第69話 第三章 『護衛するのだぞ? 同居生活は当然であろう!』(28)

「そういえば、そなたは普段から自炊をするのか?」

 フォークでサラダの残りをつつきながら、聞いてみた。

「そうだなあ、外食ばかりだと結局カネがかかるから割と自炊が多いかな。ここの主人からもたまに教わったりしているんだよ」

「最初は自分でも、料理の方法を学習したのか?」

「現代では本に料理の作り方が載っていたりするんで、そこから習得出来るのさ」

 フォークに刺したパイを口の直前で止めて、彼のことを凝視した。

「どうした?」

「・・・いや、凄いな。妾なぞ、元の時代では一度も調理をしたことが無い・・・昨日のサンドイッチが生まれて初めてのチャレンジなのだ!」

「そりゃ、ファラオが自ら包丁を振るうわけないだろ?」

「・・・しかしそれならば、ここの絶品鳩料理や豆料理もそなたに教わって、ウチで食べることが出来るのか?」

 彼は笑って肯定した。

「セクメトはいいよな~、家事など余裕であろう?」

「そうですけど、わたしだってこの時代の器具に慣れねばなりませんから。むしろどんな仕掛けなのか知るのが楽しいです」と答えるものの、やはり妾同様パンはお気に召したようだ。


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