第112話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(30)

 俺がPCに文章を入れ始めると、すぐ隣でなにかを夢中に読んでいるクレオがいる。

 しかし考えてみれば、魔術で言葉が通じるようになったものの、書いてある文章まで読めるようになっているとはすごいもんだ。

 ずいぶん熱心に何見てんだ? と隣をのぞいたところ、なんと歴史書だった。


 めずらしい、最近はすっかり恋愛脳になっていたのに。

 俺の本棚から、歴史に関連すると思われる書籍を片っ端から出してきて、テーブルの上所狭しと置かれている。


 やはり、俺から口頭で聞いてはいたものの『エジプト王国のその後』が気になるのだろう。

 そりゃそうだよな、ファラオだもの・・・と思っていたら、そうでもないらしい。


「ハチ! いくつもの文献で『クレオパトラ七世は教養と声質は素晴らしいが、さほど美人ではなかった』とあるがどういうことだ! そなたもそう思うのか?」

 ・・・そこかよ・・・まあ、でも、なるほど・・・お怒りもごもっとも(笑)。


「・・・いや、超絶美女だよ。俺の見る限りでは」と、言いつつ隣のクレオをじっと見る。

「そ、そうであろう! まったく歴史家という奴らはいつの時代もアテにはならぬ。けしからん!」


 いや、やっぱり美人だよな。

 それについてまったく異論はないよ。いやホントに。

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