第113話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(31)

「まあ、落ち着け。どう見たっておまえはかわいいよ。ホラ、道行く人も見ていただろう?」と、素直な感想を言ってみる。

「・・・・そうか」

 あれ? かなり赤くなっている。もしかしてクレオは、あまり褒められ慣れていない?


「なあ、いままで綺麗とか・・・言われたことないのか?」

 やっぱり・・・ちょっと慌てているな。

「・・・そういうときもあるが、ほら・・・やはり侍従の者たちから聞いても、正直、それが本心かどうか微妙だろう?」

 おだてられれば素直に舞い上がる女子も多いと思うが・・・意外と冷静なんだな。

 まぁ、為政者たる者、全て鵜呑みにするようでは困るけれどな。

「実は、かねがね第三者からどう見られていたか・・・気になってはいた、と」


「そうだ! 悪いか?」


 ふふふ、クレオのやつ、開き直っているなぁ。

 などと言いながら、俺はふとあることを思い出して、手元の歴史書をパラパラとめくっていく。


「それならば、興味深い記事がある」

 横からクレオが怪訝そうに覗いてくる。

「どれだ?」

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