第18話、兵庫ドーム

愛知ドームに戻った俺たちは、牧場作りからスタートする。

それと並行して金属とセメントを集める。

そしてメカビーストを使った家畜の誘導だ。


マイクロ波の中継局を何か所か設置して、無線での通話も可能にした。

こうして、ヨコハマと同じように愛知ドームでもドーム外での生活がスタートした。




「パパ、スラリンにもできそうな気がする」


「何を」


「岩を食べて分解するの」


「ホントか」


「やってみる」


モグモグ


「鉄とマンガンなの」


ペッと岩だけを吐き出す。


これでチタンなども入手できるようになったのは大きい。


「あとね、自分で好きな形に変身できるの」


そう言ってスラリンは丸い球になった。


「乗ってみて」


入口が開いたのでいわれたようにスラリンに乗った。


「あとね、飛行ユニットをコピーして早く飛べるようになったの」


確かに高速で飛んでいるのだが、クッションが柔らかく、それほどの加速感は感じない。


こうして、俺たちは兵庫のドームまでやってきた。

だが、兵庫のドームは壊れていた。

スラリンから電力を供給して中央制御装置を起動してみたところ、巨大地震と津波で破壊されたことがわかった。

生存者はいなかったようだ。

核融合ユニットを修復して正式に起動してエンジニアとして登録させる。

ドームは壊れていても建物としては問題ない。


続いて、四国のドームにも行ってみた。

四国は愛知と同じレベルだった。


「どうでしょう、こちらも外での暮らしをしてみませんか」


「私の一存では決められない。

住人で話し合って決めるべきだろう」


「わかりました。

また来ますので、お手伝いできることがあれば言ってください」


あまり、積極的に外へ出るつもりはないようだ。


俺は横浜に戻った。

次の外部居住者を選別する必要があるからだ。

そろそろ、住民の半数が外部で暮らしている。


ドーム内の動物も、外へ出してやらなければならない。

檻を作って動物園にするようかな……



「兵庫と愛知のデータを照合してみたのだが、やはり数回の巨大地震に見舞われておる」


「ここは大丈夫だったの?」


「ここも、結構な被害はでておるよ。

今は修復されて痕跡はないがな。

海抜の低かった兵庫は、津波でやられてしまったが、ここは津波の影響を受けずに済んでおる」


「よかったね」


「それと、富士の噴火に対するデータもあるぞ。

ここも火山灰で相当なダメージを受けておる。

特に、吸気口がやられたようじゃな」


「それって大丈夫なの」


「横浜口の方は影響が少なかったようじゃ。

それで、今でも、厚木口の吸気口はふさがっておるようじゃ」

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