第114話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(32)

「後世の歴史家ではなく、クレオパトラと親密な関係を築いていたユリウス・カエサルのコメントだ。彼も叡智と声を讃えているが、外見については触れていないんだ」

「カエサル? 共和制ローマの執政官であろう?」

「そうだ、ナマのクレオパトラ七世に接していた、当時の世界の最高権力者であった男のコメントだからな。後世の研究者は、これを基に『直接接していた、かのカエサルですら容姿については触れていない、つまりクレオパトラ七世は、外見が特段美しいわけではなかったに違いない』と考えているってわけさ」

 セリフの途中の段階からもうすでに、クレオは唇をギリギリと噛み・・・お怒りのご様子だ。


 アホか俺は!


 研究者の性分でつい知識を広げちまったが、こいつはフォローどころか・・・ふつうに『火に油』だったぜ・・・。

 フォロー、フォローっと。


「でも冷静に考えれば、エジプトとローマの接近は、おまえがこちらにタイムリープした後のことだろう? ってことは、カエサルが見たのは誰なんだ?」

「妾はここに来る前、ファラオの地位を妹のアルシノエに譲ったのだ・・・この時代の歴史とは違う時間軸を進んでいるのかもしれんな」

 ・・・そうだったのか。

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