少しすると講義室にいたバス組もほぼ居なくなり。俺もそろそろか。と駅に向かい歩きだした。

 駅まではすごい雨風に攻撃されつつ。ホントいやになるくらい濡れた。でも駅が見えてくると俺の予想通り。駅は人がいない。っかホントいなかった。

 これはちょっと講義室で無駄にゆっくりしすぎたかな?とか思いながら駅に俺は入っていったのだが……。

 その時には駅舎の中にある掲示板には電車の運転見合わせを知らせる張り紙が貼られていた。

 おまけにだが……大学も休校なので多分そろそろ大学の門も閉められるので大学へと戻ることもできない。


「ミスったなぁ……これはマジでゆっくりし過ぎたか」


 1人つぶやきながら今駅に居る。


 大雨は変わりない。

 外はかなりの音をたてて雨が降り続いている。

 っか、雨に濡れて駅に着いたのでとにかく寒い。冷たい。そして靴は重い。っか靴がなんか気持ち悪い感じだ。ぐちゅぐちゅというのか。大量に水が入り込んだ。吸ったという感じか。まあこれでも折り畳み傘をさしていたのだが……風があったのでほぼ機能してなかった。

 まあまだ傘無しよりはマシだろうが。傘がなかったら全身ずぶ濡れで駅に立っていただろう。


 にしても俺は電車がなければ帰れない。歩いて帰るには……距離的に無理だ。

いや、絶対無理ではないが、歩いていたらいつかは着くだろう。でもこんな雨の中歩いて帰ったら何時になることか……あと危険。


 電車は運転見合わせだったが駅の中。ホームには入れてもらえたので先ほど入った。もちろだが運転見合わせのため駅はガランとしていた。

 誰もいない。普段ではなかなか見れない光景だ。夜間みたいな感じだな。


 っか、あの雨の中。人の集団の波に乗り満員電車を選んだ人は無事帰れたようだ。もしかしたら、途中の駅で運転見合わせになっているかもしれないが――。

 あれはあれで嫌なんだよなぁ。1年生の時に『ギリギリ電車乗れたー。ラッキー』とか思ってたら。いきなり運転見合わせでしばらく車内で身動き取れず。いつ動くかわからないあの時間めっちゃ嫌。嫌いな時間だった。


 って、今日は俺……電車に乗れすらしてないが。

 つまり居る場所が違うだけで家に帰れないは同じか。でも、1人だからなんか気は楽というか。車内で閉じ込められるよりはるかにマシな現状である。


 手か何をしても電車はこないので幸い濡れてなかったベンチにとりあえず座った。立っているよりは楽なのでね。


 ベンチに座り靴を脱いでみると――びちょびちょ。そして替えなどないので見なかったことにするように靴を履きなおす。ちょっと靴下とかの水を絞り。靴はひっくり返してから履いたがな。


 ちなみにこの駅は大学と高校があるのに田舎だからか。ベンチというのが、ホームに1つしかない。という謎な駅だ。普通いくつかあっても良さそうなのに…。まあ学校が休みになると利用者がすごく減るからだと思うが……畑と田んぼしかなく。民家がないので学生が利用しなければ……もしかしたら利用客数0とかあるんじゃないかと。

 まあここからは見えないが10分ほど歩くと県道か国道があるらしく。そのあたりまで行くと民家や学生の下宿などに使われているアパートがあるみたいなので0はないと思うが――。


 でも学校のあるときは、いつもどの時間でも人が多いので普段は駅のベンチに座ることはまずない。でも流石に今日は誰もいないから座れた。これは結構レアなことだったりする。もしかしたら1年以上利用していて初めて座ったかもしれないし。うん。はじめてだと思う。


