第119話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(37)

 このラッキースケベをよろこぶべきか、空気扱いを空しいと感じるべきか・・・悩ましい。


 すっかり部屋着に着替えた彼女といえば、ゆったりした感じがかわいらしい。

 さっきのエロスタイルも申し分ないが、こういう感じもいいなあ・・・。

 とか思っていると、

 クレオは俺のほうを見て、焦れたような表情を見せてから・・・こほん、と咳払いをして、

「そなた、妾が恥じるかどうかなどということの前に! そもそも妾の着替えを見て、何とも思わないのか?」と、不思議そうに聞いてくる。

 ちょっと小首をかしげたその表情すら、破壊力あるなあ。


 俺は眩暈を覚えながら(アホか!)、いや、本当は「いいもの見せてもらいました!」と思いつつ、

「いや・・・その・・・」

「どうしたのだ? ここは感動するところだろう? カノジョの生着替えなのだぞ? 生唾ごっくんモノだぞ?」

 生唾って、どこで覚えたんだ。


「・・・た、たしかに。だが・・・その・・・俺だっていちおう・・・健全な男だからな?」

「何が言いたい?」


 あー、いろいろ通じてねぇ。


「・・・だから! 妙な気持にならないとは限らないんだぞ?」

 そこまで聞いて、クレオはようやく「!」っていう表情を見せる。


「なるほど、そういう話か」

(だから言ってんじゃん! そういう話なんだよ!)と、俺は心の中で叫ぶ。

 もごもごしながら、言っているこっちの顔が熱くなってきちまった。

 ふつう、この手の話題で恥ずかしがるのは女子でしょ。


「・・・うむ、殿方にも性欲はあるからな」

 さすがのクレオも、事ここに至ってようやく頬を赤くして、


「・・・・つまりそれは、妾を抱きたいということか?」


 こら!

 俺がボヤかしているのに瞬殺するな。


「あ、いや・・・なにもそこまでは言っていないが・・・もやもやした気持ちにくらいにはなるかもよって・・・ことだ」

 彼女は、ちょっとだけ思案顔になり、

「まあ・・・妾はかなりの美女でもあるし、スタイルも抜群であろう? 殿方がそう感じるのも無理もない。っていうか、魅力的でなければ困る」

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