第4話 虚像と番犬と彼女


この子もその隣の子もこの中庭にいる女の子は僕が目当てで来ている。それを僕は再利用している。




この子達の様に気持ちに正直に行動が出来たらこんな事しなくても君の元に飛んでいけるのかな。




一目でも見たいから。






いつも期待してここに来てしまう。




君を遠くからでも見ると胸がぎゅっと押さえつけられて、鼓動も激しい。目の奥からぶあっと熱くなってくる。






特進の2年の教室。

春風がカーテンをなびかせる。彼女の友達の影になっているが、微かに綺麗なあの髪が見えた。



そのすぐ後に彼女の"番犬"清滝(きよたき)が教室からこっちを睨んだ。




「ふふっ」

見るのも駄目なのか。自然と笑みが溢れる。





誰にも気づかれないように視線を前の女の子に戻し今までのように適当な相槌と笑顔でいかにも興味ある話を聞いている風な姿勢に戻る。




こんな適当な男なのにみんな美化していると思う。

"目に見える事"を利用しているただの空っぽな男でしかない。







皆は知らない。

僕がこんな奇妙で気持ち悪い男だということを。

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