 ベンチに座りながら周りを見ると。

 ホント滝みたいに降ったり。突然弱くなったりを繰り返している。風が吹き込んでくるから少し足元は濡れるが。まあ足元だしもともと濡れているから関係ない。


 そしてやっぱりとくにすることもないのでしばらくベンチに座ったままボーっと。電車の再開を待っていると。


 コツコツ……。


 改札の方から足音がしてきた。駅員の人が見回り?にでも来たのかと思い音の方を見たら――お客さんだった。制服姿の女の子が歩いてきた。

 あの制服うちの付属高校のもの。どうやら高校の方にもまだ人が残っていたらしい。まあ残念なことに俺と同じく乗り遅れた残念組となるのだが。

 っか――かわいい。綺麗な女の子だった。


 マジで?と二度見するレベルのかわいさ。長い髪を揺らしながらすらっとした足。身体。整った顔。制服も似合っている。

 そんな女の子が風でバタバタ揺れるスカートを上手に抑えながら歩いてくる。なんだろう、勝手なイメージを言うと。図書室で静かに本読んでる美少女?みたいな。


 って、ずっと見てたら怪しまれるので女の子がそばに来る前に俺は目線をそらした。多分怪しまれてはいないはず。

 するとその女の子は俺の前を横切り。俺の座っているベンチの端に座る。


 3人くらい座れるベンチの端と端に人が2人。座った状態である。もちろん見知らぬ少女なのでもちろん話すこともない。


 っか、そもそも女子高生と俺が話すことがない。あったら、あったで、なんだろう。不審者?って、なんか疑われそう。なので俺はただ座り。電車の再開を待っている。


 ★


 が、まだまだ電車は動く気配がない。

 雨も変わらず強く降ってるし。

 たまに流れる駅のアナウンスはずっと運転見合わせの事ばかり。再開見込みも言わないから。まだまだかかるのだろう。あれかな。雨がやんでも線路点検などもあるからまだまだ動きませんってやつかな。とか思ったりしていた。


 暇つぶしできる物なんかも何も持ってないのでただベンチに座り再開を待つだけ。暇といえば暇。かなり暇。超暇。早く電車動いてくださいお願いします。というやつだ。身体も冷えてきたしな。


 ちなみに隣の高校生もスマホやらをいじることなく。ボーっとしている様子だ。にしても、制服だとちょっと寒くないかなとかも思う。俺ですら冷えてきているんだから。

 風もあるし。多分ここに来るまでに多少は濡れてるだろうし。

 制服だと女子は絶対スカートになるから寒い日とかなんかかわいそうだな。とか。まあ自分が今寒いし。濡れて冷たいから勝手に思っているだけだが。


 それからしばらくしても、やっぱり電車は全く動く気配がなく。このまま座っていて風邪をひいてもなので俺は暖かい飲み物でも探しに行くことにした。

 濡れた服のままだから暖かいものを飲んでも……かもしれないが。何もしなくとも喉も渇いてきたので探しに向かう。


 一応田舎の駅でも自販機くらいはある。っか、大学だけではなく。高校もあるので自販機の数はむしろ結構多い。いろいろなメーカーの機械が並んでいる。今は改札内の自販機を見ているがもちろん改札外にもいくつかあるので自販機だけはこの駅の利用者をよくわかっていると思う。うん。再度言うことになるが。電車の車両数は利用者数をわかっていない。うん。


 とりあえず改札内にある自販機をぐるっと見てみると――。

 お茶、紅茶、コーヒー、ココアやおしるこなどなど、暖かい飲み物だけでも結構いろいろな種類がある。まあそんな中で俺が選んだのは無難にお茶。お茶を買うと。先程のベンチに戻る。もちろんだが電車が来ていないので女の子はまだ座っている。これで女の子がいなかったら、ちょっと不思議な物語が始まるかもしれないが。消えた女子生徒とか?いや、改札までは出口1つしかなく。俺と会わずに改札の外に出るということはできないはずだからな。まあ線路に降りたら――そりゃ出れるだろうが。


 ってまあ。もちろんそんなことはなくちゃんとまだ女子生徒は座っている。


 にしてもなんだろ?電車が来ないからだろうが。女の子はすごくつまらなさそうな感じ?と、いうのか。何かを諦めてる?みたいなオーラで座っているように横からでは見えた。まあ俺の気のせいだろうが……そんな感じに見えた。


 俺はまた先ほどまで座っていた場所に座る。

 そして買ってきたお茶を開けて飲む。自販機からベンチまで持ってくるだけでも手が少しだが温まっていたが。やはり飲むと落ち着く。商品はいつも飲むものなので味は予想通り。


 一口飲むと身体がちょっとだが温かくなった気がする。にしてもなんで急にまた寒くなったのか。昨日まではあんなに暖かくなってきていたのにこの雨は…。寒冷前線?とかいうのだろうか。まあ天気は詳しくはないので違うかもしれないが。

 っか天気さんよ。できる事なら極端な気温の変化はやめていただきたい。とそんな事を思いながらまたお茶を飲む。


 すると――何かを俺の身体が感じ取った。

 横からの――これは視線?俺はそんな直感でというか。何かを感じて横を見てみると。


「……」

「……」


 それは先ほどから横に座っている女の子。お隣さんからの視線だった。

 俺もそちらを見たので女の子と目があった。


「……」

「……」


 ちょっと気まずい時間だ。

 でも先ほどとは違い正面から改めて見ると……やはりかなり美少女とさらによくわかる。


「……」

「……」


 っか、なぜからわからないが。まあ見られている。女の子に。

 俺は気にしないフリでまた前を向くが少しして横見ると、まだ見られていた。なんだろうか。俺何かした?うーん。思い当たることはない。が……ないよな?


