第128話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(46)

「むむ・・・鶏もちゃんと火が通っていて、それでいて油したたる美味しさだなぁ」

 感想を言うとクレオのやつ、オイルに浸したパンを目一杯頬張りながら・・・ドヤ顔だぜ。

 セクメトナーメンも、弟子の成長が嬉しいのか笑っている。


「しかし、パンは妾の時代にもあるのだが、柔らかさが段違いだし旨味も違う。いくらでも腹に入りそうだ!」

「おまえ、鳩が大好物だと言ってたケド、最近ではすっかりパンがお気に入りだな?」

「ああ、この時代のパンは美味すぎるだろう!」

「だけど、パンばかり食べていると・・・太りますよ?」

 セクメトナーメンが冷静に横槍を入れてくる。


 一瞬、クレオの表情、いや動作自体が固まっちまった。

 口に入れていたパンはしっかり飲み込んだが。

「・・・そうなのか?」

「ええ、栄養学的には炭水化物と言って、多量の摂取は肥満に繋がります」

「おお、さすがだな。もう栄養学まで手を伸ばしているとは」

 俺は、セクメトナーメンの吸収スピードに感心する。


「うう・・・デブってしまっては、カノジョ失格になりかねん・・・」

「ははは」

「ま、まあ、パンも美味いが、やっぱり調理器具が凄い! ガス台とかオーブンレンジとか、妾のような超初心者でさえ、こんな美味しい料理を作ることが出来るのだから。妾の時代は石窯程度だったからなぁ・・・人類二千年の進化は・・・こう・・・うまく言葉には出来ないほどだぞ?」


 慌てて話題を変えてやがる(笑)。


 こんな感じで、他愛のない会話を交わしながら夕食を平らげた後、入浴を済ませる。

 ああ、女の子のいる生活って・・・スバラシイ。

 と、満喫しつつも・・・仕事もしっかりしないとな。

 ・・・・

 俺はパソコンを使っての文献の調査と、発掘した遺物の写真整理に取り掛かっている。

 来週までに仕上げないと、教授に締め上げられちまうからな。


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