第134話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(52)

 なぜ、そんな彼に?

 ・・・・

 ま、まあ。その・・・。

 ハチもいいところはある。

 まず、何事も真面目だし、知識は豊富。

 頭はいいし、機転も利く。


 それに・・・時空を超えてきた、などというトンデモナイことだって信じてくれた。


 普通だったら、頭のおかしい女として相手にもされないだろう。

 だが真剣に話を聞いて、原因がわからぬままでも、事実として飲み込んでくれた。

 そればかりか、住居をはじめ生活を支えてくれている。

 もし彼に出会っていなければ、この治安の良くない街で、暴行されたり殺されたりしても決して不思議ではない・・・まあ魔術があるので身を守るくらいは出来ただろうが、間違いなく行き倒れていただろう。

 ・・・・


 うむ、やはり『恋』かも・・・。


 ・・・きゃー、妾が恋!


 そ、そうと決まれば、全力で『本物カノジョ』にならなければ!


 ど、どうしよう?

 まてまて! 舞い上がる前に、落ち着いて考えてみろ(自分に向けて言っている)。


 まず、そもそも・・・この時代の恋愛とはどんな感じで、どう進めるのだ?

 いままでもネットとかでいろいろ調べたが、いまひとつどれが正解かピンと来ない・・・。

 裸エプロンみたいな、ガセもあったしな・・・(涙)。


 そもそも妾の時代なんて、貴族階級以上は親の引き合わせで恋など無いし、庶民ならば、ちょっと親しくなったらすぐ押し倒して子作り、結婚・・・だものなぁ。

 くっ! ・・・レンアイのレの字も無くて、ぜんぜん参考にならんわ!


 よし、こうなったらこの時代のネットを駆使して、再度徹底研究だ!

 今度こそ『恋愛の正解』を見つけてみせる!


 ・・・というわけで、妾は家事の合間を見て、漫画、ドラマ、小説、映画、雑誌を片っ端から見まくっている。

 夜も見ているので、すぐそばで研究を進めているハチからは「なんか熱心に見てるな」って具合に訝しがられている・・・。


 ・・・・しかし、

 ・・・・

 見れば見るほど。

 恋愛イベントが・・・いっぱいあるな!


 ハグ、キス、同棲、同衾・・・き、きりがない。

 これだけでも、妾のチープな恋愛脳にはついていけないのに、さらに混浴? え、エッチ?・・・。

 あまりの異世界に「・・・・」だよ。

 唯一、妾が実践出来ているとすれば、家事でご奉仕するくらい・・・か?

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