「……」

「……あの――なにか?」


 俺は気になったので聞いた。

 なんかずっと見られてるし。原因がわからないなら聞いた方が早いからな。別に人と話すことは少ないだけで話すのが苦手とかはないので。まあ基本は人とほとんど話さないが……。


 すると――。


「…………温かそうだなぁー。と思いまして」


 そんなことを言われたのだった。びっくりというか。全く予想していなかった言葉をかけられたのだった。


 ★


 ちょっとフリーズのち。いやいや高校生なら自分で飲み物くらい買ってくればいいのに。と思いつつ。


「……自販機なら改札のところにあるぞ」

「知ってますよ?毎日使ってますから」

「……だよな。ここの高校の制服だし」


 そりゃ知ってるよな。制服からわかるように、この駅を毎日使ってるだろうし。って、毎日使ってるは今女の子が言ってたか。

 

 なんか、変な空気になったなぁ。と思いつつ。俺はまた前を見たのだが。再度横見ると、まだ女の子から見られていた。


 ――まさか、くれ。や、奢れの買ってこいのパターンか?と思い……いやいや、それはないだろう。いきなり初対面でそれはないだろう。うん。俺は女の子に何と失礼なことを……とか思っていると。


「――私も……欲しいです」


 言われた。


「……いや、飲みかけだが」

「いや、飲みかけはいらないです。もちろん新品をですよ」

「カツアゲかい!」


 さすがにツッコんだ。ツッコみとして返しがあってるかは――わからんが。普段しないことはしない方がいいな。

 っか。さらっと、女の子がカツアゲ?いや、カツアゲいうのか?これ、ねだる?パシリ?……うーん。まあ、いい。こういうのをなんというのかわからないから。とりあえず俺の聞き間違いでなければ『欲しい』と言われたはず。

って、これは、関わらない方がいいのか……と。考えてると。小さな声が聞こえてきた。


「――今……お金ないんで買えないんですよ」

「……はい?えっと、それは金欠――?大変……だな高校生?」


 なるほど。なんか買って今月お小遣いがピンチとやらか。と思っていたら。


「…………正確には……取られました」


 違った。


「……はい?」


 取られた?いやいや。うん?なんか、俺が予想しない。答えばかり返ってくる。うん?取られた?


「えっとだ――盗まれた?であってるか?」

「まあ……そうともいえますね」

「いや――え?その学校でか?」

「…………はい。まあいつもというか。よくあることなので……私の不注意です」

「いつも?」


 この女の子。何言い出すか思えば……えっ?だな。

 いや、聞いても、え?なんだが……どういうこと?そのうち『えっ?』しか。俺言えなくなりそうだ。と、思っていると。女の子の話は続いた。


 いや、とくに俺その先を聞きたいとは言ってないんだが。


「……あの人たちは、楽しいんでしょうね、あれが」

「なあ」

「はい?」

「……もしかしてだが。いじめみたいなんでその取られたのか?」

「……まあ……言う人はそう言うかもしれませんが……他人だとなんか話しやすいですね。私目立つのか嫌がらせは……昔からよくあるので……物が無くなるときは……すぐ……無くなります。まあバカじゃないんでお金を持ってくるなら小銭くらいしか学校は持ってきませんが。それでも無くなりますからね」


 女の子から言葉がどんどん出てくる。何故かは知らん。


「……悪かったな、なんか聞いて」

「いえ、私が勝手に話しましたから。気にしないでください。そしてすみません。いきなりこんなこと言って」


 話を聞いたあと。これは俺どうすればいいのだろうか。と、考えたが女の子へのいい言葉も見つからず。沈黙もなんか居心地が悪いので俺は立ち上がりその場を離れた。


 女の子は何も言わずにただその場に座っていた。と思う。俺は後ろを見なかったので正しくない情報かもしれないが。

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