第3話 不登校生活に幕引きを!part3 拓夢の過去part1

「じゃあまたねっ! 今日は疲れただろうし早めに寝るんだよ? 」


「おう、またな。汐里もな~」


黒と白の対照的な家だが十六年も隣同士ともなると見慣れてくるものだな。

学校から家に帰ってくるのは久しぶりなため、多少の緊張感の中黒いドアを開ける。


「ただいマンモス!! 」


「にぃにおかえりなさい~~~! 学校は楽しかった?♡ 」


渾身のギャグをスルー、多少心に来るものがあるが俺の妹である神宮寺ねるのすべてにおいて完成された可愛さによりそんなことはどうでも良くなった。

さすが俺の妹と言うべきなのだろうか。整った顔立ちは生きる時代が違えば世界三大美女の一角を担うレベルまで洗練されている。

そしてエロマンガ先生の和泉紗霧を彷彿とさせる髪色は、中学二年生離れしていてより一層目を引く存在となっている(ねるの髪色は生まれつきだからね? キャラ映えのためだろみたいなメタ考察はやめてね?? )


「やっぱ不登校になっても僕モテるみたいで、楽しいってより大変だったかな~」


「へえ。にぃにモテるんだ…。」


ねるの声には覇気がなく明らかに嫉妬の色がうかがえた。


「当たり前だろ? 僕だぜ? このステータスを持ってモテなかったら神様に合わせる顔がないよ」


「あっそ。てかさ、一人称何で僕に変えてるわけ? 」


「一人称俺ってだけで女の子達がキャーキャー言っちゃうからさ、人と話すときは僕にしてるんだよ」


僕にしたらしたで可愛い~って騒がれたのは言わないでおこう…。

ねるは俺の一人称が「僕」なのが気に入ってないのだろうか?

僕だったら騒がれることもないと思って変えたがんだが徒労に終わったし、元に戻すか(作者が使い分けるのが面倒くさくなったとかそういうことではないです! )


「ふーん、ねるみたいな可愛い妹がいるんだから他の女の子に鼻の下を伸ばすのはやめてよね? 」


「お前より可愛い子なんていないしな。そんなことするはずないだろう? 」


「もうにぃにはずるいな~。まあ、今日のところは許してあげるけど次はないんだからね! ねる、にぃに取られたら嫉妬しちゃうんだからね? 」


「肝に銘じておくよ」


このままでは妹に惚れてしまうという名の禁忌をおかしかねないので、逃げるように自室へ向かう。


階段を上り左へ進んだ先の突き当りの部屋が自室だ(ちなみにねるはお隣の部屋)。

自分の部屋に入るとすぐ左にあるベッドに飛び込み今日の出来事を振り返る。

相変わらず学校は大変だったな。

高校一年の一学期・二学期で慣れたつもりでいたが三か月のブランクは思ったより大きかった。


そもそもなんで俺が不登校になったのか、そろそろそれについて説明しなきゃいけないんじゃないだろうか? そう、例のダサすぎて墓場まで持っていくつもりだったあれだ。


ズバリ真実を言うとそれはモテすぎるからだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ね? ダサいでしょ?? ただこれは俺にとって深刻な問題だった。どんな問題が生じているかって?

例を挙げればキリがないがその問題を3つほど紹介しよう。


1)トイレ大混雑事件

うちの学校では水泳の授業はなく、プールは水泳部のためだけに作られたようなものだった。つまり、放課後以外は人がよりつかないスポットなのだ。

なので基本的にはプールの更衣室にあるトイレを使うようにしていた。


しかしある日、一つ上の先輩の女の子Aによる尾行に不覚にも気づくことの出来なかった俺は学校での楽園を失うこととなる。

そう、その先輩が俺の使用しているトイレがどこか広めたらしい。

俺のトイレ事情は瞬く間に広まり、俺がトイレに行くたびプール前は大行列ができるようになった。

なんで広めるんだよA先輩、おかしいだろっ!! なんてことは今更言わない。

ただこれだけはおかしいと声を大にして言いたい。

自体を重くとらえた理事長先生が俺に学校でのトイレ禁止を言い放つこととなったのだ。なあ!? これだけはどう考えてもおかしいだろ?


2)学校帰り寄り道禁止事件

七月のものすごく暑い日だったのを覚えている。放課後俺は学校の広場にある木陰に腰をかけ涼みながらねるとの会話を思い返して微笑んでいた。

きもいとか言わないでくれよ? 女子たちからはミステリアスでかっこいいって言われてたから貶されなれてないんだ。当然男子からは「どこがミステリアスだよ、気持ち悪い」と嫉妬されていたんだけどな。


そんな性別によって捉え方の変わる微笑みをしている時に事件は起きた。

同級生の中では俺に続き第二位の知名度を誇る女生徒Bが俺のもとを訪れてきたのだ。

俺は他人に対してそこまで興味を持たないタイプなのでそいつについて知名度の高さ以外はなにも知らなかったが、Bは俺について詳しいらしく馴れなれしく話しかけてきた。

人に興味を示さないと言っても嫌われたいわけじゃない。前述したようにコミュ力の塊の俺はうまく立ち回り大分気に入られたようだった。


そんなこんなで俺たちは一緒に帰ることになった(勝手について来られてる)。

帰宅途中、Bが俺とプリクラを取りたいと提案してきたためゲームセンターに寄ったんだがそこで事件が起きた。

プリクラを取り終えるとプリ機から出ると野次馬がゲームセンターを取り囲んでいたのだ。その数はまるで大人気アイドルの握手会に匹敵するのではと思わせるほどだった。人混みにつられ人が時間を追うごとに集まり、ついには警察沙汰にまで発展してしまった。


翌日またもや理事長に呼び出されることになる


「今日からわが校の知名度ランキング上位5名は寄り道禁止ね~」


「わかりました…」


なんでだよっ!! ただ遊んでるだけなのにこんな仕打ちあんまりだろ!

てか俺たち以外の知名度ランキング上位者が可哀そうだ、ごめんな。

これじゃあ知名度ランキング上位に入りたがる奴いなくなるぞ!

いじめに利用されるようになるぞ! まず高校でわざわざ知名度ランキング作ってるのがおかしいから!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


























  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る