第115話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(33)

 だがクレオは、すぐに思い出したように畳み掛けてくる。

「そもそもカエサルなどというローマの田舎者など、名前を聞いたことがあるだけで会ったことも無い! こんな奴に評論されるなど腹立たしいな!」

 天下の世界帝国をつかまえて、田舎者呼ばわりとは・・・ある意味凄い自信だ。

 そうか、でも当時の世界の文明先進国はエジプトで、ローマは後発組だもんな。ローマ人を田舎者扱いして蔑むのも仕方あるまい・・・。

 こりゃあ沈静化するまで放っておくか。

 クレオのやつ、意外と喜怒哀楽が激しいな。

 しかも美人が怒る顔って・・・こう・・・妙に迫力があるよな・・・


「なになに? 妾がカエサルの情婦となり、ローマの支援を受けて王座を安定化させた・・・だと?」

 ぐぬぬ・・・と、怒りをさらにエスカレートさせている。

 こりゃプライドが相当やられちゃったか?

 と、俺が思っているところへ、


「馬鹿な、妾は・・・しょ、処女だぞ!」


 へ?

 そこ?


 だけど情婦云々の話は、おまえのことじゃ・・・と言おうとすると、

「ま、まあよい・・・そ、そなたが美しいというのだから妾は満足だ」

「おお、ようやく機嫌を直してくれたか」

 俺は正直に安堵した。でも、そこですぐに気づく。

 俺が言ったから・・・って? 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る