第108話 第四章 『カノジョ宣言して、なにが悪い!』(26)

 いつもどこか冷めたところがあるセクメトナーメンだが、さすがにこれは恥ずかしいよな。


「セクメト・・・あのな、何度言ったら分かるのだ」

「・・・・」

 まだセクメトナーメンは、俯いたままだ。


「妾は『彼女』ではなく、『彼氏』が欲しいと言っているであろうが!」


 うわー・・・メチャメチャややこしい状況になっちまった。

 ◇◇

 この宣言以来、クレオのやつ、

「まずはカノジョについて、徹底的に研究せねば」とかなんとか言って、いままでより一層メディアからの知識吸収に熱心だ。

 タブレットでは恋愛小説や映画を片っ端から漁っているし、ネット上の恋愛相談や書き込みなんかまでチェックしている・・・どうも、凝りだすと止まらないタイプかもしれないな。

 彼女の恋愛知識は今、すんごいことになっちまっているのかもしれない・・・。


 今もキッチンに入って豆を挽き始めているのに、傍らにはタブレットを置き、何かを読み耽っている。

 そのままコーヒーを淹れる最中にも。

「うわ」とか「おぉ」とか言いながら、時折赤面させながら悶えている(なんなんだよ!)。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る