NO1. 元退魔師・神門旭


「もちろん一人目は僕だよね」

 同盟仲間達とはいえど巻き込んだ手前、一番槍は自身が務めると決めていた。

 …結局順番に関わらずダイスの出目で決まるらしいので一番手というのもあまり意味はないが。

「そりゃいいが大将。ちゃんとオレの番も残しとけよ」

「…………うん。大丈夫」

「オイなんだその間は」

 結局順番に関わらずダイスの出目で決まるらしいので必ずしもアルに手番が回って来るかはわからなかったので適当に濁しておく。

「一応使える手札は全部使えるようにしておくけど、どうかな……。どうも『神門』に鞍替えしてから『陽向』の真名出力がちょっと落ちてきたような気がするし」

「それは単にボスが歳なんじゃない?あたしらと違って人間は短命だしね」

 同盟内唯一の人間である旭は他のメンバーと違って必ず誰よりも速く老いて死ぬ。その途上で昔ほど力が維持できなくなっていても不思議ではない。

「ってかリリヤ様を助け出す時に力使い過ぎたんだよ。それ以前の憑百殲滅戦とか特異家系同士のいざこざもデカかったが」

「てか今考えたらあの頃から強くなり続けてるのアンタだけじゃない」

 とはいえ今やれる全力で挑むしかない。どうやら純粋な実力勝負かと言われればそういうわけでもないようだし、やりかた次第でどうとでもなるだろう。





     神門みかど あきら


   《人物詳細》

 三十代の人間。今は妖精の女性リリヤテューリと人間の世界で共に暮らし、守羽という名の子供も設けている。特異家系『陽向』の元当主。

 戦闘で駄目にしても問題ないようにとよれたスーツを着ているが、そこそこに似合っている不思議。

 人懐こい温和な表情と物腰に違わぬ性格をしており、人と人外との間に差別意識を持たない稀有な人物。

 古くから人々に牙を剥く人外を退けることを生業とした陰陽の一族、退魔師の家柄に身を置いていた者。

 基本的に不殺を信条としているが、事情と状況によってはその限りではない。

 陽光の属性を持つ陽向家の人間には陽に関連する名を与えられ、相手の実力によっては真名解放による最大の一手を繰り出す。




   《能力》


 ・〝倍加〟

 身体能力や五感を倍々に強化することが可能な異能力。旭はこれをメインとした接近戦を得手とする。最大強化は今現在の消耗した素の肉体で上限三百倍。後述の歩琺術の発動により最大五百倍まで発動可能。


 ・五行隷属使役法

 陽向家の人間として学ぶ基礎の法。大気に満ちる精霊種を術式によって捕縛し、現象として起こす術法。旭は木火土金水を満遍なく扱える。

 術式は〝木彬〟・〝劫火〟・〝壌土〟・〝金剛〟・〝集水〟を壱式から拾式まで。


 ・歩琺術〝禹歩うほ九赫禊良くかくけいら

 特殊な所作と歩みを用いることで気の巡りを正し、身体強度と異能の運用効率を引き上げる退魔師の基礎を自己流に改変したもの。


 ・真名解放

 『九つの日を重ね束ねる者』の真名保持者である旭の本質解放。これにより周囲に小型の太陽玉が九つ展開され、旭の思いのままに操れる。


 ・〝退魔本式・旭光きょっこう

 真名解放時における最奥の秘技。旭の場合は自身の真名である陽玉を対象の周囲に配置させ、一瞬でそれらを膨張させ巨大な陽光の球に閉じ込め爆ぜさせる火行の真髄。まともに直撃すれば灰も残らないどころか周囲の地形も融けるほどの威力。

 陽玉の数を調整することで威力も減衰可能だが、それで負担が変わることはなく、一度の使用でかなりの体力を持っていかれる最後の切り札。

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