第122話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(40)

 ・・・愚痴っていても始まらん。

 まずは料理からだ。

 まだ先日教わったサンドイッチ程度しか作れないから、調理器具や多様な食材を使って、『まっとうな料理』を作ることが出来るようにならねばな。


 ・・・とにかく『嫁に昇格する』という第一歩を踏み出さなければ!


 そういうわけで、昨日あらかじめハチと相談して、初心者でもイケそうな献立をリストアップ、そのために必要な食材も買い出したのだ。


 調理方法は昨日のうちに調べたものをメモってあるので・・・さあ、実践だ。

 まず、冷蔵庫から食材を出して・・・と。

 しかし、いつ見てもこの冷蔵庫というのは偉大だ。

 なんといっても食材が傷まずに鮮度が保たれるのだから、驚きだ。


 野菜を刻んで・・・あれ? 塊が大きいかな?

 ま、まあいい。

 でもって、フライパンというやつに油を落として・・・炒める。

 うわ、ちょっと油が多かったか!

 じゅわーという激しい音とともに、油が飛び散りまくる。

 熱い!

 ・・・と慌てていたら、先ほど湯にかけたパスタが!


 むむむ。これは・・・なかなか難しい。

 見るとやるでは大違い。

 食材が焦げたり、ゆで過ぎで溶けたり、グダグダになってしまった・・・。

 ・・・・

 ま、まあ、はじめはこんなものだ。


 しかし、こんなとこを彼に見られるのは恥ずかしい。

 ハチが帰ってこないうちに・・・と、状態の復元術式を展開して、食材など全てを調理前の状態に戻してしまった。


 はあ、大王から伝わる神聖な術式を、まさかこんなことに使う羽目になろうとは。

 調理前の姿に戻った食材達を目の前にして、ため息をついた・・・。


 いかんな。

 ・・・・

 などと悪戦苦闘しているうちに、時間だけが経っていってしまう。

 うーむ。

 ・・・・

 何度かそんなことを繰り返しているうちに、玄関のほうから音がして、ハチが大学から帰ってきた。

 出迎えようと踵を返すが、ちょうど部屋に入ってきて鞄を肩から降ろそうとしているハチと鉢合わせた。

「クレオ! どうだった? まったくの初めてだと難しか・・・」

 あれ? ハチのやつ瞬時に固まっている。

 眼を見開いて・・・

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