第6話 毒と棘と
私は口が悪い。母もあの綺麗な顔に合わない程の毒舌だ。小さな頃は母の口調を真似して沢山注意された。
だから今に至っても母の言葉遣いのお陰で私の言葉は棘がある。人のせいにするなと言われそうだけど、間違いなく母のせいである。
私が4歳の頃、元々父の仕事の都合で海外を転々していたが、折り合いがついて母の念願が叶って日本の母の故郷に帰ってきた。
この頃の私は少しの単語しか日本語が話せなかった。でも、言葉が分からずとも一路と私はとても仲の良い友達だった。
親同士も元々知り合いで近所に住んでいたのもあり、交流がありよく家に遊びに行ったりしていた。
毎日無邪気にふざけたり、本当に楽しかった。
ある日一路に自分のことが好きか聞いて目をつぶってみた。ママがいつも目を閉じるとパパがキスをしてたから真似をしてみたかった。
反応が無いので、ぎゅっと閉じていた目を開いてみる。目の前には何故か呆然としてる一路がいた。
「 」
私は一路に何か言ったと思う。
その数日後折り合いがついたはずの父の転勤が決まって地方に引越しをする事になり、
一路の両親が開いてくれたお別れ会で親の後ろに隠れて私を見る彼の姿が最後だった。
あれから一切話してない。私は嫌われてしまったのだと感じた。
人の気持ちはなんて変わりやすいのかと子供ながらに感傷的になった。一路の事が好きだった無邪気で可愛かった私はもういない。
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