第120話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(38)

 お? どうした?

「だって、ひとりの女として色香にも充分自信がある。それに・・・」

 それに?

「それに・・・なにより衣食住すべてそなたに厄介になっている身だ。そなたに返せるものと言えば・・・カノジョとしてのこのカラダのみ・・・」


 あれ?

 なんか話がヘンな方向に。


「うむ・・・それもしかたあるまい・・・」

 いや、そこでそんなに潔くなくていいから!


「だが、妾はまだ男を知らぬ・・・だから、そなたの手で大人の女にしてくれ・・・初めてのことゆえ・・・出来れば優しく頼む」


 だから!

 話を具体的に進めなくていいから!


「セクメトナーメンにも・・・その・・・『夜の営み』のことは教わっているから、ちゃんと殿方を受け入れることは出来るはずだ」

 どんどんズレてる!


「もちろん! ちゃんと孕んで、丈夫な子を産む自信だってある」

 女子が『孕む』とか言うな・・・っていうか、すでに話が子作りにまで発展しちまってる!


「世継ぎは何よりも大事だから、丈夫な子を産むことは王家の女の義務だ! 妾とて理解している」

 大丈夫、おれだって子作りするつもりはない!


「クレオ、まあ落ちつけ。さっきの話は『もやもやするくらい』という、あくまでも例え話であって・・・その抱きたいとか、そういう深い話じゃないから安心してくれ」

「・・・しかし、そなたの子種も丈夫でなければならないし・・・その・・・毎晩・・・優しく抱いて欲しいし・・・いっぱい欲しい・・・」

 終りのほうは、なんかごにょごにょ言っていて聞き取れん。


 っていうか、こっちの話を全然聞いてねぇ。

 あー・・・クレオって、いろいろ集中しすぎるタイプだった(汗)・・・。


「だから、そんな具体的なハナシじゃないからな?」

 ようやく耳に届いたらしく、

「そうなのか?」

「そうだよ。そもそもそういうのは・・・その愛し合った男女・・・がすることで・・・」

「・・・そなた、見かけによらず紳士なのだな」

 ええっ、その感心の仕方はなんだよ!

 古代エジプトでは、もしかして性については、現代より奔放とでもいうのか?

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