空から魚が落ちてくる、という怪現象をたまたま目撃した子供たちが、その謎を解明せんと奮闘するお話。
不思議な雰囲気のショートショートです。ある日、唐突に魚が空から降ってくる物語。いわゆるファフロツキーズ現象かと思いきや、どうやらそれともまた違うらしい……という、なんともいえない奇妙な展開が独特でした。ある意味不条理系かも。
作品紹介にある通り、本当に小学生の男児ふたりがあれこれ頑張るお話で、この感覚というか雰囲気というか、作品全体から溢れ出す小学生イズムみたいなものの濃度が凄かったです。いろいろと雑でガバガバな振る舞いに、やたら繰り返されるノーベル賞への憧れ。どうにも心許ないというか見ていて心配になるというか、子供らしい無軌道さがそのまま文章になったかのような、不思議な勢いを感じる作品でした。終盤に出てくる「従兄弟の兄ちゃん」が好きです。なんかこう、いろいろと絶妙にダメそうな兄ちゃん。好き。