第110話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(28)

 同じくコーヒーを受け取ったセクメトナーメンは、しばらく学術書を読みつつ、ちらちらとこちらをジト目で見ていたが・・・こほん、と咳払いをしてから、

「クレオ・・・まだ未婚なのですから、はしたないですよ」

 さっきの論戦に、思わず本音を吐いて自滅したセクメトだが、しつこく牽制してくる(笑)。

 だが、クレオも負けていない。

「セクメトよ、心配は要らん・・・この時代は婚前交渉も普通らしいぞ? それに言ったと思うが、護衛対象と親密度を上げれば、互いの信頼度も増してプラスの効果が生まれる」


「ごほ! がは!」

 俺はむせる。

 そりゃむせるわ。


「クレオ、いい加減になさい。西郷殿も困っているじゃないの」

 それでもクレオは余裕しゃくしゃくで。

「ま、それは建前だ・・・でもよかった、まずは彼氏に喜んでもらえることをしないとな。参考資料によるとスキンシップは大事だとあるからな」

 タブレットを見ると、これは・・・恋愛小説じゃんか。

 なるほど、さっそくいろいろ学習効果を発揮しているとは・・・。

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