八ヶ谷碧音様の【創作論】キャラクターについて


 私はキャラより先にストーリーの軸になる設定が、ぽかりと頭に浮かびます。


 カクヨムで連載中のBL小説【皇帝にプロポーズされても断り続ける最強Ω

https://kakuyomu.jp/works/1177354054898295597)】も、Ω《オメガ》バースというBLでは安定した人気を博すジャンルで何か書けないかなと考えたのが、きっかけです。


 BLを知らない方がほとんどだと思いますので、Ωバースを簡単に説明します。


 まずα《アルファ》、β《ベータ》、Ω《オメガ》の順で、ピラミッド型の階級制度が存在します。ほんの一握りの特権階級がα。平凡な庶民層がβ。Ωは最下層です。ペ○スも子宮も有する両性具有のΩは人間の女性の月経にように一か月に一週間ほど、αを惹きつけるフェロモンを発します。

 その期間中にαと性交すると、Ωは子供を宿す場合があります。もちろん百発百中ではありませんが。


 ですので、たとえ少年でも青年でもΩであれば妊娠と出産が可能です。

 Ωは産む性として限定され、Ωのペ○スは、Ωが性交時に快感を得るための性感ポイントでしかありません。


 BLの購買層は三十代後半から四十代の女性達です。妊娠、出産、子育ては購買層が共感しやすいシチュエーション。

 ハイスペックなαに見初められたΩの男同志で恋をして、つがいと呼ばれる夫婦になり、性交をして子供を授かり、子育てもする。それがオメガバースと称されるジャンルです。


 私はキャラを創作する時、そういったの設定を、ことごとくひっくり返します。

 子供を産む性として派生したΩを、子供が産めないΩにする。上記の本作では、その子供が産めないΩを主人公に据えました。ハイスペックなαは疑似ローマ帝国の皇帝にしましたが、この皇帝にはどうしても世継ぎの皇太子が必要な事情がある。そんな皇帝が心から愛してしまったのが、子供を産めないΩの主人公。


 私はキャラクターに、二重にも三重にも負荷を科します。

 これは作家の遠藤周作がよく使う手法です。

 その困難を作中人物が克服したときのカタルシスをより深く、より大きくするために。


 このように、おおまかな設定や関係性が決まったら、キャラの性格を考えます。

 本作は設定がシリアスですので、キャラは明朗快活な方がバランスが取りやすい。従って、主人公は最下層のΩでありながら、特権階級の頂点に立つ皇帝からの熱烈なプロポーズを足蹴にできるヤンチャ者。

 対する皇帝は愛情表現に裏表がなく、一途でブレない。

 どちらも一歩も後には引かない性格。


 そうはいっても、どうしても世継ぎが必要なαの皇帝と、不妊のΩのカップリングは許されざる恋。

 これが私のBLです。



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