第121話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(39)
そんなうれしはずかしの会話を重ねながら。
とにかくだな。
当面はこちらの住人として、様々な生活ノウハウを習得してもらわなければならないわけだ。
彼女はいろいろ頑張る心構えを見せていたが・・・かなり不安だな。
しかも、朝起きてから寝るまで、今までの習慣とは完全に異なる環境で暮らしている。
なにせ古代は電気が無いから日没就寝、夜明け前には起床って具合に、生活時間帯からしてぜんぜん違う。
なんといっても古代文明の夜は松明や蝋燭しかないから、ほとんど活動出来なかったわけで。
・・・まあ、そういうことを乗り越えて慣れてもらわねばならないから、大変だと思う。
◇◇
ハチは、例のイルミナティの遺留品の分析を依頼しに大学に赴いている。
モノがモノなので、敵が奪還に来る可能性もあるが・・・そこはそれ。
護衛としてセクメトナーメンが同行している。
もっとも、彼女の本心としては教授に会いたいという、裏の目的があるからなのだが。
いっぽうの妾は、今日から本格的に家事を実践して習得したいと思う。
少しでも早く上達してハチのお役に立たねば、いくらカノジョとやらに就任したといっても、彼に実利をもたらすことが出来ないからな。
・・・そ、それに、ゆくゆくは『嫁』という役職に昇格せねばならない!
数日前、はじめてのこちらのでの家事ということでサンドイッチなるものを作ったが、その下手さ加減に・・・自分でも呆れてしまった。
なんたってエジプト王国のファラオ時代は、とにかく生活全般のいろいろに対して、自ら手を動かしてやったことが皆無だったからな。
妾のやることといったら、各種手続きの決裁・宗教行事への参画・国の法律整備・外国との交渉・軍の教練・国庫歳出入管理・・・といった類だもの。
料理ひとつ、掃除ひとつ成し遂げたことがない。
生活全般は、セクメトナーメン以下侍従たちに任せっきりだ。
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