第11話、埼玉と千葉のドーム

「スラリン、これも取り込んでくれ」


俺はスラリンに大き目の電動ノコギリと装甲偵察車を吸収させた。

これで、周辺の探索に出かける。


事前の偵察でわかったのだが、無制御状態のメカビーストが結構徘徊しているようだ。

これらを駆除しながら横浜口から鶴見近辺まで探索したところ、豚やニワトリも結構見つかった。

これで、養豚場と養鶏場も建造することにした。


結局、この日も人間の痕跡は見つからなかった。



翌日は厚木口の周辺の木を刈り取り、探索に出る。


こちらも、大した代り映えはしなかった。

こと、旧日本に設けられたドームは全部で8箇所。


千葉・埼玉・横浜・愛知・兵庫・広島・四国・熊本だ。


関東以北は、氷期の影響が大きいだろうと見送られたのだ。


千葉と埼玉は比較的近接していることから、翌日スラリンに乗って北西へ飛ぶ。

埼玉のドームは、相当昔に遺棄されたようで、荒廃した残骸が確認された。

千葉のドームは残っていたものの、外部から呼びかけても応答がなかった。


どちらのドームにも、人間の痕跡はない。


「ジゼル爺さん、埼玉は壊れていたよ。

周辺に人間の痕跡はなかった。

千葉は、ドーム自体は残っていたけど、呼びかけに応じなかった。

何か、共通の周波数とか設定してなかったのか?」


「運用自体が、移動しながら調整しておったからのう……」


「じゃあ、インターホンで呼び続けるしかないってことか」


「一体、メッセージロボットを置いてきて、様子を見ればいいじゃろう」


「わかった。明日行ってくる」


「海の様子はどうじゃ」


「素通りしたから、海水の採取も明日やるよ」



翌日、千葉ドームにメッセージロボを設置。

海水を採取して戻った。


「ふむ、放射線レベルは問題なさそうじゃの。

その他の汚染も皆無じゃ」


「魚も捕ってきたけど、これって食べられるのか」


「ふむ、ヒラメとアジじゃな。エルダに調理させればいいじゃろう」



初めての魚料理は旨かった。

どちらも、生で食べたけど、生肉のような臭みはなく、ノルンたちも喜んでいた。


南のドーム巡りは中断し、養豚場と養鶏場の整備を進める。

それと同時に、ブタ・ニワトリの捕獲だ。


どちらも50捕獲して、運用を始める。

まずは、数を増やすことだ。

ニワトリを1000羽くらいに増やせれば、卵も肉も安定して供給できるだろう。


食料が安定すれば、出産率もあがるだろうとの中央制御装置の予想だ。

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