第6話 拓夢の過去part4

さっきまでの両手に花の状態はまるで夢であったかのように、一人むなしく学校へ向かうこととなった。二人とも相当キレているのか大急ぎで学校に走っていってしまったのだ。

怒られることは分かっていたが、ここまで怒るなんて…。

そんなことより汐里の胸大きくなってたなぁ、またあの感触味わいたい!!!


雲一つない晴天のなか不純なことを考えている間に学校についた。

俺を一目見ようと集まってくる女の子に囲まれる前に教室に入らなければいけないため登校も一苦労なわけなんだが、今日は妙に人が少ない。

きっと今日は汐里が先に登校していたためうまくかく乱できたんだろう、いつもよりはスムーズに教室に入ることが出来た。


「おはよぉーみんな! 僕が来たぜ!!!!! 」


しーーーーーーーーーーーん


「おいおいどうした! 僕が登校してきたんだぞ? 」


まさか汐里がちくった? いやそんなことする奴じゃないのは俺がいちばんよくしっている…。じゃあ原因はなんだ?

まさか天罰でも食らって俺の顔面偏差値落ちた? 

素早く手鏡で確認するもカッコよさは健在だ、余計訳が分からない。


「みんな本当にどうしちまったんだ? 」


「たくむっち。本当に自覚ないんすか? 」


俺の唯一の男友達の鷹村瞬がついに返事をくれた。

モテすぎて男友達のいない俺だが唯一の例外だ。瞬は俺に匹敵するレベルでかっこいいし、モテる。そしてモテることに執着がない。

よって俺に男友達のできない理由である嫉妬をしてこない。

嫉妬しないどころか毒まで吐いてくるところは頂けないが、大事な友達だと言える。


「おう、全く身に覚えがないんですけど!? 」


「さっき中学生の女の子が来たんすけど、たくむっちと付き合ってるって言って去っていったんすよ。それでみんなこんな葬式みたいな顔をしてるんすよ」


なるほどきっと昨日話をしたCだろうな。あんな子と付き合えるなんて俺幸せ者だな…。いや違う!! 何が付き合ってるだよ! そんな話昨日全く出てきてなかっただろ!!!! 


「なるほどな、状況は分かった! 悪いが僕は誰とも付き合ってないぞ~。一生フリーを貫くつもりだ!! 」


「そうだよね! 拓夢くんはみんなの拓夢くんだもんね!! 」


「拓夢くんは私のもの、誰とも付き合わせない…」


「そ、そうよね。たくむのお尻は瞬くんのもの♡ 」


女性陣は納得して元気も出てきたみたいだ、とりあえず解決かな。

ところどころ危ない発言が聞こえてきたが今はいちいち構ってられない。


「んで、男性陣はなんでそんなに元気がないんだ? 」


「はっ⁉ るっせーよ。 付き合ってないにしてもあのかわいい子はお前のこと好きなんだろ? じゃなきゃ付き合ってるなんて言いに来ねーよ。あんなかわいい子にそこまでしてもらえるなんて許せねーよ」


「汐里さんみたいな超絶美女と幼馴染という幸せだけでは飽き足らず他の女に手を出すとか去勢の必要があるみたいだな…。」


「実は言いづらいんだが俺には妹がいるって言ってただろ? 多分そいつは俺の妹なんだ。実は俺の妹ブラコンでな、他の人にとられないようにマーキングしてやるって言ってたんだがまさかこんな方法を取ってくるなんて! わが妹ながら策士だなぁ」


「そうだったのかった! 早く言えよ~、てか妹ちゃんの連絡先教えて♡ 」


いつばれるか分からないその場しのぎのウソだったが、なんとかこの場はおさめられてよかった。てか男はみんな本当に切り替え早すぎだろ!!

汐里は何嘘ついてんだって顔でにらんできてるけど、この場に爆弾を投下することはしないようだ…。本当に良かった。


「妹のこと送ってくるから連絡先は今度でいいか? あとどっちに向かっていったか教えてほしい」


「OK!! 悪いそこまで気にしてなかったわ」


「そうだよな、サンキュー! 」


俺はとりあえず校門へ向かった。どこかへ寄って行ったとしても出るときにはここを通るしかないからな。

Cの行動の理由諸々謎ではあったが一旦この誤解は解いて貰わないと妹なんて嘘、いつばれてもおかしくないしな。

絶対に捕まえてあの美女と正式に彼zyo、違うあの性悪に制裁を加える!!


校門につくと金髪のハーフのような美少女が何かを待っているようにきょろきょろしている、見間違えるはずもないCだ。


「あっ、たくむ先輩~遅いですよ! 女の子待たせるなんて最低です~」


「教室で付き合ってるなんて噂流してくれたみたいだけどどういうつもりだ? 」


「えっ? 付き合うって話したとき了承しかけましたよねっ?? 幼なじみさんの前だから濁しただけでOKしてくれたんだと思ってたんですが…。違いました?♡ 」


「あれはデートしてくれって話だったろ?」


「はいっ!! 私と月2回でいいのであってください、デートして欲しいんです。っていいましたよね? 」


「ああ、確かにそうだったな」


「たくむ先輩はこれに対して肯定的でしたよねっ? 」


「まあそうなる」


汐里には悪いが肯定的な感情に脳のほとんどのキャパを使っていたのは迷う必要もなく事実だ。


「私の家ではですね、こういう風に告白するんですよ~」


「告白? 話が飛躍しすぎじゃないか?? 」


「私と月2回でいいのであってください、デートして欲しいんです。略して、私と付き合ってくださいっ!!! 」


「無理やりすぎるだろ!! 誰も気づかないわ!! 」


「先輩大好きです~~~~~!!!!」 「キーンコーンカーンコーン」


ホームルームの始業の鐘と共にCが抱き着いてくる


「何してるんだ!? 本当に!! 」


「付き合った記念にハグしてるんですよ~」


成長途中の小振りな胸だが確かに柔らかい感触が伝わってくる。そして俺の大好きなにおいであるシトラスの香りが鼻腔をくすぐる。

あ~しあわせ! もういつ死んでもいい!!!


「いったん離れてくれ、どこで誰が見ているか分からないだろ?? 」


まずい、Cとのハグが心地よすぎて場所を変えれば肯定的、なんならその先も考えてるぜ、なんて思わせるような回答をしてしまった。


「それもそうですね、私も授業に遅れるのは嫌ですしもう帰りますっ! 」


「待って、もうちょっとだk。 間違えた、もうこんな迷惑なことはやめてくれよ? 」


「もっとしてほしいんですねっ! 楽しみに待っててください♡ ではっ」


俺は妙に口角の上がった顔でCを見送った。







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