第130話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(48)

 妾の時代には蜂蜜やミルクが主流であったが、この時代の成分のなんと豊富なこと!

 ネットで調べてみたが、天然成分あり、合成成分あり、なんでもござれだ。

 しかもこの美容液、最初からきれいに混ぜてあって、使っている途中で成分同士が分離してしまうことも無い。

 製品として実によく出来ている。感心するばかりだ。


 さて、下地を整えたので、いよいよメイクだ。

 あれ?

「なあ、セクメト・・・なんだかそなたは楽しそうだな?」

 今気がついたが、手伝ってくれているセクメトの奴は、嬉々として何ともうれしそうではないか?

「クレオ・・・自分の仕える主が美しくなっていくのを手伝っていて、楽しくない侍従などいませんよ?」

「・・・そ、そうか」

 とか会話を交わしつつも、まずファンデーションからだな。


 妾の時代にもあるにはあったが、すぐに乾燥してしまったり、塗るときに伸ばすのが難しかったりした。

 そこからすれば、特にこのリキッドタイプなど伸びが良く、肌になじむことこの上なく、実に素晴らしい。

 うーむ、鏡を覗き込みつつ、ここまででも大満足。


 さらに、チーク、ルージュ、アイシャドウ・・・アイラインと、事前に予習した『現代風のメイク』にマッチさせながら進める。

 自分で引いてみるが、やはりはじめてに近いので、ペンの持ち方やなぞる角度をセクメトに教わりながらだ。

 徐々に自分で出来るようにならねばな・・・。

 だが・・・どれもこれも、やはり二千年の進化は凄いものだ。

 ただただ感心しかない。

 これらの容器は、密閉度が高くて中身が乾燥しないし、ラインを引くペンも細くて柔らかくて使いやすい。妾の時代などペンどころかスタイラス(木を削ったり葦を削って棒状にしたやつだ)しか無かったもの・・・。

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