第2話 花より人形
「クレヨンだ、懐かしーい」
「えっ」
ビクッと顔を上げるとそこには一瞬、等身大の人形が立っていた。……な訳もなく、そこには同じ制服を着た女の子が立っていた。けれどその少女は昔、デパートで見た人形のように美しかった。
「何、描いているの?」
「さ……桜」
なぜ、こんな綺麗な子が私なんかに話しかけてくるんだろう、もしかして、高校生にもなってクレヨンで絵を描いてることを馬鹿にしてきたのだろうか。と、マイナス思考になっていると、その子は目を輝かせて言った。
「すごい、上手なんだね」
とってもシンプルな称賛だったけれど、その言葉は偽りなどではないということがわかった。
「あ……ありがとう」
あまり、褒められてないこともあって、頬がとても熱くなるのを感じる。これが望忘 奏(もちぼう かなで)との出会いだった。
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