第4話 後悔はお風呂の中で

 一応、家まで送ろうか、と尋ねてみたがもう遅いから、と断られてしまった。心配ではあったが、家に着いたら、必ずMINEするように、と何度も念を押して解散した。

 家に着くとお母さんは私の姿にとても驚いていたが、ありがたい事にすぐにお風呂を準備してくれた。

 お風呂から上がり、奏から連絡が来ていないか、と携帯を確認すると、少し前に奏から電話がかかっていた。急いで折り返しをかけるが奏は出なかった。なんだか心に鉛を呑んだかのように重苦しい気分になった。

 結局一睡もできずにいつの間にか、朝になった。重い気持ちを抱えたまま学校に登校するとクラスがいつもよりも騒がしいことに気づいた。一体どうしたのだろうかと、クラスを覗き込むといきなりクラスのみんながこちらを見て、シーンとした。

 するとその中から、時々、奏や私とも話をするがこちらに向かってきた。その子の顔はいつも冷静な彼女と違いとても青ざめていた。彼女はじれったいほどゆっくりとした口調で言った。いや、私がそう感じていただけかもしれない。

「奏が……」

「昨晩、亡くなった」

カナデガがサクバンナクナッタ

 その言葉はただの記号として聞こえ、頭が寝起きのようにボウッとしていた。ただ、あの笑顔がもう見れないのだ、ということが分かると、夏の暑さがひどく凍てついた空気のように感じた。

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