第8話 養われたい部結成

静香先生を探すためまず自分のクラスである、2年Aクラスに向かった。

今日は一面雲に覆われているため教室は薄暗い、まだクラスの人は来ていないのだろう。


「おっはよ~~----!! 」


誰もいないとわかっていても元気よく一応挨拶しておく、これがモテる男の極意だぜっ!!!✨


「おはようっす、早いっすね」


唯一の男友達である鷹村瞬はすでに登校していたらしい。なんだよ、俺が一番じゃなかったんかい。


「瞬こそ鬼早いじゃん、こんな早く登校する奴だったけ? それに電気も点けてくれてないからビビったわ」


「な~んか早く目が覚めっちゃたんすよ。電気点けなかったのは曇りのどんよりした雰囲気に浸りたかっただけっす」


「なるほどな~、俺も今日はちょっと嫌な予感がしてんだよ」


「顔だけじゃなくて思考まで僕の二番煎じ、いやそれは盛りすぎっすね。三番煎じなんて落ちたもんすね」


「思考はまだしも顔は二人とも大分ジャンルの違うイケメンだろ!!」


瞬くらいしか毒舌で来てくれないのでこれはこれで心地いいと思ってしまっているが俺はドMなんだろうか。


「まあそんなことはどうでもいいんす。今日は用があって学校来たんすよね? 」


「ああ、よく分かったな。静香先生に呼び出されてるんだよ」


「昨日の進路志望調査の紙を堂々と机の上に置いて見せびらかしてる時点で何かしらあるって思うに決まってるっす。どうせその噂が広まってあわよくば人気落ちてくれないかななんて思ってるんすよね? 」


それにしても瞬は鋭いな。

そう昨日俺は先生に進路希望の紙を出す直前まであのくず人間のテンプレのような文字の羅列を机に出し人気の低迷を狙っていた。


「まあそんなところだな」


「そんな幼稚なことやってても意味ないっすよ」


「確かにいい結果ではなかったけど何かしらのアクションを起こさないと解決するものも解決しないだろ? 」


「それもそうっすね、静香先生なら職員室にいるはずっすよ」


「ありがとな、じゃあ行ってくるわ~」


手をひらひらとさせながら嫌な予感の元凶のもとへと向かう


「先生、汐里から話は聞きました。何があったんです? 」


「お、拓夢もう来たのかい? 早かったね。とりあえず理事長も含めて三人で話したいんだが、着いてきてもらってもいいかい? 」


「またあのくそ理事ch…」


「今のは聞かなかったことにしておくよ」


圧倒的既視感のある会話だな!

てか、あのくそ理事長が出てくるのはまずいにもほどがある。そろそろ学校のために死んでくれとか言いだすんじゃないか??


「ありがとうございます、行きましょうかくそ理事ch。やっばまた間違えた!! 」


静香先生はツッコミも何もしてくれなかったのでそろそろチクられるんじゃないかとビクビクしながら理事長室へ向かった。

けどみんな俺の立場だったらくそ理事長って思うだろ? 俺は悪くないよね!?


「失礼します。理事長。神宮寺拓夢を連れてきました」


「お~拓夢くん来てくれたか、早速本題に入らせてもらうよ」


「本当に早速だな! もうちょい世間話とかするもんじゃないんですか? 」


「拓夢くん、私理事長、あなた生徒。分かるよね?敬語大切。 それに話引っ張ても文字数稼ぎになるだけでつまらないでしょ?  」


「メタ発言すぎません!? じゃあ本題に早速入って貰っていいですよ!! 」


「理事長その話の前に一ついいでしょうか、先ほど拓夢がくそ理事長とあなたをディスっていました」


いや~あの無視はやっぱちくるサインだったか、静香先生まるで小学生じゃねーか。

てか話の腰を折るな!!


「その話は本当かい、拓夢くん? 」


「はい…、けど本題に入らないと飽きられちゃうんじゃ? 」


「それもそうだね、本題に入ろうか」


ちょろい、そしてこのメタ発言くっそ便利じゃん!!! 多用しまくってやるぜ!


「拓夢くん、君は進路希望調査で養われたいと書いていたよね?」


「はい」


なるほど、その発言について直々に忠告するわけか。珍しく理事長らしいことしてんな。


「本当に養われてみないかい? 」


「ん? どういうこと?? 」


「君は養われたいわけだろ? 」


「はい、そうですね」


厳密に言うと違うが本当の理由は話せるはずもない。


「なら、この学校で養われたい部を結成して養いたい部に世話して貰うなんてどうだろうか。そうすれば君も学校に通いたくなるだろ? 」


「ま、まあ…」


「あまり乗り気ではないかな。じゃあ君にだけ特別に作られている校則をなくすと言ったらどうかな? 」


「是非入部したいです」


俺が学校に行かない理由は2つ。

1.俺に設けられているありえない校則

2.モテすぎて普通の生活が送れない

1は今回解決する。そして2も養われたい部に入ることでいずれ解決するんじゃないだろうか。これはやってみる価値大ありだろう。


「よかったよ。素直に話すとね、君のスペックの高さは相当なものだろう? だから不登校のまま腐らせるのは学校にとって大きな損害なんだよ」


「そういう意図があったんですね、ところで養いたい部はどうやって決めるんですか? 」


「君と同じ部活に入りたい人はたくさん出てきてしまうと思うんだ、だから知名度ランキングの上位五名+君の指名した子を入れるというのはどうだろう? 」


「知名度ランキングの上位の子たちは入りたいと思ってくれるでしょうか? さすがに養いたい部なんて入りたい人いないんじゃ…」


「養いたい部に入った人のみ知名度ランキング上位五名に特別に課せられている校則を解除するということにしよう」


「ただの脅しじゃねーか! 」


「まあその辺は心配する必要ないよ。嫌々入る子はいないからさ」


「分かりました…。顧問はいるんですか? 」


「顧問は吉原静香先生だよ、問題ないね? 」


「腐れ縁だなっ!!!!! あ、はい、問題ないです」


「じゃあ、明日から早速活動してもらうけど部室は校舎の隣に作っておいたから自由に使ってね~」


「わざわざ作ったんかい、半端ねーな!! 」


ここまでして貰ってるんだ、明日からはちゃんと毎日登校しよう


「あ、あと私の悪口言ってた件とこの会話の途中で何度かタメ口でツッコンでた件についてはこのあとみっちり話し合おうね」


「分かりました、調子に乗ってすみません…」


なるほど、本編で怒られないだけで裏ではしっかり怒られるわけね…!!!

あのメタ発言全く便利じゃねーーーーーじゃん。


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